シンガポール就職のススメ~シンガポールで働く魅力・メリット

海外就職に興味がある人、国際的なキャリアを目指している人にとって、シンガポールは気になる存在なのではないでしょうか?

本記事では、シンガポール就職に興味がある人向けに、シンガポール就職のメリットやデメリットを解説します。

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シンガポール就職・転職の魅力・メリット

  1. 世界トップクラスの一人当たりGDP
  2. アジアの金融、貿易の中心地
  3. 日系企業の東南アジア統括拠点
  4. 欧米グローバル企業のアジア本社
  5. 英語が公用語
  6. 国際的で、外国人が住みやすい環境
  7. 日本人が増えている
  8. 良好なワークライフバランス
  9. 女性が職場で不利にならない
  10. 生活環境が良い
  11. 日本より税金が安い?

メリット① 世界トップクラスの一人当たりGDP

シンガポールは、アジアで最も一人当たりGDPが高い国です。

2016年の一人当たりGDPは52,961ドルで、世界10位、日本より36%高い水準です。

順位 USドル
1 Luxembourg 10,4095
2 Switzerland 80,346
3 Norway 70,553
4 Macao SAR 69,559
5 Ireland 64,782
6 Iceland 59,629
7 Qatar 59,514
8 United States 57,608
9 Denmark 53,745
10 Singapore 52,961
11 Australia 51,737
12 Sweden 51,125
13 San Marino 46,433
14 Netherlands 45,658
15 Austria 44,233
16 Hong Kong SAR 43,561
17 Finland 43,482
18 Canada 42,225
19 Germany 42,177
20 Belgium 41,248
21 United Kingdom 40,050
22 Japan 38,883

出典:World Economic Outlook Database Oct 2017. 2016年, Gross domestic product per capita, current prices.

メリット② アジアの金融、貿易の中心地

シンガポールは、金融、貿易などの面で、東南アジア、広く言えばアジア全体の中心地になっています。

・金融

世界金融センター指数(Global Financial Centres Index, GFCI)によれば、シンガポールはロンドン、ニューヨーク、香港、に次いで世界第4位の金融センターです(東京は5位)。

・貿易

2016年のLloyd’s listによれば、シンガポールは、上海に次いで世界第2位のコンテナ輸送量の港です(日本のトップは、世界29位の東京)。

メリット③ 日系企業の東南アジア統括拠点

日系企業が東南アジアに統括拠点を置く場合、一般的にはシンガポールが選ばれます。

JETROの調査によれば、2010年代に入り、急激にシンガポールを東南アジアの地域本社とする企業が増えています。

出典:JETRO「アジア大洋州地域における日系企業の地域統括機能調査報告書」

シンガポールに地域統括機能を設置する理由

同じJETROの調査で、シンガポールに地域統括機能を設置する理由を質問しています。90%以上の企業が、「周辺地域へのアクセスが容易な立地にあるため」を選んでいます。

しかし、アクセスだけで考えると、マレーシアのクアラルンプールや、タイのバンコクなども同様に東南アジア諸国へのアクセスは良いです。

アクセスの次に回答が多い「ビジネスに関する情報収集が容易であるため」、「英語が広く通用するため、「政治的に安定しているため」などの複数の要因で、総合的にシンガポールが選ばれているのだと思います。

出典:JETRO「アジア大洋州地域における日系企業の地域統括機能調査報告書」

日系企業の東南アジア統括拠点で働くメリット

シンガポールの東南アジア統括拠点で働くメリットは、複数のアジアの国に関わることができる(可能性がある)点です。

タイやマレーシアなど、東南アジアの他の国で日系企業で就職すると、その国の担当で、出張の機会も多くありません。

メリット④ 欧米グローバル企業のアジア本社

多くの欧米企業が、シンガポールをアジアの統括拠点(アジア本社)としています。

欧米企業は、東南アジアだけでなく、日本を含めアジア全体をシンガポール支社で統括しているケースが多いようです。

グローバル不動産サービス会社「DTZ/Cushman & Wakefield」の調査によれば、シンガポールは香港、上海、東京などを抑えて、アジア太平洋地域の拠点として最も有力な都市になっています。

