中国就職をお薦めする5つの理由~新卒、転職で中国で働く

私は、日本で大学を卒業してから、10年ほど海外で学び、海外で働きました。特に、台湾の現地企業で、6年間台湾人と同じように働き、同じように生活したことは、人生を豊かにした掛け替えのない思い出でであり、また社会人として成長した貴重な体験でした。

現在、日本は大手企業の業績が好調で、就労人口も減っているので、新卒、第二新卒は売り手市場です。希望の有名企業に就職することも、就職氷河期だった頃より容易だと思います。リスクを取って海外で就職するメリットはないように見えるかもしれません。

しかし、今こそ私は海外で就職することをお薦めします。海外就職は、キャリアの上で明確なメリットがあり、日本の社会、市場環境は、海外就職経験者を求めるトレンドに向かっているからです。

私が、海外就職全般をお薦めする理由は、こちらの記事をご参照ください

海外就職をお薦めする8つの理由~新卒、転職で海外で働く

本記事では、海外の国の中でも、特に中国での就職を検討すべき5つの理由を説明します。私自身、今新卒だったとしたら、中国で就職すると思います。

家族や友達に、海外就職なんてやめておけと言われるかもしれません。中国は、生活環境や対日感情などの理由で、特に評判が悪いかもしれません。もちろん、全ての人に中国就職が向いているわけではありません。しかし、中国就職は、リスクをとって飛び出すだけの、価値の高いリターンを提供してくれると思います。

本記事の読者が、中国就職に興味を持ち、新卒就職、転職の選択肢の一つとして検討していただければ幸いです。

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①日本経済にとって、中国の重要さは増すばかり

中国は、日本にとって経済的に関係の深い国です。すぐ隣にある世界第2位の経済大国なので当然です。これからも、中国の日本に対する影響力は高まっていきます。

中国の重要さが増すにつれて、日中双方の言語や文化に精通したバイリンガル人材(日本語ができる中国人含めて)の価値が更に高まります。

特にビジネスにおいては、言語ができるだけではなく、中国企業や中国人とのビジネスの進め方を理解しているかが重要になります。そのような「日中ビジネス人材」になるには、中国現地でビジネス経験を積むことが、最も直接的で、効果的な方法です。

中国は、日本の近くにある超大国

1990年代半ばには20%近くに達していた世界に占める日本のGDP比率(USドルベース)は、直近では6%台まで低下しています。逆に、2010年に日本を抜かした中国は、世界のGDPの15%近くを占め、日本に2倍以上の差をつけています。

出典:World Bank Open Data

日本は、人口が減少しているので、これからもGDPが低迷することは確実です。2030年には世界に対する日本のGDP比率は4.4%に低下します。一方で、中国のGDPは伸び続け、日本の5倍以上になると予測されています(PPPベースのGDP、OECD, GDP long-term forecast)。

たった10年少しで、中国の経済規模は日本の5倍になるのです。しかも、日本のすぐ隣の国です。中国が日本を含めたアジアの国に対して圧倒的な影響力を持つようになることは、疑いようがありません。

中国は日本の最大の貿易相手国

日本の貿易に占める中国の割合は高まり続けていて、2007年にはアメリカを抜かし、日本の最大の貿易相手国になっています。2016年には全体の21.6%を占めています。香港は、中国本土に関連する貿易も多いので、中国と香港を足すと24.4%になります。更に、同じ中国語の台湾を足すと、29.4%です。

貿易額が大きいということは、日中の企業間のやりとりが多いということです。中国に関連した仕事、中国語ができれば有利な仕事も必然的に増えます。

出典:財務省貿易統計

中国人観光客の激増

日本政府観光局(JNTO)によれば、訪日外客数は2006年の733万人から2016年の2,404万人まで10年間で3倍強増えています。特に中国人は全体の4分の1を占め、伸び率も上位の国で最も高いです。更に、中国+香港+台湾では、全体の5割を占めます。

街中や観光地で中国人や、それに対応するための中国語スタッフの姿を目にすることが増えたのではないでしょうか?

