オーストラリアの永住権~ビザの種類・取得の方法

画像:Pixabay クリエイター「kathiemt」

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オーストラリアの永住権とは

オーストラリアの永住者(Permanent Resident)とは、オーストラリア市民(Citizen)ではないが、永続的なビザを持っている人のことです。

永住者は、オーストラリアで制限なしで、住み、働き、学ぶことができます。

永住者の資格を、永住権を呼びます。

永住者でないと、長期的にオーストラリアに住むのは不都合

永住者でなくても、就労ビザなどでオーストラリアに住むことはできます。しかし、以下の項目など、永住者に比べて様々な不都合な点、不利な点があります。

・社会保障(Social Security)の対象にならない

年金(Age Pension)、産休・育休給付(Maternity Payment 、Parenting Payment)などを受けることができません。

Australian Government「Social Security Payments – Residence Criteria」

・公的な医療保険 (Medicare)の対象にならない

オーストラリアは、日本の健康保険と同じように、Medicareという公的な医療保険があります。

外国人がMedicareに加入するには、既に永住権を持っているか、永住権を申請している必要があります。

Australian Government「Who can get a Medicare card」

・保育費の補助が受けられない

オーストラリアの保育サービスは、日本と比べて高額です。保育費の半額程度は、国から補助が出るのですが、永住者でなければ、補助は受けられません。

オーストラリアの保育サービス・就学前教育~制度や費用
オーストラリアに住んでいる人、オーストラリアへの移住を考えている人向けに、オーストラリアでの保育サービス、就学前教育の費用や制度などについて解説します。

永住権を申請できるビザの種類

永住権を申請できるビザは、大きく分けると、仕事、家族、投資/起業の3種類です。

① 仕事:オーストラリアで仕事をするためのビザ

② 家族:オーストラリア人、永住者の配偶者、子供、両親として申請するビザ

③ 投資/起業:事業への投資、起業の目的で申請するビザ

① 仕事向けの永住者ビザ

仕事のための永住権を申請できるビザには、以下があります。

スポンサー必要 スポンサー不要
地域制限あり Regional Sponsored Migration Scheme Visa (subclass 187) Skilled Regional visa (subclass 887)
地域制限なし Employer Nomination Scheme (ENS) Visa (subclass 186) Skilled Nominated Visa (Subclass 190) 州政府の推薦が必要
Skilled Independent Visa (Subclass 189) 州政府の推薦は不要

スポンサー(雇用主)が必要か?

Subclass 186, 187は、あらかじめ就職先を確保して、雇用主に「スポンサー」になってもらって申請します。

「Skilled」とついているSubclass 189、190、887は、申請にスポンサーは必要ありません。技能(Skill)に基づいて申請するビザという意味です。

Skilledビザを申請するには、英語力、就労経験、学歴などで決まる「Point」の基準をクリアする必要があります。更に、ポイントをクリアしても、申請するには、オーストラリア政府から「招待」される必要があります。

一方で、スポンサーが必要なビザは、Pointの基準はないですが、スポンサーを見つけることが難しいです。

地域制限があるか?

「Regional」とついているSubclass 187、887は、住む地域に制限があるビザです。シドニー、メルボルン、ブリスベン、パースなどの都会は含まれていません。

地域に制限があるので、制限なしのビザより難易度が低くなります。都会には拘らない人で、地方で仕事が見つかるなら、Regional visaは、有力な選択肢かと思います。

オーストラリアの地方エリアに移住・就職する
オーストラリアの永住権ビザは、職種の制限があります。地方エリア(Regional Australia)で働く場合、職種制限が緩くなります。シドニー、メルボルン、パース、ブリスベン、ゴールドコーストは対象外。アデレード、キャンベラなどが地方エリアです。

州政府の推薦が必要か?

Subclass 189、190は、スポンサーも必要なく、地域制限もないビザです。

違いは、Subclass 190は州政府の推薦(Nomination)が必要な点です。

Subclass 189は、Skilled Independentという名の通り、どこからもスポンサーも推薦も受けず、技能だけで申請します。

仕事関連のビザについて、詳しくは、こちらをご参照ください

オーストラリア就労ビザまとめ~種類、取得条件、期間、申請方法(2018年更新)
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② 家族向けの永住者ビザ

家族がオーストラリア人、永住者の場合は、次のビザで永住権を申請できます。

・配偶者向け:Partner visa (Subclass 801)

配偶者として永住権を取得できるビザ。オーストラリア市民、永住者、ニュージーランド市民の配偶者が申請できます。

Australian Government「Partner visa (subclasses 820 and 801)」

・子供向け:Child visa (Subclass 101)