例えば、Google、Facebook、P&Gなど多くの著名な欧米グローバル企業が、アジア本社をシンガポールに設置しています。

欧米企業のアジア本社で働くメリット

日本でも欧米外資に就職はできます。

しかし、日本支社の社員は基本的には国内市場のみを担当します。欧米外資の仕事は、意外に国際的でない業務も多いです。

一方で、シンガポールのアジア本社で働けば、実績次第ですが、アジアの複数の国を統括できるポジションも視野に入ります。

また、シンガポールにアジア本社がある場合、日本支社はシンガポールに報告する立場です。必然的に、日本よりもシンガポールの方が権限の高いポジションが多くなります。

欧米企業がアジア本社をシンガポールに設置する理由

欧米企業がシンガポールにアジア本社を設置するのも、上記の日系企業と同じような理由が多いようです。特に東京と比較した場合は、「英語が広く通用するため」、「低い法人税率」が大きな要因として指摘されています。

メリット⑤ 英語が公用語

東南アジアや中国に比べて、シンガポールで就職するメリットは英語が公用語なことです。

海外就職を目指す人の大部分は、英語+日本語でのキャリアを想定しています。東南アジアでの就職でも、タイ語やマレーシア語メインで考えている人は、ほとんどいません。

シンガポール人の英語は、英米の英語から見るとなまっていますが、ネイティブレベルの流暢さです。シンガポール人以外でも、英語ネイティブの外国人も多くいます。

英語が公用語でない国は、英語を学ぶ環境としては適していない

英語が公用語ではない国で働くと、日本と同じで、ネイティブレベルの英語を話せる人は非常に少ないです。会社の外では、英語も通用しないこともあります。

海外就職を通じて、英語を磨きたい人にとっては、東南アジアや中国は、良い環境とは言えません。

メリット⑥ 国際的で、外国人が住みやすい環境

シンガポールは多民族国家です。シンガポール人は、中華系、マレー系、インド系など他民族で構成されています。外国人の数も多く、居住者の39%を外国人が占めています(永住を含め)。

英語の他に、中国語、マレー語や、インド系のタミル語も公用語です。シンガポール人の多くは、英語+中国語など最低2カ国語を流暢に話します。

シンガポールは外国人にとって住みやすい、働きやすい環境です。外国人であることが特別なことではないからです。

メリット⑦ 日本人が増えている

シンガポールの発展に伴って、シンガポールに長期滞在、永住している日本人の数が増えています。

日本人が多くなれば、日本食のレストランや、日本の食材を置いてあるスーパーが増えるなど、日本人にとって過ごしやすい環境になります。

また、日本人向けのサービスが多くなれば、それを提供する会社の日本語人材の求人も増えます。

メリット⑧ 良好なワークライフバランス

日本企業のブラック企業ぶりは、近年日本でも問題視されています。

シンガポール就職経験者の体験談を読むと、シンガポールは残業日数、休暇の取得率、上司のハラスメントなどの面で、日本よりも良好な職場環境と評価されています。

日本のワークライフバランスは世界最低水準

実際のところは、シンガポールの環境が良いというよりも、日本が特別に悪いという方が正確だと思います。

OECDの「より良い暮らし指標(Better Life Index)」2016年版によれば、日本のワークライフバランス(Work Life Balance)は、調査対象38ヵ国中34位です。(シンガポールは調査対象外)

上位は、オランダ、デンマーク、フランス、スペイン、ベルギーと全てヨーロッパの国です。ヨーロッパ人は、定時にきっちり帰り、長期間のバケーションを取ることが一般的です。

日本よりも悪いのは、イスラエル、韓国、メキシコ、トルコ。韓国は、日本以上にワークライフバランスが悪いと聞くことが多いので、納得の順位です。

メリット⑨ 女性が職場で不利にならない

日本の女性の「経済的参加度および機会」は世界最低水準

以前よりは改善しているように思いますが、日本は先進国の中では、極めて女性の立場が弱い国です。世界経済フォーラム(WEF)の「ジェンダー・ギャップ指数」2016年版によれば、日本は調査対象144カ国のうち111位です。

