海外就職に有利な職種~英語よりもプログラミングを学ぶべし

画像:Pixabay

海外での就職を考えている人は、海外や語学が好きな人が多いことかと思います。海外に関わる仕事をしたい人は、「日本と世界をつなぐ仕事をしたい」とか、「国際交流に貢献したい」と言います。

思いとしては大変素晴らしいです。私も、そういう思いで海外就職の記事を書いています。

しかし、それって「自分が」世界でやりたいことですよね。。。

「日本と世界をつなぐ」ことは、「世界」があなたに求めていることなんでしょうか?

スポンサーリンク

自分がしたいことだけでなく、相手が欲しいことを知るべし

海外就職を目指すなら、あなたは「自分」という商品を世界に売り込む営業、あるいはマーケターです。アメリカで就職したいなら、アメリカの会社や政府に、あなたを買って頂く必要があります。

マーケティングの基本は、自社の商品の強みを知り、お客様のニーズを知り、商品とお客様を結びつけることです。いくらお客様にごり押ししても、お客様のニーズのない商品は、売れません(無理やり売るのは迷惑です)。

多くの海外就職したい人、海外と関係する仕事をしたい人に欠けている視点は、相手があなたに何を求めているのか、あるいは、働きたい国の外国人への需要です。「日本と世界をつなぐ」のは、相手の国に貢献するように聞こえますが、それは自分がやりたいことであって、必ずしも相手が欲しいものではありません。

自国民の仕事を奪う外国人は求められていない

先進国でも、発展途上国でも、外国人労働者を無条件で歓迎する国はありません(少なくても私は知りません)。アメリカも、日本も、中国も、オーストラリアも、イギリスも、どの国でもそうです。

なぜなら、どこの国でも、仕事は足りていないからです。雇用は、どんな国でも、いつの時代でも、必ず政治的に重要な課題です。単純労働、体力的にきつい労働など、人気のない職種は、先進国では人手不足になります。しかし、やりがいのある仕事、条件の良い仕事は、常に足りていません。外国人なんかに仕事を分けている場合ではありません。

自分は、「国際貢献」と思っている仕事でも、その国の人が本来できる仕事を奪っているのであれば、その国の労働者から見ると、迷惑なのです。自分の国の労働者が迷惑に感じる施策を、政治家や役所が推進するはずがありません。

例えば、アメリカで日本語が必須の営業の仕事に就くとします。もしかすると、その仕事は、本来日本語ができるアメリカ人のものだったかもしれません。せっかく長い時間をかけて日本語を勉強したのに、外国からやってきた日本人に仕事を取られてしまったわけです。

日本でも、ブラック企業に努めている人、正社員になれない人、など不本意な仕事をしている人は多くいます。ホワイト企業の正社員に外国人が採用されるということは、日本人が得るはずだったポジションが一つなくなるということです。例えば、一流企業が国内での新卒採用の5割を外国人にしたとします。英語を公用語にする日本企業があるくらいなので、ありえない話ではありません。純粋に実力で採用しただけと分かっていても、面白くないと感じる日本人は多いと思います。

求められているのは「役に立つ」外国人

外国人が歓迎されるのは、自国民にとって役に立つ場合だけです。最も一般的なケースは、自国民だけでは、特定の職種の人材が足りない場合です。その場合、職種を限定して外国人を受け入れても、理論的には自国民の仕事は奪われません。更に、外国人が働くことで、会社の業績にも貢献できます。外国人は、住民でもありますので、消費者として、地元の経済にも貢献します。

他にも、多くの国で優遇されるのが高所得者です。まず、高所得者は、数が少ないし、求職市場で平均的な会社員と競合しません。一般の国民にとって、自分の仕事を奪う存在ではないです。高所得者は、高額納税者でもあるので、税収を増やします。更に、高額の消費者でもあるので、地元の経済にお金を落とします。

投資家や起業家も、新しいビジネス、新しい雇用を生み出す存在なので歓迎されます。しかし、投資家もどきや、起業家もどきに来てもらっても困るので、実際に経済に貢献する投資家や起業家であることの証明が必要ですが。

世界で求められているのは、圧倒的に理系、特にIT人材

それでは、どのような外国人が世界で求められているのでしょうか?

