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カナダでの現地就職を目指す観点で、カナダのビザを紹介します。
カナダのビザ、就労許可の情報は、カナダ政府のサイトに非常に詳しく記載されています。本記事に掲載されている英語のリンクも、すべてカナダ政府のサイトです。難点は、情報が膨大で、読み込むのが難しいことです。本記事で、概要を理解して、詳細はカナダ政府のサイトで確認しましょう。
*当記事も含めて、第三者によるのビザについての説明は、情報が遅れている、または解釈が間違っている間違っている可能性があります。気になる点は、カナダ政府のサイトか、カナダの公的機関に確認しましょう。
目次
- 1 まとめ
- 2 ビザとPermit
- 3 ワーキングホリデー(Working Holiday)
- 4 留学中のアルバイト
- 5 留学中のCo-op、Intern
- 6 留学後の就労(Post-Graduation Work Permit)
- 7 企業内転勤者(Intra-company transferee)
- 8 労働市場影響評価が必要なケース(Temporary Foreign Worker Program)
- 9 Canadian Experience Class
- 10 Federal Skilled Worker Program
- 11 Federal Skilled Trades Program
- 12 その他の移民(永住権)申請プログラム
まとめ
<非居住者としての期間限定の就労>
1-3年間の比較的に短期の就労については、アメリカなどと比べて取得が容易です。短期間海外で働いてみたい人には、カナダは有力な選択肢だと思います。
一方で、非居住者として、長期間の就労許可を得るのは、非常に難しいです。
・ワーキングホリデー
18歳以上-30歳以下で、基本的に誰でも参加できる取得できる。仕事の制限もなし
・留学中のアルバイト
アルバイトが許可されています。語学学校は対象外です。
・留学中のCo-op、Intern
専門学校などで、「Co-op」または「Intern」など在学中の就業経験が必須になっているプログラムについては、就業許可を取ってパートタイムで働きます。特に観光(ホスピタリティ)関連の学校で多いようです。
・留学後の就労プログラム(Post-Graduation Work Permit Program)
最長3年間までフルタイムで働けます。語学学校は対象外です。卒業さえすれば、基本的に誰でも働けます。就労先の制限もありません。また、終了後に、移民(永住権取得)の申請をすることもできます。
・企業内転勤者(Intra-company transferee)
上級管理職または専門知識が必要なポジション限定ですが、転勤の場合の申請は比較的容易です。
・労働市場影響評価が必要なケース(Temporary Foreign Worker Program)
以上のケースに当てはまらない場合の大部分は、Temporary Foreign Worker Program(TFWP)の対象になります。原則として、Temporary Foreign Worker は、その仕事に対応できるカナダ人・永住者がどうしても見つからない場合のみ一時的に雇うことができます。
Temporary Foreign Workerとして働くには、先に雇用企業がLabour Market Impact Assessment(LMIA、労働市場影響評価)を申請しなければなりません。カナダ政府は、Temporary Foreign Workerを推奨していないので、LMIAの審査は厳しいです。
日本人の実績は極めて少なく、LMIAを申請することを前提に、カナダで就職活動をすることは推奨しません。
<移民(永住権)申請>
他の国だと永住権の申請は、何年間か非居住者として滞在した後で、申請するケースが多いです。カナダでは、カナダに住んだことがない人の申請も受け付けています。カナダにとって価値のある外国人労働者であれば、滞在年数に関係なく、永住での就労を許可する方針のようです。
申請が可能な最低限の条件は厳しくないです。「Canadian Experience Class」以外は、カナダでの滞在経験も必要ありませんし、特別な学歴や職歴が必要なわけでもありません。
しかし、実際に申請を受け付けてもらえるかは、「Comprehensive Ranking System」という、評価システムで優先順位が決まります。学歴、職歴、年齢、内定があるか、カナダとの関わりが強いか、などの要因があります。簡単に優先順位の点数が計算できますので、自分の現在の条件だと、申請が通る可能性があるのか、どのような経験をすれば点数が上がるのか(例えばカナダ留学とか)、確認してみましょう。
・Canadian Experience Class:カナダでの職歴がある人向け。様々な職種。
・Federal Skilled Worker Program:カナダでの職歴がない人向け。様々な職種。
・Federal Skilled Trades Program:料理人など、一部の技術職が対象。カナダでの内定があるか、カナダ政府公認の資格を持っていることが必要。
ビザとPermit
カナダのビザで分かりにくいのは、ビザと「許可証(Permit)」が分かれていることです。カナダのビザに関する多くの記事では、Permitのことをビザと読んでいますが、本当は誤りです。ビザを取る条件と、Permitを取る条件は、分けて考える必要があります。
カナダのビザは、就労、留学、観光など用途別に分かれていません。ビザは同じで、用途ごとの許可はPermitを申請します。Work permit、Study permitなどです。カナダ政府の公式ページで、「Work visa」を探しても見つからないのは、そのためです。
アメリカなど、大部分の主要国では、滞在の目的ごとにビザの種類が異なります。長期の就労用のH-1B、留学用のF-1などです。就労の場合は、就労の許可を得てから、就労ビザを申請します。
<ビザ>
日本人の場合は、電子渡航認証(eTA)か、Visitor visaの二通りがあります。就労許可(Work Permit)を申請する場合は、eTAかVisitor visaがPermitと同時に発行されます。よって、eTAかVisitor visaどちらが必要かは、考える必要はありません。
電子渡航認証(eTA):6か月までの滞在について、日本国籍の場合は、ビザの申請が免除されています。以前は、事前の申請は必要なかったのですが、2016年3月から、eTAの事前申請が必要になりました。
Visitor Visa:正式名称「Temporary resident visa (TRV)」。6か月を超える滞在の場合に申請します。
<Permit>
滞在の目的に合わせて申請します。大きく分けると、Work permit、Study permit、Visitor permitがあります。
カナダで就労するには、無償でも有償でも必ずWork permitが必要です。申請者の条件や、雇用する企業・団体によって、様々なWork permitがあります。
<参考>
Should I apply for an eTA or a visa when I apply for a work permit? (英語)
What is a temporary resident visa (TRV)? (英語)
ワーキングホリデー(Working Holiday)
1年限定、年齢制限がありますが、誰でも、簡単にカナダでのWork permitを取得できます。
ワーキングホリデー(Working Holiday)とは、日本とワーキングホリデー協定を結んだ外国に1~2年の滞在許可が下り、その間に就学、旅行、就労することができる制度です。
カナダの他にも、英語圏であれば、オーストラリア、ニュージーランド、イギリス、アイルランド、アジアですと韓国、台湾、香港など、様々な国が参加しています。
カナダのワーキングホリデーは、「International Experience Canada (IEC)」という交流プログラムの一つの位置づけです。IECには、「Young Professionals」、「International Co-op Internship」というプログラムもありますが、残念ながら日本国籍のは対象外です。
他の国のワーキングホリデーと同様で、事前に就労先を決めておく必要はありません。途中で就労先を変えても問題ありませんし、働かなくても問題ありません。
<主な申請条件>
・申請条件は緩いです。条件さえ満たしていれば、基本的には許可されます。
・18歳以上、30歳以下
・カナダでのワーキングホリデーに過去に申請したことがない
・カナダでの滞在費用のために、2,500カナダドル相当以上の資産を持っている
<期間>
・12か月間
・その内、学校に通える期間は最大6か月です
Is it possible to study in Canada while participating in IEC?