オーストラリア市民、永住者、ニュージーランド市民の子供で、25歳未満の場合、Subclass 101で永住権を申請できます。

Australian Government「Child visa (subclass 101)」

・両親向け:Aged Parent visa (subclass 804)

自分の子供が、オーストラリア市民、永住者、ニュージーランド市民の場合。

Australian Government「Aged Parent visa (subclass 804)」

③ 投資家・起業家向けの永住者ビザ

投資、起業関連で、永住権を申請できるのは、次のビザがあります。

・企業家向け

Business Talent (Permanent) visa (subclass 132)

・企業家・投資家向け

Business Innovation and Investment (Permanent) visa (subclass 888)

・投資家向け

Investor visa (subclass 891)

永住権を得るための戦略

仕事向けのビザで永住権を申請するための戦略を説明します。

家族向けのビザで永住権を取る人も多いです。家族に永住者がいる場合は、家族向けビザ申請の一択です。

起業・投資ビザで申請する人は少ないので、本記事では割愛します。

① Skilledビザで、直接永住権を申請する

Skilledビザであれば、オーストラリアの就労経験がなくても、直接永住権を申請できます。

・Skilled Independent Visa (Subclass 189) 州政府の推薦は不要

・Skilled Nominated Visa (Subclass 190) 州政府の推薦が必要

Skilledビザの申請であれば、ビザのスポンサーを探す必要はありません。まずは、Skilledビザで申請できるか検討してみましょう。

② 地方エリアで期限付きのSkilledビザを取得

もうひとつのSkilledビザ「Skilled Regional visa (subclass 887)」は、地方エリア向けです。

申請する前提として、「Subclass 489」など期限付きで地方エリアで就労できるビザを持っている必要があります。

・Skilled Regional (Provisional) visa (subclass 489):期限あり

・Skilled Regional visa (subclass 887):永住

地方エリアでもオーストラリアで働きたいと思うなら、Subclass 489から始めて、Subclass 887を目指すのが有力な選択肢です。

就職先が見つかるかは別問題

地方エリアは、シドニーやメルボルンに比べて仕事が少ないです。日本人が有利な仕事、自分の専門に合った仕事を探すのも、難易度が高くなります。

Subclass 489が取得できても、仕事が見つからなければ、Subclass 887は申請できません。

③ 永住権のスポンサーを探す

Skilledビザが申請できない場合、スポンサーが必要な永住権ビザの申請が考えられます。

・Employer Nomination Scheme (ENS) Visa (subclass 186):地域制限なし

・Regional Sponsored Migration Scheme Visa (subclass 187):地域制限あり

理論的には、このビザも日本から直接申請することはできます(「Direct Entry (DE) stream」で申請)。

④ 期限付きの就労ビザのスポンサーを探す

現実的には、オーストラリアでの就労経験がない人が、永住権ビザのスポンサーを探すのは困難です。

スポンサーが見つかったとしても、まずは期限付きのビザからになると思います。オーストラリアで実績を積めば、永住権の申請も有利になります。

・Temporary Skill Shortage visa (subclass 482)

期限付きのビザであっても、スポンサーを探すのは難しい

しかし、期限付きのビザであっても、スポンサーを探すのは難しいです。

また、そもそも、フルタイムの仕事を探すのは、永住権ビザがないと難しいです。応募の条件として、永住権必須としている仕事が多いからです。

鶏と卵の関係ですが、ビザがないから仕事が見つからず、仕事がないからビザも申請できないという状況になります。

何年働いても、永住権に切り替えられるとは限らない

Subclass 482で働いても、永住権のビザに切り替えられるとは限りません。

例えば、永住ビザの方が職種の制限が厳しいので、永住ビザの対象にならない職種では、申請できません。

将来、オーストラリアで永住することを考えているなら、永住ビザを取得する条件は何なのか、どのような経歴を積めば永住権に近づけるのか、できる限り調べておきましょう。

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⑤ 大学・大学院に留学する

上で説明したように、ビザがないと仕事を見つけることが難しいです。仕事が見つからなければ、ビザを得ることができません。

自力で、就労できるビザを申請する方法として、留学があります。

留学して、そのままオーストラリアでの就職を目指す

留学生向けのビザは、大学・大学院に合格しさえすれば、簡単に取得することができます。

高校生、大学生の場合、まずはオーストラリアの大学・大学院での留学して、そのままオーストラリアでの就職を目指すことをお薦めします。

在学中にアルバイトができる

時間数など制限はありますが、在学中に働くことができます。

希望の職種でアルバイト(インターンシップ)ができれば、アルバイト先がビザのスポンサーになってくれるかもしれません。そうでなくても、オーストラリアでの職歴ができるので、仕事を探す上で有利になります。