各国の労働ビザの条件を見ると、実際にどのような人材が優遇されているか分かります。日本を含む多くの国では、ビザの申請条件として、欲しい外国人の条件を指定しています。特定の職種、高所得、高学歴、などです。

職種別で見ると、圧倒的に理系(技術職)、特にプログラマーなどIT系の人材です。「世界をつなぐ」営業職など、文系の人材は、全然求められていません。文系で比較的求められているのは、会計やファイナンスなど、ハードスキルの要素が強い職種です。

理系の人材が求められているのは、理系の人材が不足しているからです。日本でも、理系が減少傾向にありますが、アメリカなどでも同様に理系の学生は需要に対して足りていません。先進国では、勉強が大変そうな理系は、避けられる傾向にあります。一方で、テクノロジーの重要性は、益々増しているので、理系は世界的に不足しています。

営業など、文系、あるいはソフトスキルの職種で外国人が優遇されないのは、国内の人材で十分だからです。技術職、専門職が足りていない場合、すぐに人を確保するのは困難です。特に一流の理系の人材は、長期のトレーニングが必要です。国内ですぐに確保できないから、外国人を受け入れます。一方で、営業や、企画は、それほど専門知識がいりません。例えば、文系出身の営業の人に、半導体の設計をしろといっても不可能ですが、逆に半導体の設計者が営業に転換することは実際にあります。

営業や企画に価値がないといっているわけではありません。私自身も、新卒から、ずっと営業や企画などビジネス担当でした。非技術職でも、専門はありますし、転職や社内異動の際には、関連する知識や経験を問われます。ただ、技術職、専門職のハードスキルの方が、習得するのに時間がかかるので、人材が不足すると、長期的に足りなくなるのです。

アメリカの例

外国人の就労者が最も多い、また希望者も最も多い、アメリカの例を見てみます。

アメリカの大学で理系を学べば、卒業後3年間働ける

アメリカに留学した場合、卒業後ほぼ無条件で就労することができる、Optional Practical Training (OPT) という制度があります。

一般の場合は、期間が12か月ですが、STEM専攻の場合は、24か月延長できるので、最長36か月働くことができます。STEMは、「Science, Technology, Engineering, and Mathematics」の略語で、平たく言うと理系です。

12か月と36か月は、大きな違いです。12か月では、仕事を覚えてきたタイミングで退職しなければなりません。12か月限定の人に、大きな仕事も任せられないでしょう。36か月続ければ、同僚からの信頼も得られます。会社にとっても辞められるのは痛手なので、OPTの後の長期ビザ申請をサポートしてくれる可能性も高まります。

就労ビザH1-B実績の大半は技術職

アメリカで最も一般的な長期の就労ビザはH-1Bです。H-1Bの申請でも、STEMは優遇されています。次の表は、実際にH-1Bが許可された職種の人数です。圧倒的に技術職(Engineering)、特にソフトウェア、コンピュータ関連が多いことが分かります。

非技術職では、会計関連(Accountants Auditors and Related Occupations)が比較的多いです。営業や事務など、文系の学生が志望するような職種は、ゼロに近いです。「普通の文系のサラリーマン」、あるいは「英語しかできないノースキルのサラリーマン」がH-1Bを取得することは、現実的に非常に難易度が高いです。

ちなみに、日本では過剰に持ち上げられがちなMBAですが、H-1Bの取得では不利です。MBAは、ビジネスの全般的な知識を学ぶので、専門性が薄いからです。また、MBAはアメリカでは供給過剰気味なので、よっぽど条件の良い人でないと、H-1Bは難しいです。

職種 比率
Occupations in System Analysis and Programming 56.1%
Computer-Related Occupations その他 8.7%
Occupations in College and University Education 4.4%
Electrical/Electronics Engineering Occupations 3.3%
Accountants, Auditors and Related Occupations 2.5%
Physicians and Surgeons 2.1%
Mechanical Engineering Occupations 1.7%
Budget and Management Systems Analysis Occupations 1.4%
Misc Professional Technical and Managerial Occupations その他 1.2%
Occupations in Architecture Engineering and Surveying その他 1.1%
Occupations in Administrative Specializations その他 1.1%
Occupations in Biological Sciences 1.1%
Occupations in Economics 1.1%
その他 14.2%

出典:Characteristics of Specialty Occupation Workers (H-1B): Fiscal Year 2015 (英語)

ネットでは、ノースキルでも就職できると書いてたよ?