<活用方法>
・「ホリデー」を楽しむ
就労に限定したビザではないので、勉強も、仕事もせずに、カナダを気ままに楽しんでも、全く問題ありません。
・主に英語の勉強のため
一般的なワーキングホリデーの過ごし方は、まず語学学校に入学して、語学を学びながら、アルバイトを探す人が多いようです。カナダのワーキングホリデーの注意点は、6か月しか学校に通えないことです。1年間、語学学校に通いながら、アルバイトもする使い方はできません。
・就職活動の時のネタとして
例え、アルバイトであっても、就職活動の時のアピールポイントとして使えると思います。簡単な内容でも、外国で外国語で仕事をすることは、日本でのアルバイトとは異なる経験です。
単純作業ではなく、社員と同じ仕事内容であれば、なお経歴として強いです。アルバイトというより、インターンですね。外務省のサイトには「休暇目的の入国及び滞在期間中における旅行・滞在資金を補うための付随的な就労を認める制度です」と、あくまでも就労は休暇の付随的な目的と書いてあります。しかし、対象となる仕事の制限はなく、フルタイムでも問題ないようです。一般的には、飲食店などでのアルバイトの位置付けの仕事を得る人が多いですが、オフィスでフルタイムの仕事をしている例も見られます。
・カナダでの長期の就労の足掛かりとして
長期のWork permitを取るには、雇用企業を見つけて、申請のスポンサーになってもらう必要があります。カナダの現地にいた方が、情報も入ってきやすいですし、直接企業と話すことができます。
<申請方法>
下のカナダ政府のサイトで、オンラインで申請ができます。カナダ大使館・領事館では受け付けていません。英語で、ややこしい説明もありますが、実践的な英語の勉強にもなりますので、頑張って申請しましょう。
Application process at a glance – International Experience Canada
注意点として、ワーキングホリデー開始のタイミングです。まず、年度の申請枠があり、埋まってしまっていれば、来年度の受付開始を待つしかありません。申請受付中でも、いつ申請できるかは、希望者の中から抽選で選ばれます。いつまでも選ばれない可能性もあります。また、申請開始してから、許可が下りるのも最長8週間程度かかります。いつ開始できるか時間が読めないので、事前にスケジュールを決めるのは避けた方がよいです。特に会社を辞めてから、申請開始するのは止めましょう。
*留学エージェントなどで、申請の代行をしている業者があります。私としては、自分で申請することを強く推奨します。これから、1年間カナダで生活し、仕事もしようと思っている人は、このくらい自分でできないとダメです。実践的な英語の訓練にもなります。もし利用する場合は、何が料金に入っているか、きちんと確認しましょう。特に、政府への申請費用、英文履歴書の作成です。代行の内容をサイトで見ても、はっきりしない業者が多いです。
留学中のアルバイト
カナダでは、留学生に就労を許可しています。Work permitの取得は必要ありません。特に夏休みは長いので、夏休み中にアルバイトやインターンをすると良い経験になります。
<主な条件>
・カナダの大学などにフルタイムで留学している。語学学校は該当しません。
・学外(Off-campus)の仕事の場合、学期中は20時間まで。長期休暇中は、フルタイムで働ける。
<申請方法>
Study permitで働けるので、別途Work permitを申請する必要はない。
<参考>
留学中のCo-op、Intern
専門学校などで、「Co-op」または「Intern」など在学中の就業経験が必須になっているプログラムについては、Study permitだけでなく、Work permitも取得する必要があります。無給の仕事の場合でも、Work permitが必須です。特に観光(ホスピタリティ)関連の学校で多いようです。
<主な条件>
・仕事は、あくまでも学業の一環。学校のプログラムを修了するのに必須の内容で、学校から許可を得ていること。
・語学学校は対象外です。
・学校の全体の課程の50%以上の時間を使わないこと(仕事の時間が、座学の時間を超えてはいけない)。
<申請方法>
・以下のページで申請方法確認。留学するためには申請が必須ですので、留学する予定の学校に申請をサポートしてもらいましょう。
Work as a co–op student or intern
留学後の就労(Post-Graduation Work Permit)
留学後についても、Work permitを取得して就労ができます。「Post-Graduation Work Permit Program (PGWPP)」という名称です。
アメリカの同様のプログラムだと、特定の専攻以外は最長1年ですが、カナダの場合は最長3年間です。
ワーキングホリデーと同様で、事前に就労先を決めておく必要はありません。途中で就労先を変えても問題ありません。学校の専攻に関連する職種である必要もないようです。
<主な条件>
詳しくは、以下の政府のページ参照。卒業さえすれば、基本的に働けます。
