英語の発音は子供の頃(幼児・児童)から学習すべきか?

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英語の学習は、子供のころから始めた方が有利なイメージがあります。

帰国子女のように、子供のころに英語で話す環境で育った人は、ネイティブのような発音です。一方で、大人になってから海外に住んでも、ネイティブのような発音にはなりません。

英語の発音は、子供のころしか身につかないのでしょうか?いつまでに覚えれば、ネイティブのような発音になるのでしょうか?

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英語の発音は、いつまでに学習すべきか?

臨界期(Critical period)とは?

臨界期(Critical period)とは、一定の年齢を過ぎると、あるスキルを学習するのが困難になったり、到達できるレベルが低くなることです。

例えば、ピアノやバイオリンなど音楽は、幼少期から始めないと一流になることが難しいですよね。スポーツも、大人になってから始めても上手くならない種目も多いです。自転車や水泳も、大人になってから始めると、なかなか習得できないことが知られています。

外国語の習得についても、何かしらの臨界期があると考える研究者が多く、「外国語習得の臨界期仮説」と呼ばれています。

ネイティブレベルを目指すなら、目安は6歳程度、遅くても12歳まで

外国語の習得は、一般的には年齢が低いほど有利ですが、発音、文法、単語力など、分野によって、年齢の重要性は変わってきます。

最も明確に年齢による違いが出るのが「音韻体系の習得」、つまり発音や音の聞き分けです。

ネイティブレベルの発音を目指すなら、習い始める年齢が早いほど有利なことは、ほとんどの研究の一致した見解です。

年齢が遅くなるほど、最終的にネイティブレベルに達する人は少なくなります。具体的に、何歳から外国語の学習が難しくなるのか、何歳までに習い始めればネイティブになれるかは、6歳~12歳程度と、研究によって異なります。

これらの見解は、いずれも発音面に関しては目標言語に触れた時間、すなわち、第二言語環境における滞在時間(length of stay)よりも、その環境で言語学習を始めた年齢(age at arrival)のほうが、習得結果を左右するとし、臨界期の存在を肯定していると言える。
その具体的な年齢については、6 歳(Asher & Garcia 1969)まで、という説や 12 歳前後(Oyama 1976; Scovel 1988)など研究者によって幅がある。

高橋基治「第二言語習得研究からみた発音習得とその可能性についての一考察」

ネイティブ的な発音は役に立つのか?

ネイティブ的な発音を身につけるには、早期の学習が必要なようです。

それでは、そもそも日本人は、ネイティブ的な英語の発音を目指すべきなのでしょうか?具体的に、どのような役に立つのでしょうか?

発音できない以前に、聞き取れていない

日本語の音と、英語の音は異なります。

誰もが知っている例が、LとRの違いです。日本語では、どちらもラ行に聞こえますが、英語のL、Rと、日本語のラは、それぞれ異なる音です。

一般的な日本人の耳では、LとRの違いは、非常に分かりにくいです。私もアメリカの大学院を卒業しており、英語はビジネスレベルだと思いますが、未だに分かりません。英語ネイティブには、全く違う音に聞こえているらしいです。

その他にも、BとV、FとHなど、日本人には聞き分けずらい子音や、母音のペアが多数あります。

音の違いが分からないと、リスニングで不利ですし、当然発音し分けることも難しいです。

英語の発音、音の聞き取りは、大人になってから努力しても、なかなか克服できません。日本語にない英語の音を正確に聞き取り、発音するという意味で、英語の音を習得しやすい小学校以前に英語を学習することには、意味があります。

ネイティブの発音よりも、日本語なまりの方が聞き取りやすい?

日本語なまりの英語は、日本人には聞き取りやすい

「帰国子女の英語はさっぱり分からん。日本人のシンプルな英語の方が分かりやすい」、「ネイティブ風の英語よりも、伝わる英語が大切」、という趣旨の主張をする人が昔からいます。

彼らにとって、日本人的な英語の方が分かりやすい要因は2つあります。

・日本人の耳には、英語特有の音は聞き取りにくい

英語、日本語には、それぞれ特有の発音があります。日本人の英語は、母国語の日本語の音に影響されがちです。英語の音に聞きなれていない日本人にとっては、日本語なまりの方が、かえって聞き取りやすい可能性があります。

・使っている単語レベルが違う

ネイティブ的な発音をする人は、おそらく英語の語彙レベルも、日本人英語を話す人より豊富でしょう。批判をしている人は、自分の知らない単語が聞き取れていない可能性もあります。

日本人英語は、日本人以外には「伝わりにくい」英語

日本人英語が聞き取りやすいという話は、他の国の人からは聞いたことがありません。

一方で、日本人英語が、単純な単語であっても外国人に通じていない場面は、よく目にします。

客観的に見て、日本人的な英語が、標準的な英語よりも聞き取りやすいというのは、ただの勘違いです。日本人には、日本語なまりの方が聞き取りやすいのかもしれません。しかし、外国人にとって聞き取りやすいということは断じてないです。

日本人にとって、英語は、外国人とコミュニケーションするためのものです。日本人に「伝わりやすい英語」ではなく、外国人に伝わりやすい英語を目指すべきです。

アメリカやイギリスの標準英語は、世界の英語話者が慣れている

あなたは、標準的なアメリカ英語よりも、インドやシンガポールの英語の方が聞き取りやすいでしょうか?ロシア語なまりや、スペイン語なまりは?

私は、同じスピード、同じ単語のレベルであれば、断然アメリカ英語の方が聞き取りやすいです。それは、学校で勉強してから、現在に至るまで、最も聞いてきた英語がアメリカ英語だからです。

英語を外国語として学ぶ世界中の人は、アメリカまたはイギリスの標準的な英語を規範として、勉強します。ニュースで流れてくるのも、最も多いのは、アメリカやイギリス英語です。

世界の多くの人は、日本語なまりに慣れていません。可能であれば、「標準英語」の発音に寄せた方が、コミュニケーションはスムーズです。

世界で力を持っているのは、アメリカ、イギリス英語話者

理想論は置いておいて、現実の世界では、言語のアクセントは、その話者を評価する要因になります。

全く同じ内容を話したとしても、「美しくスマートな」英語を話す人と、「田舎っぽいなまりの(日本語なまりとかの)」英語を話す人では、前者の方がスマートに見えるのが、現実です。

理想論で言えば、「どんなアクセントも個性です」となります。理想に生き、あえて日本人ぽいアクセントを主張するのも一つの考えだと思います。

しかし、理想と現実は混同するべきではありません。現実社会では、力を持っているグループのアクセントがスマートに聞こえてしまうのは、不都合な真実です。

ビジネスの世界において、権力はアメリカ英語、イギリス英語の話者に集中しています(その中でも、エリート的なアクセントの人)。

将来、国際的に働くことを想定しているなら、日本語なまりの英語ではなく、できるだけアメリカ・イギリスの標準英語に近づける方が得です。

どのような教育が効果的なのか?

子供に国際的に活躍してほしいと願うなら、ネイティブ的な発音を身につけることは、価値が高そうです。また、発音の学習は、遅くとも12歳以前が効果が高いということも研究で分かっています。

それでは、どのような教育をするべきでしょうか?

映像や音楽で英語を聞かせておけばOKというわけではない

日本人の両親が、日本で子供を育てるなら、自然な環境で英語に触れさせるのは難しいです。

英語に触れる手軽な方法として紹介されることが多いのが、映像や音楽で英語を聞かせることです。例えば、日本語の番組の代わりに、ディズニーやセサミストリートなど英語の番組を見せることです。

しかし、外国語の習得の研究では、ビデオで外国語を聞かせることは、(少なくとも音の聞き分けの点では)意味がないという研究結果があります。

アメリカの子供に対面で中国語を話すと中国語の聞き分けができるようになるのですが、同じ内容をビデオを通して聞かせても、全く効果がなかったのです。その原因は、赤ちゃんが音を学ぶきっかけとして、「本物の人間の存在」が必要としています。

この実験から示唆されることは、「ディズニーの動画を見せても、英語の音の学習にはならない」かもしれない、ということです。

TED「パトリシア・クール 「赤ちゃんは語学の天才」」

自然な英語での会話で身につける

上記の研究結果によれば、聞き取りの習得は、教材ではなく、実際の人間との触れ合いが必要であることが分かります。

子供が、英語を話す人と接する選択肢は、以下があります。

プリスクール

100%英語のプリスクールに通えば、一日中英語に触れる環境を作れます。英語の発音など、英語を習得する上で、最も効果は高いと思います。

しかし、デメリットは、逆に日本語を使う機会が減ることです。日本人で、家庭が日本語だからといって、自動的に高いレベルの日本語を身につけられるわけではありません。同年代の子供と比べて、日本語は弱くなる可能性があります。

子供の英語教育はネイティブを目指すべきか?
1 ネイティブレベルを目指すなら、早期の英語教育は必須 2 なぜ英語が重要なのか? 3 ネイティブに近い英語力は役に立つのか? 4 完璧な日英バイリンガルを目指すのは可能なのか? 5 日本語よりも英語を優先することは選択肢か?

また、英語のプリスクールは、一般的に費用が高いです。評判の高い、本格的なプリスクールほど高くなります。

英語教室

幼児、小学生向けの英語教室も多くあります。プリスクールよりも手軽に通うことができます。

しかし、英語教室の内容を見ると、あまり実際に英語での会話をする機会がないレッスンもあります。

教室でどのような狙いで、どのようなレッスンをするのか?実際にレッスンを受けた子供に、どのような学習成果があったか?など、本当に英語の発音を習得するのに役に立つかは、精査して通わせるべきだと思います。

オンライン英語レッスン

オンライン英語レッスンとは、インターネット上でビデオ通話ができるソフト・アプリを使って、自宅にいながら英語レッスンを受けられるサービスです。

子供向けの教材、レッスンを提供しているサービスもあるので、子供の英語教育にも活用できます。

価格が安く、自宅にいながらレッスンを受けられるので、教室よりも英語に長く触れる環境を作りやすいと思います。

また、会話が中心ですので、発音の習得に必要とされる実際の英語話者との対話と通して学ぶことができます。

一方で、難しい点は、子供のモチベーションです。英語を学ぶ意欲が強くないと、なかなかPCの前に座ってレッスンを受ける気にならないと思います。

児童・子供向けのオンライン英語レッスン
画像:Pixabay クリエイター「BiljaST」タイトル「english」 オンライン英語レッスンとは、インターネット上で...

まとめ

・ネイティブレベルの発音を目指すなら、目安は6歳程度、遅くても12歳まで。

・日本語なまりの英語は、日本人以外には聞き取りにくい。

・アメリカやイギリスの標準英語は、世界の英語話者が慣れている。

・理想論は置いておいて、現実の世界では、アメリカやイギリスの標準英語の方がスマートに聞こえる。

・映像や音楽で英語を聞かせても、英語の発音が身につくとは限らない。

・プリスクールなど100%英語の環境は有効だが、日本語が弱くなる可能性があり、費用も高い。

・英語レッスンを受けるなら、どのようなレッスン内容なのか、どのくらい英語で対話する時間があるのか、実際の発音への効果など、確認しましょう。


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