文系ノースキル学生でも、東南アジアで日系なら就職できる

ごもっともな意見です。ノースキルの文系でも、今のところ探せば仕事はあります。具体的には、東南アジアで日系の支社で働くことです。日系は、偉い人が外国語の不自由な日本人なので、日本語のネイティブであることや、日本人の偉い人の扱い方を知っていることが、決定的に重要だからです。

しかし、それは海外で需要があるというよりは、日系企業で需要があるということです。東南アジアであっても、ノースキルの文系が日系以外で働こうと思うと、一気にハードルが高くなります。

日系でしか働けない海外就職でいいのか?

海外で人材が足りていない専門、例えば高度なソフトウェア技術を持っていれば、日系に限らず需要があります。せっかく海外に出るのに日本の会社にしか居場所がないのは、残念だと思うのは私だけでしょうか。

また、日系海外支社の日本人需要も先細っていくと、私は思います。本当に現地に根差したビジネスをするには、現地化、現地人の活用は必須だからです。例えば、P&Gやネスレは日本でも素晴らしいマーケティングをしていますが、海外企業の日本支社の幹部が全員外国人だったら、日本に合ったマーケティングができると思いますか?

日本企業が外国に出ていくときも同様で、日本語でしかコミュニケーションができない日本人が重要ポストを独占しているのでは、現地のお客様に満足いただけるはずがありません。現地の人がトップになる、もしくは現地の社員やお客様と直接コミュニケーションを取れる人がトップになるのは必然の流れです。幹部が変われば、日本語だけが取り柄の日本人の需要はなくなります。

グローバルに働きたいなら、英語やMBAでなくて、理系

外国語学部や国際関係学部は、海外就職に遠い

将来、海外に住みたいひと、海外で働きたい人は、理系を学ぶべきです。

外国語学部などで英語を学んだ方が、海外に近いように見えますが、海外の視点では、英語は誰もが持っている基礎スキルであって、専門スキルではありません。日本の就活で、「日本語ができます」と言っても意味がないのと同じです。

言語を売りに海外就職をするなら、海外の視点での専門スキルは、英語でなくて日本語です。英語ができることは当然として、日本語の専門家として採用されるわけです。

その場合、日本語を活かせる仕事を探すわけですが、上記のように言語を売りにするだけでは、アジアの日系現地採用以外は需要が少ないです。

MBAも海外就職では大して役に立たない

日本では、グローバルなビジネスパーソンの代名詞のようなイメージのMBAも、海外就職では大して役に立ちません。アメリカのビザのところでも書きましたように、MBAは希少性の高い専門スキルではありません。MBAの上位校でも同じです。多くのトップMBAの日本人は、海外就職を希望しますが、結局日本で働きます。日本の方が明らかに条件の良い仕事に就けるからです。

MBAはアメリカやヨーロッパでは余り気味です。欧米で、MBAの仕事を探すということは、ネイティブのトップMBA出身者と同じ仕事を争うということです。しかも、MBA以外でも、同様のスキルを持っているコンサルや投資銀行出身とも競合します。

現地で理系の修士を取ることが欧米就職の近道

アメリカやヨーロッパで働きたいなら、現地で足りていない理系の人材になることです。現在であれば、特に情報・コンピューター系です。アジアについても、今後経済発展が進むにつれて、ますます理系の人材の価値が上がっていくと思います。