留学の後は、2~4年働けるビザが申請できる

留学後限定で使える、Temporary Graduate visa (subclass 485)というビザがあります。

一般の就労ビザよりも、緩い条件で就労できます。大学卒以上の場合は、ほぼ制限なしで2-4年間仕事ができます。一般的な就労ビザと異なり、ビザ申請の前に雇用者を確定する必要もありません。

オーストラリアの留学生向けの就労ビザまとめ
オーストラリアの留学生向けに、オーストラリアの就労ビザについて説明します。アルバイト、インターン、Temporary Graduate visa、ビザが取りやすい専攻など

Temporary Graduate Visaで就労経験を積んで、スポンサーを探す

Temporary Graduate Visaによって、オーストラリアでの就労経験を積むことができます。就労経験があることで、永住権や、就労ビザの申請が有利になります。

また、勤務先からの評価が高ければ、スポンサーになってくれる可能性もあります。

⑥ 社会人留学

社会人にも大学院留学はお薦め

社会人は、直接就労ビザを申請することも選択肢です。

しかし、オーストラリアに縁もゆかりもない日本人が、直接オーストラリアで仕事を見つけるのは、難易度が高いです。

すぐに就職するのが難しそうであれば、大学院留学を挟むことをお薦めします。もし、留学の後に仕事が見つからなくても、日本での転職にも役に立つと思います。

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⑦ 永住権ビザが取りやすい職種で経験を積む

オーストラリアでの永住を考えているなら、永住権が取りやすい職種で職歴を積んでおくことが大事です。

永住権ビザを申請することができる職種は、制限されているからです。例えば、営業、マーケティングや事務など、いわゆる文系の普通の職種では、永住権を申請するのは、非常に厳しいです。

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⑧ ビザ・移住のコンサルタントに相談する

永住権の資格を自分で判断するのは、難易度が高い

永住権の情報は、オーストラリア政府のサイトに詳しく記載されています。

しかし、永住権の申請条件は非常に複雑なので、自分自身で判断するのは、難易度が高いです。

また、公式情報では判断が難しいこともあります。例えば、永住権を申請できる職種は公開されていますが、自分の職歴が対象の職種に当てはまるのか、判断が難しいです。

分からない点は、専門家に相談する

オーストラリアは移住が多いので、移住をサポートするコンサルティングの会社が多くあります。

移住を取り扱う専門家は「Migration Agent」と呼び、必ず政府に届け出る必要があります。正式なエージェントかは、こちらのサイトで確認できます。

Australian Government「Search the Register of Migration Agents」

英語だと「Australia Migration Agent」、日本語だと「オーストラリア 移住 エージェント」などで検索できます。日本語で対応してくれるエージェントもあります。

検索で上に出てくるエージェントは問題ないとは思いますが、念のため正規の資格を持ったエージェントか、必ず上記のサイトで確認しましょう。

料金はケースバイケース

料金は、相談や申請の内容によって異なるので、固定の料金をサイトで掲載しているエージェントは少ないです。

まず、問い合わせ内容を送って、エージェントに見積もりをもらいます。問い合わせをするのは無料なので、まずは、どのくらいの料金がかかるのか聞いてみましょう。

簡単な質問であれば、無料相談を受け付けているエージェントもいます。参考までに、私は、以下のエージェントに相談しました。

Cultural Training Service Australia

Go Australia Visa Consultant

Australian VISANET

AOM Visa Consulting

専門家に相談する前に、自分で理解することが重要

一方で、専門家に丸投げするのも止めましょう。彼らは、移住に関する専門家ですが、あなたのキャリア全般のアドバイザーでもなければ、人生プランナーでもありません。

できる限り、自分で調べて、自分で考えたうえで、第三者に相談しましょう。

まとめ

・永住者でないと、社会保障などの面で、長期的にオーストラリアに住むのは不都合

・永住権を申請できるビザは、大きく分けると、仕事、家族、投資/起業の3種類

・仕事での永住権は、スポンサー(雇用主)が必要か、地域制限があるか、などの分類がある

・まずは、スポンサーなしで申請できる、Skilledビザを検討する

・Skilledビザが申請できないなら、スポンサーを探す

・実際のところ、オーストラリアで就労経験がない人がスポンサーを探すのは難しい。留学すれば、期間限定で就労できるビザを取得できる

・永住権が取りやすい職種で経験を積むことが重要

・ビザで不明な点は、お金を払って専門家に相談することも検討する


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