・カナダの大学、専門学校などを卒業していること。大学であれば問題ないと思いますが、卒業後に働く予定なら、留学予定(留学中)の学校に確認しておきましょう。
・語学学校は該当しません。
・最低8か月間の留学期間が必要です。
・過去にPost-Graduation Work Permitを取得していないこと。
・申請段階で、仕事の内定を得ている必要はありません。
Determine your eligibility — Work after graduation
<期間>
就学期間で異なります
・8か月未満:申請できません
・8か月以上、2年間未満:就学期間と同じ長さです。例えば、1年間で終了の大学院の場合は、1年間のみ。
・2年間以上:3年間。2年間ちょうどでも、4年間通っても、3年間です。Post-Graduation Workを最大活用するには、最低2年間は就学した方がよいことが分かります。
<申請方法>
・卒業が確定してから(卒業式ではなく)、90日以内に申請する必要があります。早めに申請しましょう
・以下のページで申請方法確認。カナダの学校を卒業した人であれば、難しくはないと思います。
Apply for a work permit—Work after graduation
<Post-Graduation Workの後>
カナダ政府のサイトでは、Post-Graduation Workの後は、Express Entryを使って移民(永住権)申請を行うことを推奨しています。短期の就労から、直接移民の申請を推奨するところが、カナダのユニークなところです。アメリカなど他の多くの国では、長期の就労ビザを終了した人でないと就労目的の移民申請は難しいです。
<参考>
Stay in Canada after graduation
企業内転勤者(Intra-company transferee)
企業内転勤者(Intra-company transferee)の場合は、その企業に限定したWork permitが取得できます。上級管理職または専門知識が必要なポジション限定ですが、労働市場影響評価(Labour Market Impact Assessment)を受ける必要がないので、申請は比較的容易です。
<主な条件>
・上級管理職または専門知識が必要なポジション(executive, senior managerial, or specialized knowledge)。つまり、専門職でない若手が申請するのは難しそう。
・雇用企業で1年以上就業経験がある。よって、採用されてすぐの転勤で申請するのは不可能です。
・Labour Market Impact Assessment (LMIA)を受ける必要はありません。
<期間>
・初回の申請は1年間
・上級管理職(executives and senior managers)の場合は最長7年間、専門知識労働者(specialized knowledge workers)の場合は最長5年間
<申請方法>
社内転勤のため、会社にお任せしましょう
<参考>
在カナダ日本大使館、カナダに一定期間社員を派遣する企業・雇用主の皆様へ
労働市場影響評価が必要なケース(Temporary Foreign Worker Program)
以上のケースに当てはまらない場合の大部分は、Temporary Foreign Worker Program(TFWP)の対象になります。
Temporary Foreign Worker Programでは、Labour Market Impact Assessment(LMIA、労働市場影響評価)を受ける必要があります。LMIAでは、外国人を雇うことでカナダの労働市場にマイナスの影響がないか審査します。
原則として、Temporary Foreign Worker は、その仕事に対応できるカナダ人・永住者がどうしても見つからない場合のみ一時的に雇うことができます。外国人を雇うことで、カナダ人・永住者の仕事が奪われる懸念があれば、LMIAの申請は却下されます。
LMIAを申請することを前提に、カナダで就職活動をすることは推奨しません。LMIAが必要な場合、申請の難易度は高く、時間もかかるからです。雇用者から見ると、LMIAの申請が面倒なので、内定を取ること自体も難しくなります。
また、実際にTemporary Foreign Worker ProgramでWork permitを取得している日本人は非常に少ないです。以下の資料によれば、2015年度は484人で、年々減ってきています。
Facts & Figures 2015: Immigration Overview – Temporary Residents – Annual IRCC Updates
<LMIAが必要か確認>
LMIAは申請が難しいので、本当にLMIAが必要か、確認してみましょう。カナダ政府のサイトで分かりやすいチェックリストが用意してあります。
・まず、Work permit自体が必要ないケースがあります。留学生で、アルバイトをする場合などです。
Do you need a work permit to work in Canada?