具体的には、就職したい国の学校、もしくはアメリカやイギリスなど国際的に通用しやすい学校で、修士以上の理系の学位を取ることです。日本でも最近はそうですが、理系で専門職として働くには、修士以上が、ほぼ必須です。ビザの面でも現地の学校を卒業していることは、プラスになる国が多いです。働きたい国が決まっていない場合も、日本の学校よりは、アメリカやイギリスなど海外の人からも分かりやすい学校を出ていたほう有利です。

日本人の普通の学生の「理系力」は非常に高い

現在、高校生、大学生で文系の人にも理系への転向をお薦めします。文系の人は、理系、特に数学や数式にアレルギーがある人が多いと思います。しかし、欧米の国に比べると、一般的な日本人の数学スキルは極めて高いです(東アジア人全般ですが)。日本人の同級生と比べて、自分は理系に向いてないと思う必要はありません。一般的な文系学生の数学力でも、欧米では十分に高レベルです。

MBAの受験で、GMATというセンター試験のような標準テストを受けましたが、東アジアの同級生は、英語のハンデがあっても、満点近く取っている人が多かったです。私の感覚的には、センター試験より簡単なくらいです。一方で、MBAの同級生で、ケンブリッジ大学の理系学部卒、マッキンゼー出身のエリートが低い点数を取っていて、本当に驚きました。彼によれば、GMATの英語は超簡単で、数学は苦労したとのこと。

学生の海外留学については、こちらの記事もご参照ください。

高校生のための海外就職戦略
高校生以前で、将来海外の就職を希望しているなら、進路の選択は海外大学留学の一択です。①就労ビザの取得が有利になる。②現地の語学や文化を学べる。③現地の国へのコミット。④海外での就職活動の拠点確保。⑤日本の大学のランキングは低い
大学生、新卒のための海外就職戦略
大学生で海外への転職を考えている人向けに、海外就職を実現するための選択肢を解説します。① 海外大学に留学し、新卒で海外就職。②国内の大学から新卒で海外就職。③ 日本で就職、海外転職を目指す。④ 日本で就職、駐在での派遣を目指す

ノースキルの社会人はどうすればいいのか?

大学生までなら、理系を学ぶことをお薦めしますが、文系の大学院生、社会人が今から理系を学ぶのは現実的ではないと思います。(本当に長期で考えるなら、大学に入りなおすなど検討できます)

その場合も、海外就職で大切なことは、「あなたが何をやりたいか」ではなくて、「相手のためにあなたが何を貢献できるか」を探すことです。あなたは、「自分」商品を、海外のお客様に売り込むマーケターです。当たり前のことだと思うのですが、海外就職は、憧れや夢など自分都合が優先されがちです。

まずは日本語を活かして、海外で就職する

ノースキルの文系社会人であれば、今持っている一番有効な武器は日本語なので、日本語を重宝していただける国、仕事を探すのが、最も現実的です。今働いている業界や職種と同じであれば、なお役に立てるでしょう。

日本語の強みを生かして現地に潜り込めば、チャンスは広がります。特定の分野に特化することで、言語のハンデがあっても、重宝される専門人材になることもできます。日本人としてではなく、「外国人代表」として、現地と海外全般をつなげるポジションを取ることも可能だと思います。日本でも、出身国に限らず、外国人ビジネスを手掛けている外国人は見かけますよね。

社会人の海外就職については、こちらの記事もご参照ください。

社会人(転職、第二新卒)のための海外就職戦略
社会人(転職、第二新卒)のための海外就職戦略を紹介します。現地就職、インターンシップに応募。日本で駐在や外資での海外転勤を狙う。大学院留学、語学留学、ワーキングホリデーで海外経験を積んでから応募する、など。

「海外就職はじめに」次の記事

日本とは関係ない仕事で海外就職をする選択肢
海外就職を目指す人の動機で「日本と海外の架け橋になりたい」という趣旨の言葉をよく聞きます。しかし、個人が海外で働くときに、日本の国を背負って就職する必然性はありません。日本と関係ない仕事で海外就職する選択肢を解説します。

「海外就職はじめに」一覧に戻る

海外就職はじめに
①なぜ海外就職なのか考えよう ②海外就職の方向性を決めよう ③就職する国・都市を...

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする