海外就職のための就労ビザまとめ

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海外で働くためのビザの種類

ビザと就労許可

海外で働くための許可の申請を、一般的には「就労ビザを申請する」と呼びます。本記事も「就労ビザまとめ」というタイトルにしています。

しかし、正確に言えば、ビザと就労許可は別の概念で、申請のタイミングや窓口が異なります。就労ビザ=就労許可と思っていると、就労ビザ・許可の情報を読むときに誤解しやすいです。

ビザ:入国するために必要な証書

就労許可:就労するために必要な証書

例えば、カナダのビザは、就労、留学、観光など用途別に分かれていません。入国するためのビザは同じで、滞在する目的の許可は「Permit」を申請します。Work permit(就労許可)、Study permit(就学許可)などです。よって、カナダ政府のページで、「Work visa」を探しても見つかりません。

アメリカでは、就労ビザ、学生ビザ、など用途ごとにビザの種類が分かれています。しかし、就労ビザと就労許可は、別の申請です。まずは、就労許可の申請を行い、就労が許可された後に、就労目的で入国するためのビザの申請に進みます。

本記事では、一般的な用法に合わせて、就労許可を含めた概念として「ビザ」と呼びます。しかし、実際にはビザの申請以外に、就労許可の申請が必要ですので、ご注意ください。

目的

海外で就労するためのビザは、就労に特化した「就労ビザ」だけではありません。各国によって異なりますが、就労可能なビザには以下のような種類があります。

・就労ビザ

その名の通り、現地で就労するためのビザ。海外現地就職では、最も一般的なビザ。国によっては、職種、働く地域、申請者の経歴などによって、更に分類されていることがあります。

・駐在員ビザ

主に日系企業から駐在員として派遣される場合。駐在員向けには、一般向けの就労ビザとは別のビザを設定している国が多いです。駐在員として行く場合は、会社主導でビザを申請するので、あまりビザの手続きについて気にする必要はないです。

・企業内転勤ビザ

主に海外企業の日本オフィスから本社に転勤になる場合。企業内の転勤という意味では、駐在員も転勤ですが、日系(相手国から見ると外資)と、現地企業の転勤ではビザの種類が異なることが多いです。例えば、アメリカでは駐在員ビザはE-1またはE-2で、企業内転勤はL-1です。

・研修ビザ

就労ではなく、研修を主な目的にしたビザ。期間が1-2年程度と短いことが一般的です。あくまでも研修が目的なので、職種や就労時間などの制限が厳しいことが多い。一見インターンシップ向けのビザに思えますが、インターンシップでも一般の就労ビザやワーキングホリデーなど他のビザを使うこともあります。以下はアメリカの例です。

アメリカでインターンシップをする:J-1 (交流訪問者)ビザ
アメリカで就労のためのビザを取るのは、難易度が高いです。最大18か月ですが、インターンシップ(研修)として、比較的簡単にビザが取れる制度があります。J-1 Intern(インターン)、Trainee(トレーニングプログラム)について

・学生ビザ

学生ビザでアルバイトやインターンシップができるかは、国によって異なります。あくまでも学業が本業なので、就労できる時間数は制限されます。職種や場所が制限されるケースもあります。また、卒業後の研修を目的として、卒業後に一定期間学生ビザのまま就労できる制度がある国もあります。以下はアメリカの例です。

アメリカの学校を卒業した外国人向けのインターン制度:Optional Practical Training (OPT) for F-1 Students
F-1のビザでアメリカの大学や大学院を修了した人向けにOptionalでPractical Training(要するにインターン)の機会を提供するプログラムです。申請条件、期間、OPT後のビザなど

・ワーキングホリデービザ

ワーキングホリデー(Working Holiday)とは、日本とワーキングホリデー協定を結んだ外国に1~2年の滞在許可が下り、その間に就学、旅行、就労することができる制度です。多くの国では、30歳までの年齢制限があります。

主要国では、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、イギリス、アイルランド、ドイツ、フランス、スペイン、韓国、台湾、香港などが参加しています。アメリカ、中国はワーキングホリデーはなく、類似の制度もありません。シンガポールは、ワーキングホリデー協定ではないですが、25歳まで限定の「Work Holiday Programme」があります。

以下はオーストラリアの例です。

オーストラリアのワーキングホリデービザ:Working Holiday visa - subclass 417
オーストラリアのワーキングホリデービザの条件、期間、活用方法、申請方法など

・配偶者ビザ(婚約者ビザ)

その名の通り、現地の国籍や永住権を持つ人と結婚した場合のビザ。配偶者も働ける国が多い。婚約者が働けるケースもあります。

・永住権

永住権を取得すれば、現地国籍の人と同じように制限なく就労することができます。通常は数年間就労ビザなどで現地に滞在した後に申請します。条件によっては、滞在経験なしで直接永住権を申請できる国もあります。

期間

永住権ではない限り、ビザには期限があります。就労ができるビザの期間も、1年程度の短期間から5年程度まで、国やビザの種類、申請者の条件によって様々です。

ビザは、更新できるケースと、更新できないケースがあります。例えば、1回のビザの期限が3年間で、1回限定で更新できる場合、最大6年間そのビザの種類で就労することができます。再度更新できない場合は、他の種類のビザに切り替えるか、永住権を申請するなどの必要があります。

申請に雇用主(スポンサー)が必要か?

海外での就職活動に大きく影響するのが、就労ビザの申請に雇用主(スポンサー)が必要かどうかです。

一般的には、就労ビザの申請には雇用主が必要です

つまり、就労ビザを申請する前に、内定を獲得しておく必要があります。就職できるか分からない、どんな仕事に就くか分からない人を就労の目的で入国させたくないからです。

就労ビザは、雇用主から申請することが一般的です。雇用主は手続きにかかる費用や時間を負担する必要があります。申請しても承認されるとも限りません。

就労ビザが必要な外国人応募者というのは、申請の費用や時間がかかるので、企業にとって面倒な存在です。面倒なので、就職活動では確実に不利になります。求人によっては、明確に就労ビザの申請はしませんと記載があるケースもあります。

ワーキングホリデーを活用する

雇用主なしで自分で申請できる代表的なビザが「ワーキングホリデービザ」です。ワーキングホリデーは、オーストラリアなどの英語圏で簡単な仕事のアルバイトをするイメージがあります。しかし、普通のフルタイムの仕事で使うことも可能です。

ワーキングホリデーの利点は、就労する許可を持っている立場で、就職活動ができる点です。ビザの申請が必要ないので、企業側としては雇いやすくなります。

ワーキングホリデーは、期間限定ビザなので、アルバイトやインターンのような立場で働くことになります。ワーキングホリデー中に実績を出せば、その会社が就労ビザのサポートをしてくれる可能性も高くなります。

スポンサーなしで申請できる就労ビザや永住権もある

一般の就労ビザや永住権でもスポンサーなしで申請できる国もあります(ただし、職種の制限などは厳しいです)。例えば、以下の記事の方はカナダの「Federal Skilled Worker」プログラムを申請し、直接永住権を取って移民しています。

HAPPY BANANA’s BLOG: カナダで就職活動!成功するために必ず実行すべきこと

発行数制限

外国で就労したい外国人に人気が高い国は、年間の発行数制限をしている場合があります。職歴や学歴などの申請条件を完璧に満たしていたとしても、発行数制限を超えていれば申請できないのです。

アメリカの就労ビザH-1Bは毎年抽選

代表的な例が、アメリカの就労ビザH-1Bです。H-1Bの申請者が最大発行数よりも多い場合は、抽選が行われます。本来は条件を満たしている申請者でも、抽選で落とされることもあります。

2017年の年間の枠は8.5万人です。通常の枠は6.5万人で、アメリカで修士以上を終了した人向けに、追加で2万人の枠があります。

直近の申請数を見ると、2018年度分(2017年10月から就労が可能)は19.9万人、2017年度は23.6万人となっており、年間の8.5万人の枠を大幅に超過しています。条件を満たしている人であっても、抽選の運次第となっています。

イギリスのワーキングホリデーも毎年抽選

もう一つ、代表的な例がイギリスのワーキングホリデービザです。年間の日本人向けの申請枠は1,000人ですが、参加を希望する日本人は、1万人以上とも言われています。当選できるかは完全に運しだいです。イギリスほど厳しくありませんが、同様にカナダのワーキングホリデーにも申請枠があります。

年齢制限

ビザの申請に年齢制限をするケースがあります。

代表的な例が、ワーキングホリデーです。大部分の国ではワーキングホリデーができる年齢は18歳から30歳です。31歳を過ぎると残念ながら申請できません。

厳密に制限していなくても、特定の年齢層を優遇するケースもあります。例えば、中国の就労ビザ「Zビザ B類」では、26歳から45歳の年齢層に高い申請ポイントを付与しています(つまり申請が有利)。ある程度就労経験を積んだ、働き盛りの外国人を優遇する狙いだと思われます。

職種制限

多くの国では、就労ビザを申請できる職種を制限しています。もしくは、職種によって申請の難易度が大きく異なってきます。

英語圏の先進国は職種の制限が厳しい

特に厳しいのが、アメリカ、イギリス、オーストラリアなど、外国人労働者に人気の就労先です。制限をかけないと外国人労働者が多くなりすぎてしまいますので、国内で足りていない職種の人材に優先してビザを発行しています。

アメリカは、少なくても政府の公開情報では具体的な職種の規定はありません。しかし、結果としては、技術者、特にIT系の技術者に大きく偏っています。

アメリカで就職するための就労ビザ:H-1B
H-1Bは、アメリカで外国人(非居住者)が就職する場合の最も一般的なビザです。申請条件。職種。有効期間など

オーストラリアは、職種による制限が非常に具体的に規定されています。以下の記事をご参照ください。

オーストラリアで就労ビザ・永住権を取れる職種(2018年更新)
オーストラリアでの現地就職を目指す観点で、オーストラリアのビザを申請できる職種(Eligible Skilled Occupations)について説明します。ビザを申請できる職種は、オーストラリアで人手不足の職種です

イギリスも職種制限が厳しいです

イギリス就労ビザまとめ~種類、取得条件、期間、申請方法(2017年更新)
イギリスでの現地就職の観点でビザ、就労許可を紹介します。新卒&転職。一般向け就労許可。留学生。インターン。ワーキングホリデー(Youth Mobility Scheme)など

就労経験制限

職種にも関連しますが、就労ビザの申請要件として、就労経験年数、あるいはビザを申請する職種での経験年数が規定されている国があります。例えば、台湾では、海外大学の学部卒の場合は、2年以上の就労経験が必要です(修士以上だと不要)。

しかし、就労ビザの申請に就労経験年数が絶対条件になっている国は意外に少ないです。「新卒はビザの申請ができないので無理です」と言う海外就職コンサルタントもいるようなのですが、多くの国については真実ではないです。無理と言われても信じずに、自分で就職したい国のビザの申請条件を確認しましょう。

ビザの難易度の国際比較

地域別の比較

欧米は厳しく、アジアは緩い

就労ビザの申請の難易度は、国によって大きく異なります。欧米とアジアで分けると、欧米各国は総じて申請が難しく、アジアは緩いです。

アジアと欧米で難易度が異なるのは、アジアは基本的には労働者を送り出す国、欧米は受け入れる国だからです。また、欧米各国の失業率が総じて高いことも背景です。

雇用は、どんな国でも、いつの時代でも、必ず政治的に重要な課題です。自国民の雇用を守るためには、外国人労働者の流入は制限する必要があります。欧米には、後進国の多くの人が就労、移民を希望します。制限を厳しくしないと、外国人労働者が多くなりすぎ、自国民の仕事が奪われます。

アジア

アジア各国の就労ビザは総じて緩いです。それなりの規模の企業から内定を得て、年齢などの基本的な条件をクリアしていれば、ビザが問題になることは少ないです。

シンガポールはアジアでは例外的に厳しい

しかし、アジアでも国によって格差はあります。シンガポールは、所得水準も高く、更に英語が公用語なので、外国人労働者には人気の国です。アジアというよりは英語圏の先進国に近い立ち位置です。

外国人労働者の流入数が多くなりすぎている背景があり、近年急速に就労ビザの基準が厳しくなっています。今のところはアメリカやイギリスよりは易しいようですが、近年のシンガポールの発展を見ると、同じような厳しさになるのは時間の問題かもしれません。

中国も外国人労働者を厳選する方向性

中国は、日本では安い単純労働者を送り出すイメージの国です。現在も確かにそのような側面はあります。

一方で、中国は既に多くの高報酬の仕事がある国でもあります。グローバルに展開している中国企業も多いですし、大手外資も多数あります。

中国も外国人労働者を厳選する方針のようで、2017年の就労ビザの改定では、「ハイレベル人材を奨励し、一般人材をコントロール、低レベル人材は抑制」の大方針を打ち出しています。

今のところは欧米に比べると就労ビザの審査は緩いですが、中国の発展に伴って、ビザは厳しくなると予想します。中国で働きたいと思っているなら、ビザを取れるうちにチェレンジするべきです。