・Work permitは必要でも、LMIAは必要でないケースがあります。ワーキングホリデーや留学後のPost-Graduation Work Permitなどです。
<主な条件>
・特定企業からの内定
Post-Graduation Work Permitやワーキングホリデーは、雇用企業に制限がない「Open permit」ですが、LMIAが必要な場合は、特定の雇用企業に限定された「Employer-specific work permit」です。Permit申請の時点で、企業から内定をもらっている必要があります。転職する場合は、Work permitの再申請が必要です。
・雇用される本人に必須の条件は、あまりありません。LMIAは、個人に対する審査ではなく、その仕事を外国人に開放するのが妥当かの審査だからです。
・雇用企業側の条件は非常に厳しいです。例えば、将来同じ内容の仕事でカナダ人・永住者を雇うための計画書、外国人を雇う前にカナダ人・永住者を雇う努力をした証明、などを提出する必要があります。
Hire a temporary worker through the Temporary Foreign Worker Program
<期間>
・LMIAの結果などによって異なり、決まった期間はありません
<申請方法>
・LMIAを申請するのは、本人ではなくて、雇用企業です。申請内容も、本人についてというよりは、仕事の内容や会社についてです
・LMIAが許可されたら、本人がWork permitを申請。具体的には下記参照。雇用企業にサポートをお願いしましょう。LMIAを申請するくらいなので、手伝ってくれると思います。
Canadian Experience Class
カナダで職務経験がある人向けの移民(永住権)申請のプログラムで、幅広い職種が対象です。
Post-Graduation Work Permitでの職務経験も該当します。カナダに留学 > Post-Graduation Work Permit 1-3年間就労 > Canadian Experience Classで移民、というのがカナダで長期就労を目指す人には、分かりやすいパターンです。
<主な条件>
・最低12か月間、カナダで下記の職種のフルタイムの職務経験がある。職種の分類は、「National Occupational Classification (NOC)」で管理されています。
- Skill Type 0 (NOC 0):管理職。例として、レストランのマネージャーなど
- Skill Level A (NOC A):専門職。例として、医者、建築家など
- Skill Level B (NOC B):技術職。例として、料理人や、電気技術者など
- National Occupational Classification (NOC)
・留学中の就労(アルバイト)やCo-op、インターンは、必要な職務経験とはみなされません
・申請の時点で、内定は必須ではありません(内定があると、申請で有利になります)
・最低限の語学力:英語もしくはフランス語。英語であれば、NOC 0, Aの場合は、「Canadian Language Benchmark (CLB)」 7以上、NOC Bの場合は、5以上。
・上の最低条件を満たしている上で「Six selection factors」の合計点数が基準を上回る(2017年7月時点では67点以上)。学歴、職歴、年齢、内定の有無、語学力、カナダとの関わり、など様々な指標について、それぞれ点数がつけられています。
・以下のツールで質問に答えると、申請条件を満たしているか確認できます。
・申請条件の詳細
Who can apply: skilled immigrants (Express Entry)
<Comprehensive Ranking System>
以上の申請の条件を満たしていても、すぐに申請ができるわけではありません。カナダ政府が受け付けている申請数よりも、申請希望数の方が多いので、カナダ政府にとって優先度が高い人から申請の招待が届きます。
優先順位を決めるのが、「Comprehensive Ranking System(CRS)」です。上記の「Six selection factors」と同様に、学歴、職歴、年齢、内定の有無、語学力、カナダとの関わり、など様々な指標について、それぞれ点数がつけられています。
サイトへの登録なしで、簡単にCRSの参考点数(実際の点数と一致するとは限らない)を確認できます。まずは、何点ぐらいなのか確認してみましょう。
Comprehensive Ranking System (CRS) tool: skilled immigrants (Express Entry)
現在、CRSで何点以上の人が申請の招待を受けているかが公開されています。自分の点数で、申請できる可能性が高いのか確認してみましょう。例えば、2017年6月28日の招待では、最低449点以上の人が招待されています。この点数は、全体の登録者(申請待ち)の上位10%未満の人数です。
Express Entry invitation rounds
上記のツールで実際に点数を計算すると分かりやすいですが、カナダでの学歴や職歴がないと、449点はかなりハードルは高いです。逆に、カナダの大学を卒業、Post-Graduation Work Permit Programなどでカナダでの職歴があり、英語もできるのであれば、それほど難しくない条件です。カナダが、どのような外国人を求めているのか、非常に明瞭な仕組みです。
<申請方法>
一般的には、「Express Entry」で申請します。Express Entryは、就労目的の移民申請を管理するシステムです。「Federal Skilled Worker Program」、「Federal Skilled Trades Program」、「Canadian Experience Class」などの移民プログラムの申請を行うことができます。
1.最低限の条件を満たしているか確認
・以下のツールで質問に答えると、申請条件を満たしているか確認できます。
・申請条件の詳細
Who can apply: skilled immigrants (Express Entry)
2.プロフィールを登録
この時点では、「申請」ではありません。申請を受け付けてもらえるかの事前の審査です。上記の「Comprehensive Ranking System(CRS)」の点数を基準に、条件が良い人から優先して申請の招待がきます。この時点では、登録費用も必要ありません。
Fill out your profile: skilled immigrants (Express Entry)
Comprehensive Ranking System(CRS)
3.申請する
申請に招待されたら、90日以内に申請を完了します。
Skilled immigrants (Express Entry)
Federal Skilled Worker Program
主にカナダ国外で職務経験がある人向けの移民(永住権)申請のプログラムで、幅広い職種が対象です。カナダでの職務経験がなくても申請できます。
その他の条件は、Canadian Experience Classと、ほぼ同じです
・職種は、NOC 0、NOC A、NOC B
・申請の時点で内定があることは、必須ではありません
・語学力:英語であれば、CLB 7以上。NOC Bでも7以上必要です。
・申請の優先順位もCanadian Experience Classと同じで、CRSで決まります。
・申請の方法も、Canadian Experience Classと同様でExpress Entryを使います。
Who can apply: Federal skilled workers
Federal Skilled Trades Program
Skilled Trades (技術職)限定 。カナダでの就労経験がなくても申請できるのは、Federal Skilled Worker Programと同じですが、申請できる条件が限定されています。日本人だと、料理人が主に該当するケースだと思います。
・Skilled Tradesの中でも指定の職種のみ。料理人以外では、電気技師や、農業の技術職など(詳しくは、下のカナダ政府のページ参照)
・過去5年間で2年間以上Skilled Tradeの就労経験がある
・1年以上の期間のカナダでの就労が内定している。もしくはSkilled Tradesのカナダ公認の資格を持っている
・語学力:Speaking, ListeningはCLB 5以上。Reading, WritingはCLB 4以上。語学力の条件は比較的緩いです。
・申請の優先順位もCanadian Experience Classと同じで、CRSで決まります。
・申請の方法も、Canadian Experience Classと同様でExpress Entryを使います。
Determine your eligibility — Skilled trades
その他の移民(永住権)申請プログラム
<Provincial Nominees>
国全体のプログラムの「Federal Skilled Worker Program」、「Federal Skilled Trades Program」、「Canadian Experience Class」と対象は似ていますが、「Provincial Nominees」という州独自の推薦プログラムがあります。条件は、州ごとに異なります。
<Quebec Skilled Worker>
フランス語が公用語のケベック州は、カナダの中で独自の位置づけになっていて、移民制度もカナダ政府とは異なります。上記の説明は、ケベック州には当てはまりません。ケベックで働きたい人は、以下のページを参照しましょう。
Quebec-selected skilled workers
<就労以外の移民>
海外での就職とは趣旨が違いますが、Immigrant Investors(投資)、Start-up visa(企業)、Self-employed(自営業)の目的でカナダに移住する選択肢があります。
家族がカナダ国民・永住者であれば、Family sponsorshipで家族として移民することもできます。
Government of Canada, Apply to immigrate to Canada
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