出典:日本政府観光局(JNTO)

出典:日本政府観光局(JNTO)

政府は更に外国人観光客を増やす戦略です。「明日の日本を支える観光ビジョン構想会議」によれば、2020年に4,000万人、2030年には6,000万人を目標にしています。

この数字は、現実性のない目標ではありません。世界観光機関によれば、2015年の国際観光客到着数のトップはフランスで8,445万人、次にアメリカの7,751万人、スペイン6,821万人と、6000万人を超える国は3カ国あります。

もし、予定通り観光客が倍増する場合、中国人に対応するための中国語スタッフの数も倍くらい必要でしょう。今までは、日本語のできる中国人が雇われていましたが、今後は中国人では足りなくなる可能性があります。次に議論するように、日本語を学ぶ中国人が減ってくると予測するからです。

観光業は裾野の広い産業です。表で観光客をもてなすバイリンガルのスタッフだけでなく、空港、交通機関、ホテル、小売、レジャー施設など、様々なところで中国人需要のための商品、サービスの開発、マーケティング、中国パートナー企業への営業などが重要になってきます。

②日本語を学ぶ中国人は減っていくトレンド

現在、日本の会社では、多くの優秀な中国人が働いています。日本の本社でも、中国の現地拠点も同様です。街の店舗や観光地でも日中バイリンガルとして働いている中国人を多く見かけます。現在の状況だけを見れば、中国語対応や、日中ビジネスは、日本語ができる中国人の独壇場のように思えるかもしれません。

しかし、日本語ができる中国人の供給は、近い将来需要に追いつかなくなると予測します。日中バイリンガルの需要は、これからも伸びることが確実な一方で、人材の供給、つまり日本語を学ぶ中国人が減少すると考えられるからです。

中国の日本語学習者数は2015年から減少に転じた

下のグラフのように、中国の日本語学習者数は、2012年まで伸び続け、2015年に低下しています。日本語を教える教育機関数、日本語教員数は増えているにも関わらずです。

出典:国際交流基金 2015年度「海外日本語教育機関調査」

また、中国だけでなく、中国に次ぐ日本語学習者数2位のインドネシア、3位の韓国でも2012年から2015年に大きく学習者数が低下しています。

学習者数 (万人) 2012年比 人口比
中国 95.3 -9% 0.1%
インドネシア 74.5 -15% 0.3%
韓国 55.6 -34% 1.1%
オーストラリア 35.7 21% 1.5%
台湾 22.0 -6% 0.9%
タイ 17.4 34% 0.3%
アメリカ 17.1 10% 0.1%
ベトナム 6.5 39% 0.1%
フィリピン 5.0 54% 0.0%
マレーシア 3.3 0% 0.1%

出典:国際交流基金 2015年度「海外日本語教育機関調査」、人口は国連2015年度World Population Prospects

日本語学習者が減少する背景

これは、一時的な低下ではなく、大きな減少トレンドの始まりだと考えます。中国人や他の外国人にとって、経済的に日本語を学ぶ意味が小さくなっているからです。

2000年代までは、日本はお金持ちのイメージでしたので、日本語を熱心に学ぶ外国人、特に中国などアジア諸国の人が多数いました。

今、中堅社員となっている30代以上の中国人が日本語を勉強し始めた時、日本は中国の数倍もある巨大な市場でした。一人当たりGDPは、先進国の中でもトップクラスでした。中国人にとって、自国の隣にある先進国の言語は、魅力的に見えたに違いありません。

しかし、今や日本のGDPは中国の半分以下、これからも、中国との差は開き続けます。

一人当たりのGDP、所得も、今では欧米の多くの国、シンガポール、香港に比べて明らかに低くなっています。中国も急速に追いついてきています。日本は、成長率も世界最低水準ですので、他の国に比べて将来性もありません。

今から外国語の勉強を始める中国の若者は、そのような暗い将来しか見えない国の言語を真剣に学ぶでしょうか?私が中国の若者であれば、絶対に選びません。常に需要が高い英語か、これから伸びる国の言語を学びます。日本語は、やったとしても趣味のレベルでしょう。

高学歴層の日本語学習者は特に減る見込み

統計は見つかりませんでしたが、恐らく高学歴な人ほど真剣に日本語を学ぶ学生が減っていると思われます。高学歴層の方が、国際社会における日本の地位の低下や、自分の将来のキャリアについて考えているはずだからです。

最近、話題になった報道です。冗談半分の発言かとは思いますが、背景には、中国企業にとって日本市場の魅力、日本語専攻の学生の価値が急速に低下していることがあります。

中国メディアによると、広報担当者は22日の説明会で英語やアラビア語専攻の学生を優先し、日本語の学生は採用しない考えを表明。日本語学習者はアダルトビデオ業界に就職すればいいとの趣旨の発言をして、学生数百人の笑いを誘った。

産経ニュース:就職説明会で日本語学習者に「出て行け」 中国スマホ大手シャオミ広報担当者、抗議受け謝罪

韓国でも優秀な層が日本語を避ける傾向があるようです。2013年の情報ですので、日本の地位が更に低下している現在、その流れは加速していると思われます。

日本語は、韓国語との近似性から「学びやすさ」「親しみやすさ」も感じられる半面、「誰でも、大した苦労もなく学べる言語」として軽んじられてしまう傾向もある。そのため高校生などは、「優秀な学生ほど、難しい中国語にチャレンジする」といった声も聞かれる。

また特に、中国が世界第二の経済大国となり両国の関係が強まっていること、東日本大震災・原発事故の発生により日本に対するイメージの悪化などの影響で、「将来性を考えれば、日本語よりも中国語を学習するべきだ」といった雰囲気が、ここ数年特に親たちの間で広がりを見せていることは特記すべき点である。(2013年10月時点)。

国際交流基金:韓国(2016年度)

③日本と中国の給与水準の差は縮まってきている

中国は全国平均では、まだまだ給与水準は低いです。しかし、上海に限ると、給与所得者全体の平均月給は8,852元、約14.5万円(2016年Zhaopin.com調査)、年間では約174万円です。日本の平均給与は、約420万ですので、日本の41%まで差が縮まっています。

更に、上海統計局によれば、2004年から2014年までの10年間で、上海の一人当たり可処分所得は2.4倍に増えています。今後の10年間も日本の給与が変わらず、上海の給与が2.4倍に増えたとすると、10年後には日本と上海の給与水準は同程度になります。上海以外では、北京、深センも同等の給与水準になっています。

上位の所得層では、同じくらいの水準、もしくは中国が逆転しているケースもあります。

例えば、MBA卒業後の給与の調査によれば、中国は76,987 USドル、日本は80,000USドルと、ほぼ同じです。ちなみに、トップのオーストラリア、アメリカは日本に比べて50%以上給与が高いです。MBA卒業生にとって、日本は割の良い就職先ではないのです。

出典:QS TopMBA Jobs & Salary Trends Report 2016/17

部長レベル以上の給与水準では、日本は中国よりも低いという調査報告もあります。背景については、出典の大前研一氏の記事が詳しいので、ご参照ください。

出典:PRESIDENT ONLINE, 大前研一の日本のカラクリ 日本の部長の給料はなぜ、世界最低レベルなのか

④中国の生活環境は改善してきている

私は、2005年に新卒で就職する時に、中国語圏で働こうと決めていました。当然中国本土も考えたのですが、結局は台湾で就職することにしました。その最も大きな要因は生活環境でした。

海外就職するということは、長期間その場所に住むということです。快適に暮らせる街かは、就職する場所を決めるうえで、非常に重要です。

当時の中国は、旅行や短期の留学ならともかく、長期間住むには環境が悪すぎると思いました。地下鉄などのインフラが整っておらず、どこに行くにも面倒かつ大混雑。電車の切符を買うにも一苦労で、銀行や役所での手続きは大仕事でした。店舗やレストランなどのサービスも共産主義的な雰囲気を残しており、不快な対応を取られることもしばしばでした。

今でも、日本の報道では、大気汚染や、粗悪な製品、安心できない食品など、悪い面ばかりが報道されます。中国に行ったことがない人は、今も昔も中国は劣悪な生活環境と思っているかもしれません。

しかし、それは中国の一部を切り取って報道しているに過ぎません。ここ10数年間、北京や上海には、度々行きましたが、行くたびに先進的、快適な街に変わっていきました。

特に、2016年に10年ぶりぐらいに深センに行って、その変貌ぶりには本当に驚きました。特に巨大IT企業「Tencent」本社付近の街は、非常にきれいで、洗練された雰囲気でした。同行していた日本人の同僚も、みんな中国の印象が覆ったと言っていました。

また、一般の人が普通にモバイル決済や、UBERのようなサービスを使っていたことも印象的でした。ITサービスについて、深センは、日本より遥かに進んでいるように思いました。

街の雰囲気は、記事を読んだり、写真を見たりしただけでは分からないと思います。まさに百聞は一見に如かずです。是非、一度中国の上海や深センに行って、若者に人気の街や、ハイテク企業が集まる地域を見てみてください。日本の報道で知る中国の印象とは、全く異なると思います。

⑤中国就職、留学をする人は減っている

以上の状況を考えると、中国就職、中国留学をして中国の専門家を目指す日本人が激増してもおかしくはない気がします。

しかし、中国就職、中国留学が盛り上がっているという話は聞きません。海外就職であれば、盛り上がっているのは東南アジア、留学で盛り上がっているのはフィリピンです。

中国での日本人の現地就職、留学の長期的なデータは見つかりませんでしたので、代わりに「Google Trend」で「中国 就職」、「中国 留学」の検索数の推移を、調べました。検索数と、実際に実行している人の推移が一致するとは限りませんが、大まかな傾向は同じはずです。

中国就職の検索数は、2010年から2011年に大きく下がり、それ以降低い水準が続いています。一方でアメリカ就職は、若干下がっているものの、中国就職ほど下げてはいません。海外就職全般のトレンドも同じです。海外就職検索数のトレンドについて、以下の記事をご参照ください。

海外就職の検索トレンド推移~アジア就職は微増、アメリカなどは減少

中国留学は更に大きく落ちています。2005年ごろはアメリカ留学と同じくらいの検索数だったのが、直近では3分の1以下になっています。こちらも2010年から2011年に大きく落ちています。

中国就職の検索数が下がった大きな要因は、日本人の中国に対する親近感が大きく下がったことです。下記のグラフのように、2010年に「親しみを感じない」が「親しみを感じる」を逆転しています。

2010年は、尖閣諸島沖で中国漁船が海上保安庁の巡視船に衝突する事件が発生した年です。それを機に日本人の中国に対する親近感が大きく下がり、それ以来回復していないと思われます。

出典:内閣府大臣官房政府広報室「外交に関する世論調査」

まとめ

・日本にとっての中国の影響力は更に高まる。日中バイリンガル人材、日中ビジネスに精通している人材の価値も高まる。

・中国人にとって日本語は学習すべき外国語でなくなる。日本語ができる中国人は少なくなる。特に高学歴層は日本語を学ばなくなる。

・中国の所得水準は急速に日本に追いついている。特に管理職レベルでは、日本よりも高いケースもある。

・日本で報道されているイメージと異なり、中国の生活環境は改善してきている。

・明らかに日中バイリンガル、日中ビジネス人材への需要が高まってきているのに、中国就職、中国留学熱は高まっていない。今、飛び込めば、数年後には希少価値の高い人材になれる。


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