日本の評価が悪い要因は、経済的参加度および機会で、全体の順位よりも更に悪い118位。日本は、女性が経済的に活躍しにくい社会なのです。

シンガポールは、女性が経済的に活躍できる社会

シンガポールの「経済的参加度および機会」は16位と高水準です。

日本のように女性だから昇進が不利になったり、セクハラを受けたりする機会は少ないと思います。

メリット⑩ 生活環境が良い

東南アジアの他の国での就職に比べると、先進国のシンガポールは、生活環境の面で住みやすいです。特に女性は生活環境が東南アジア就職のネックになる人も多いです。

シンガポールの街並みは、日本以上に清潔で整然としています。

治安の良さも世界最高水準です。世界平和度指数(Global Peace Index)によれば、シンガポールは163か国中21位です。日本の10位よりは低いですが、オランダやスペインと同レベルに安全な評価です。

メリット⑪ 日本より税金が安い?

シンガポールは税金が安いというイメージがあります。

確かに個人所得税率は、シンガポールで最高22%(2017年から)、日本では最高55%(所得税45%+住民税10%)と大きな開きがあります。高額納税者にとっては、大きな違いがあります。

普通の会社員にとって、日本の所得税は高くない

しかし、普通のサラリーマンにとっては、実際のところ日本の所得税率は高くありません。むしろ、他の先進国よりも低い水準です。

国税庁の資料によれば、単身で給与収入700万円の場合、所得税+住民税は68.2万円で、給与の10%未満です。扶養家族がいる場合や、住宅ローンがある場合などは、所得税控除額が増えるので、更に所得税は低くなります。

一般的な収入のサラリーマンにとって、所得税の差は、働く国を決めるほどの大きな額ではないと思います。

出典:国税庁「税の国際比較」

シンガポールの所得税率

それでも気になる人、外資金融のフロント職など高額納税者の場合は、シンガポールの所得税について具体的に調べてみましょう。

IRAS(シンガポールの国税庁)のサイト

シンガポールについての本

物語 シンガポールの歴史 エリート開発主義国家の200年 (中公新書) – 岩崎育夫 (著)


リー・クアンユー物語:国家を創った男 – 鍋田吉郎 (著),‎ 藤原芳秀 (著)

シンガポール建国の父といわれる初代首相『リー・クアンユー』。
第二次大戦の植民地支配からの解放、マレーシアからの独立…
激動の時代を駆け抜け、現在の繁栄の礎を築いた男の半生を
鍋田吉郎・藤原芳秀のコンビが描く。

Amazon.co.jp 商品の説明から抜粋

シンガポール就職・転職のデメリット

  1. 景気は停滞してきている
  2. 就職が難しい
  3. 管理職の求人が少ない
  4. 生活費が高い
  5. 気候が合わない人も多い
  6. 食事が合わない人も多い

デメリット① 景気は停滞してきている

リーマンショックなどの一時期を除いて高い経済成長率を誇っていたシンガポールですが、2012年ごろからは低成長が続いています。特に2015年、2016年の成長率は、1%を割り込んでいます。

低成長が続いていたので、一部ではシンガポール経済の先行きに悲観論も出ています。

シンガポールは既に世界最高水準の一人当たりGDPを達成しています。今後は、他の先進国と同じような成長率に落ち着いていくのではないでしょうか。

デメリット② 就職が難しい

一般的に、海外現地就職は、途上国よりも先進国、所得の高い国の方が難しいです。

数年前までは、シンガポールは先進国の中では、最も日本人が現地就職しやすい国でした。数年前に書かれた体験談を見ると「内定がザクザク出る国シンガポール」のような表現が目につきます。

今は、シンガポールでの就職も難しいです。年々厳しくなって来ています。

まだアメリカやイギリスよりは簡単だと思いますが、タイやマレーシアなど東南アジアの国に比べると、格段に難しいです。

外国人を制限する政策に転換

シンガポール政府は、2013年1月に「Strong Singaporean Core」という政策を掲げ、シンガポール人の雇用を優先することを明確にしています。

以前は緩かった就労ビザの基準は年々厳しくなっています。世界有数の高所得国になったシンガポールで働きたい外国人が多い一方で、外国人労働者が雇用を奪っていると不満に思うシンガポール人も多いからです。

シンガポールのビザについては、こちらの記事もご参照ください。

シンガポール就労ビザまとめ~種類、取得条件、期間、申請方法(2017年更新)
シンガポールでの現地就職を目指す観点でビザ、就労許可を紹介します。新卒&転職。一般向け就労許可。留学生。インターン。ワーキングホリデー、S Pass、Employment Passなど

デメリット③ 管理職の求人が少ない

シンガポールに限らず、海外現地就職に共通する問題点ですが、日本人向けの管理職の求人は少ないです。

日系企業では、赴任者が管理職を担当

多くの海外就職の日本人は、日系企業の現地採用として働きます。日系企業では、幹部の大部分が日本からの赴任者で占められています。赴任者が管理職を担当するので、現地採用者向けの管理職の求人は少ないです。

現地企業や欧米企業では、英語力がネックになる

現地企業、欧米企業でも日本人が就職しやすい、日本語・日本関連の仕事はあります。

しかし、管理職として出世していくには、日本人以外をマネージするための高い英語力が必須になります。現実的に、シンガポール人、インド人や欧米人と比べて、管理職として勝負できるだけの英語力がある日本人は少ないです。

デメリット④ 生活費が高い

シンガポールは、特に外国人にとっては、生活費が高い国です。英経済誌エコノミストの「世界の生活費」ランキングで、シンガポールは世界一生活費が高い国になっています。

住居費が非常に高い

シンガポールの生活費が高くなる最も大きな要因が住居費です。他にも車や酒も税金の関係で非常に高いのですが、住居は誰もが避けられない問題ですし、支出に占める割合も大きいです。

パソナシンガポールによれば、シンガポールでコンドミニアムを借りるにはS$3,500は必要です。日本のように単身者用に作られた部屋が極めて少ないからです。

ルームシェアを許容できる?

一般的に、単身者はコンドミニアムのルームシェアをします。ルームシェアの場合でも、S$1,000~1,500 (コンドミニアム) です。ルームシェアでさえも、東京の単身者用の部屋の家賃と同程度です。

多くの現地就職者にとって、シンガポールで1部屋を借り切ることは困難なので、ルームシェアをすることになります。ルームシェアが苦手な人にはシンガポールは向いていません。

逆にルームシェアが好きな人にとっては、住居費は東京など日本の都会と同程度なので、それほど問題にはなりません。

デメリット⑤ 気候が合わない人も多い

熱帯のシンガポールの気候が合わないという人も多いです(逆に、暑くて安定した気候が魅力だと思う人もいます)。

シンガポールの最高気温は、ほぼ1年を通して30度を超えています。東京の8月くらいの気温が1年中続きます。日本の夏と同じで湿度も高いので、不快な暑さです。

出典:tripnote「シンガポールの気候と旅行のベストシーズン」

シンガポールには(ほとんど)四季がない

シンガポールの四季のなさが苦手な人も多いです。

1年中同じような気候で、季節の移ろいはありません。季節で異なるアクティビティもできなければ、四季折々のファッションも楽しめません。

デメリット⑥ 食事が合わない人も多い

特に単身者の場合、シンガポールでは、自炊はしないで外食になることが多いです。

ルームシェアだと、キッチンが使えないこともあります。自炊をするにしても、シンガポールのスーパーは食材が充実していないと感じる日本人も多いようです。

毎日、ホーカー(フードコード)で大丈夫か?

外食は、ホーカー(フードコード)であれば、1食数百円なので、金銭的な負担は大きくないのです。しかし、口に合わない、毎日ホーカーだと飽きるという日本人が多いようです。

日本食は価格が高い

シンガポールには本格的な日本食もありますが、日本食は価格が高いです。例えば、ラーメンや簡単な定食でもS$15-20くらいします。現地採用の給与だと、毎日食べるのは厳しいかもしれません。

シンガポール就職・転職に向いている人

シンガポール就職のメリット、デメリットの解説は、以上です。

次に、シンガポール就職に向いている人の例を説明します。

  1. 若手で数年間の海外経験を積みたい人
  2. 新卒
  3. 英語メインのキャリアを考えている人
  4. 高額納税者
  5. 海外赴任者
  6. ブラック企業で消耗している人
  7. 差別にうんざりしている女性
  8. 東南アジア旅行が好きな人

向いている人① 若手で数年間の海外経験を積みたい人

シンガポール現地就職の求人のボリュームゾーンは、社会人3-10年目くらいです。20代半ばから30代前半くらいまでが、最もシンガポールで転職しやすい年齢です。

また、将来日本に帰国して仕事をすると想定した場合、日本でも転職しやすいのは30代半ばくらいまでです。

若手の内にシンガポールで働いて、早めに日本に帰国すれば、帰国後の転職活動もスムーズにできます。

シンガポールでの仕事内容にもよりますが、英語を使った仕事をした経験は、外資や海外関連の仕事への転職でプラスになると思います。

向いている人② 新卒

新卒のシンガポール就職は薦めないとする人材紹介会社は多いです。シンガポールというより、新卒の海外就職全般についてネガティブな意見が多いです。

私は、あえて新卒のシンガポール就職を薦めます。

新卒海外就職がお薦めされない理由

人材紹介会社が新卒海外就職に反対するのは、就職の難易度が高いからです。海外は、新卒限定の採用が少なく、基本的には即戦力採用です。新卒も既卒と同じ仕事に応募するので、どうしても不利になります。

人材紹介会社にとって、最も仕事を紹介しやすいのは社会人3-10年目くらいの人です。その頃が、ボリュームゾーンの求人条件に一致するからです。新卒は、成約率が低く、紹介手数料を稼ぎにくいので、優先度が低くなります。

難しくても、価値があれば挑戦すべき

しかし、難しいからお薦めしないというのは、人材紹介会社の立場から見た意見です。

あなた自身は、難しいどうかでなくて、挑戦に値する価値があるかどうかで判断すべきです。人材紹介会社が相手をしてくれないなら、他の方法を探せばいいだけです。

新卒の給与は、シンガポールの方が高くなるケースが多い

シンガポールの一般的な就労ビザ「E-Pass」の最低条件は、固定給の月給S$3600以上(約30万円)です。日本の初任給は約20万円なので、固定給だけ見ると、シンガポールの方が高くなります。

欧米と比べても、日本の初任給は先進国としては低いです。終身雇用の名残で、若手に不利な給与体系だからだと思われます。シンガポールなど他の先進国で就職すれば、日本よりも給与は高くなる可能性があります。

海外経験は、若い頃の方が価値がある

英語の習得や、日本とは異なる文化の理解は、若ければ若いほど有利です。将来、海外と関わる仕事をしたいなら、国内業務で修行をしてからではなく、できるだけ早く海外と関わるべきです。

その他、新卒の海外就職の是非については、こちらの記事もご参照ください。

新卒は海外就職するなという意見に反論してみる
新卒の就活生が海外就職を周りに相談すると、反対されることが多いです。海外就職の専門家も、新卒海外就職は賛成しない人が多いです。3年間は日本にいるべき。社会人マナーを身に着けられないなど。それらの意見は、大した根拠がないことを説明します

向いている人③ 英語メインのキャリアを考えている人

日本語や日本に関係した仕事にこだわらずに、英語メインの「グローバルな」キャリアを作りたい人には、シンガポールは有望な選択肢です。

他の英語圏に比べれば就職が簡単

アメリカやイギリスなど、英語圏の他の国に比べれば、シンガポールの就労ビザは、まだ緩いです。シンガポール人や欧米人と「英語を使った仕事で」競争できる実力があれば、就職はそれほど難しくありません。

下手な英語への許容度が高い

また、シンガポールは、日本人(外国人)のなまっている英語に対する許容度が高いです。シンガポール人の英語も英米の基準では変な発音ですし、インド人など様々な英語なまりのある人が働いているからです。

向いている人④ 高額納税者

高額納税者は、所得税で大きな差が出る

シンガポールの最高所得税率は、日本に比べて低いので、高額納税者になるほど手取りの面で有利です。

例えば、日本の所得税率は、課税される所得金額が1800万円を超えると、住民税含めて50%です。それ以上稼いでも、所得の半分しか手取りになりません。

外資金融のフロント職など、会社員でも課税所得が2000万円を超える人は、少なからずいます。シンガポールなら、最高税率でも22%です。

シンガポールでも日本と同じくらい稼げることが前提

ただし、シンガポールに移って、そもそもの所得が減ったのでは意味がありません。所得税の面でシンガポールを検討するなら、シンガポールでも同じくらい稼げることが前提になります。

向いている人⑤ 海外赴任者

シンガポールに海外赴任をする可能性があるなら、是非狙いましょう。海外赴任の場合には、シンガポール就職のデメリットが少なくなります。

デメリット:管理職の求人が少ない

海外現地採用の場合は、管理職の求人が少ないこと、管理職として出世するチャンスが低いことが大きなデメリットでした。

海外赴任者は、逆の立場です。良いか悪いかは別にして、日系の海外支社では、海外赴任者が社長以下の要職を占めることが一般的です。

また、海外赴任中は、赴任前よりも職位の高い仕事を任されることが多いです。

デメリット:生活費が高い

特に家族がいる人にとって、シンガポールの生活費は日本よりも高くなります。

最も大きな支出の住居について、海外赴任者には、住居手当が支給されることが普通です。企業によって、手当の上限は異なりますが、環境の良い中心部のコンドミニアムに無料で住むことができます。

就学年齢の子供がいる場合、子供の教育費も日本より高くなります。赴任者には、日本人学校の費用など、子女の教育費が補助されることが一般的です。

海外赴任については、こちらの記事もご参照ください。

海外赴任 / 駐在が多い企業・業界、赴任しやすい職種
海外赴任を目指すなら、海外赴任が多い企業や業界で就職することが近道です。本記事では、海外赴任に興味がある学生、社会人向けに、海外赴任が多い企業、業界、職種について解説します。

向いている人⑥ ブラック企業で消耗している人

シンガポール就職の経験者で、職場環境の良さを挙げる人は多いです。

上記で説明しましたように、日本は世界最低水準のワークライフバランスの国なので、他の国で働けば、ワークライフバランスが改善する可能性が高いのは当然です。

毎日遅くまで残業、意味もなく長い会議、同僚より先に退社できない雰囲気。転職しようにも、同業他社は、似たような会社が多そう。そんなブラック企業で消耗されている方は、気分を変えて、シンガポール転職を目指してみては、いかがでしょうか?


ブラック企業 日本を食いつぶす妖怪 (文春新書) – 今野晴貴 (著)

向いている人⑦ 差別にうんざりしている女性

先ほど紹介しましたように、日本の女性の「経済的参加度および機会」は世界最低水準です。

日本の会社で男女差別やセクハラにうんざりしている女性は、シンガポールなど女性の経済的参加度が高い国に目を向けてみるのは、いかがでしょうか?

向いている人⑧ 東南アジア旅行が好きな人

最後にキャリアの話ではないですが、東南アジア旅行が好きな人にとっては、シンガポールは夢のような立地です。

タイ、ベトナム、マレーシア、インドネシアなど、東南アジアの主要都市、観光地には、ほぼ3時間以内で行けます。

例えば、直行便で、プーケット島までは2時間弱、バリ島までは3時間弱です。便数も多いので、週末でもリゾート滞在が楽しめます。

航空券も格安です。日本よりも格安航空会社の便数が多いので、安ければ1万円くらいで往復ができます。


死ぬまでに絶対行きたい世界の楽園リゾート (PHPビジュアル実用BOOKS) – 三好 和義 (著),‎ たかせ 藍沙 (その他)

シンガポール就職に向いていない人

  1. 管理職の人
  2. 家族がいる人
  3. 仕事は誰かに教えてほしい人、会社に育ててほしい人
  4. 日本の会社で出世したい人

向いていない人① 管理職の人

さきほど説明したように、普通の日本人会社員にとって、シンガポールで管理職の仕事を見つけるのは難易度が高いです。

もちろん見つかれば何の問題ないのですが、難しいということは認識した上で、就職活動をした方がよいかと思います。

向いていない人② 家族がいる人

家族と住む場合、シンガポールの生活費は、日本よりも高くなります。

住居費が高い

コンドミニアムを借りると、普通の物件でもS$3500(約30万円)くらいです。手取り年収で1000万円以上はないと厳しいのではないでしょうか。

単身者であればルームシェアをすることで費用を抑えることも可能ですが、家族がいれば、そうはいきません。

教育費が高い

シンガポールに限らず、海外現地就職全般の問題ですが、外国での子供の教育費は高額になりがちです。

地元校は高くないですが、日本との教育システムの違いや言語の問題で、日本人学校で学ぶことが多いからです。

海外の日本人学校は、日本の公教育よりも費用がかかります。インターナショナルスクールで学ばせたい場合は、更に高額になります。

赴任者の場合は、子供の教育費も赴任補助に入っている場合が多いです。現地採用の場合は、高い教育費を自分で負担しなければなりません。

シンガポールの教育事情について、こちらの記事が詳しいです。

今日もシンガポールまみれ:シンガポールと日本の学費・学力比較:アメリカンスクール/UWC/早稲田渋谷/日本人学校/慶應義塾

向いていない人③ 仕事は誰かに教えてほしい人、会社に育ててほしい人

シンガポールに限らず、海外就職全般についてですが、会社からの手厚い研修や教育を期待する人は、シンガポール就職は止めておいた方がいいです。

シンガポール就職は、基本的に即戦力採用です。日本のような新卒向けの手厚い新人研修は期待できません。そもそも、新卒に限定して採用することが少ないからです。

反対に、即戦力採用で、研修が少ないということは、すぐに実践的な仕事を始められるということです。自律的に自分で仕事を覚えられる人は、かえって良い環境だと思います。

向いていない人④ 日本の会社で出世したい人

将来的に、新卒採用が主流の会社、業界で出世を目指すつもりなら、海外就職は止めておいた方が無難です。新卒で希望の会社に入って、出世競争を戦いましょう。

伝統的な日本企業の多くは、新卒一括採用です。シンガポール就職をして、日本の新卒チケットを放棄することは、希望の日系企業で働く可能性が小さくなるということです。中途採用を積極的に行わない日系企業で働きたい人には、新卒での海外就職はお薦めできません。

転職についても同様で、一度海外に出てしまうと、新卒採用が主流の企業に戻って働くことは難しくなります。日本に帰国後は、外資や、日系でも中途採用が多い会社で働くことになります。

シンガポール就職後のキャリア

最後に、シンガポール就職後のキャリアについて解説します。

シンガポール就職を決める前に、就職した後の中長期的なキャリアについても、大まかでも考えておきましょう。就職をして数年たってから「こんなはずではなかった」と分かっても遅いからです。

選択肢① 日本で転職する

シンガポール就職後の一般的な選択肢は、数年後に日本に帰国して転職することです。

上記で説明したように、現地就職をした人が管理職として出世していくことは難易度が高いです。

数年間シンガポールで海外経験を積んだ後は、シンガポールで働き続けるよりも、日本に戻って転職する方がキャリアップにつながる人が多いと思います。

シンガポールでの経験を活かせる仕事としては、英語力を評価される外資企業や、日系での海外関連の仕事が考えられます。

選択肢② 日本関連の仕事で海外を渡り歩く

シンガポールに限らず、日系企業の海外支社は、できれば海外就職経験のある人を現地採用したい思っています。しかし、海外で働いた経験のある日本人は多くありません。

一度、海外で働けば、海外経験者として海外就職は有利になります。特に東南アジアでは、日系企業の現地採用は売り手市場です。国を跨いで、日系企業を渡り歩いている現地採用者も多いです。

注意点として、現地採用者が管理職として出世しにくいのは、東南アジアの他の国でも同じです。他の国でも、日系の現地採用者は赴任者の下で働くことが一般的です。

選択肢③ 日本と関係ない仕事をする

長期的にシンガポールや英語圏の他の国でキャリアップをしたいなら、日本語や日本に関係する仕事にこだわらずに、英語と専門性だけで仕事をするキャリアも考えましょう。

現地企業や欧米企業であれば、実力さえあれば、国籍を問わずにキャリアアップしていくことが可能です。

しかし日本担当だと、担当者レベルの仕事しかない会社が多いです。現地・欧米企業で出世していくためには、日本人以外、日本関係以外のビジネスをマネージする必要があります。

一般的な日本人だと英語力の面で難しいですが、日本関連限定のキャリアに比べて、選択肢は遥かに広くなります。

日本と関わらない仕事で海外で働く選択については、こちらの記事もご参照ください。

日本とは関係ない仕事で海外就職をする選択肢
海外就職を目指す人の動機で「日本と海外の架け橋になりたい」という趣旨の言葉をよく聞きます。しかし、個人が海外で働くときに、日本の国を背負って就職する必然性はありません。日本と関係ない仕事で海外就職する選択肢を解説します。

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