欧米

上記のように、欧米は全般的に就労ビザの申請が厳しいです。

特にアメリカ、イギリスは厳しいです。英語圏なので、英語が話せる外国人にとっては言語の敷居が低いこと、給与水準が高いなど、魅力的な仕事が多いことが多いことが要因だと思います。ビザが厳しいので、わざわざ求人の募集条件に、「ビザのサポートはしません」明記しているケースも見かけます。

ビザ取得のための長期的な準備

上記で説明してきたように、欧米のような就労ビザの条件が厳しい国では、ビザを申請する職種、申請者の職歴や専攻が非常に重要になります。

また、国によって、評価される職種や経歴は異なります。

将来就職したい国が決まっているのであれば、就労ビザを申請するためには、どのような条件が必要か早めに理解しておくことが重要です。

例えば、欧米の留学生にありがちなケースですが、自分の興味を元に専攻を選んだところ、就職活動をしてみて初めて、ビザの取得が難しいことを知る人も多いです。

留学後に就職しようと思ったら、就労ビザが厳しすぎたというのは、ありがち
海外留学して、現地就職しようと思っている人向けに。留学先の国を決める要素は色々とあります。その国の文化が好き。観光で行って、住みたいと思った。勉強している専攻で有名な大学がある。友達が先に留学している。などなど。就労ビザの取りやすさも考えましょう

大学など正規の留学をする人は、卒業後に現地で働きたいと思う人が多いです。現地で働くことが前提なのであれば、就職の目標から逆算して、就職のしやすい、ビザの取りやすい専攻にしておきましょう。

海外就職に有利な職種~英語よりもプログラミングを学ぶべし
グローバルに働きたいなら、英語やMBAでなくて、理系。将来、海外に住みたいひと、海外で働きたい人は、理系を学ぶべきです。外国語学部の方が、海外に近いように見えますが、海外の会社の視点では、ノースキルの学生です

ビザの申請方法

会社にサポートしてもらう

特定の企業に就職するために就労ビザを申請する場合(企業がスポンサーになるビザの場合)、できるだけ就職先の会社にビザの申請をサポートしてもらいましょう。

まず、多くの国では、ビザの申請の前に、就労許可の申請が必要です。企業がスポンサーになる就労許可の場合は、本人ではなく企業側から申請する必要があります。基本的には、企業に任せましょう。

就労許可取得後のビザの申請は、本人が大使館などで行う場合が多いです。外国人の就労が多い会社の場合は、ビザの申請の手続きにも詳しいかと思います。できるだけ、会社の人事などのサポートを得るようにしましょう。

自分で申請する

ワーキングホリデーなど、企業のスポンサーなしで働けるビザを申請する場合は、自分で手続きを行う必要があります。

ワーキングホリデーは自分で申請しよう

ワーキングホリデーの申請については、留学エージェントなどが代行サービスをしています。私としては、自分で申請することを強く推奨します。ワーキングホリデーの申請は、どの国でも自分で簡単にできます。

基本的な条件を満たせば誰でも取得できますので、エージェントを通して申請したところで、ビザが取得できる可能性が高まるわけでもありません。

ワーキングホリデー以外では、状況によってはエージェントを使ってもいいのですが、本当に必要か考えてから依頼しましょう。エージェントに頼むことで、手間が省けるのか、あるいはビザを取得する可能性が高くなるのか?英語に慣れていない人は、英語での申請というだけで難しく感じると思いますが、実践的な英語の訓練だと思って、なるべく自分でやってみましょう。

エージェントを使う

欧米で、企業スポンサーなしの就労ビザや永住権を申請する場合、エージェントに申請を代行してもらう人も多いです。

申請手続きが楽になるか?

ワーキングホリデーと異なり、就労ビザや永住権の申請は、手続きが煩雑です。経験のあるエージェントの指示に従って資料を準備した方が、効率的な場合があります。自分で申請方法を調べて見て、難しいと判断したら、エージェントを使うことも検討しましょう。

取得の確率が高くなるか?

欧米はビザの難易度が高いです。申請したからと言って、誰でも取得できるわけではありません。また、欧米でのビザ取得には職種や経歴が重要なので、申請書類上でビザ取得の条件を満たしていることをアピールすることが重要です。

就職活動で、履歴書の経歴を適度に「盛る」のと同じで、同じ経歴の人でも、書類上の見せ方次第で、審査に通る可能性が異なってきます。自分で書類の見せ方を考えるよりも、実績のあるエージェントにサポートしてもらった方が、確率は高まると思います。


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