新卒は海外就職するなという意見に反論してみる

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新卒で海外就職を考えている人が増えてきているようです。

しかし、新卒の就活生が海外就職を周りに相談すると、反対されることが多いです。周りからの賛同を得られなくて断念する人も多いかと思います。

海外就職の専門家も、新卒の海外就職は賛成できないとする意見が多数を占めます。新卒で海外に行くと、日本よりも低レベルの仕事にしか就けないとか、新卒の貴重な研修の機会を得られないとか、日本の社会人としてのマナーを身に着けられないなどです。

本当にそうなのでしょうか。。。?

私は、新卒でも全然問題ないと思います。もちろん、人によって状況は違いますが、一概に新卒だからダメということはないです。新卒海外就職に反対する意見の多くは、実際の事実や事例を踏まえて考えると、大した根拠がないことが分かります。

具体的な議論の前に、私の経歴を紹介します。私は、日本生まれ、大学まで日本育ちですが、新卒は台湾企業の台湾本社でした。30歳過ぎまで日本で働いたことはありませんでした。しかし、MBAを持っていますし、現在の仕事にも満足しています。客観的に見て、私は世間的には悪くないキャリアだと思いますし、日本ではなく台湾で新卒就職したことを全く後悔していません。

私の経歴上、新卒の海外就職を賛成するバイアスが入っているのは否めないので、その点はご理解いただければと思います。

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海外就職とは、東南アジア就職のこと?

まず、いつも疑問に思うのですが、海外就職の専門家が言っている「海外就職」は、実際には「アジア就職」のことが多いです。

また、「アジア就職」と銘打っている場合でも、日本の最大の貿易相手国である中国や、お隣の韓国、世界で指折りの親日国の台湾は、まず入っていません。シンガポールも、対象外のこともあります。

海外就職の状況は、国によって異なります。アジアの新興国とアメリカやイギリスでは全然違います。アジアの中でも、例えば中国とタイでは全然違います。東南アジアのことを前提に話しているのに、なぜか「新卒の海外就職は薦めません」としている議論が目につきます。

海外就職とは、海外日系就職のこと?

これまた、いつも疑問に思うのですが、海外就職の専門家の議論は、日系企業での現地採用を前提にしていることが多いです。同じ国での就職でも、日系で就職するのと、現地企業や外資で就職するのとでは、全く状況が違います。

まとめると、新卒の海外就職がダメとする意見は、実際には「新卒で東南アジアの日系企業に現地採用で入るのは推奨できない」という意味です。この意味だと、私も若干は納得感があります(それでも、別にダメだとは思いません)。

新卒で海外就職するのは難しい?

主にビザ(就労許可)の面で、新卒で海外就職をするのは難しいとする意見があります。

そんなことはないです。。。

職務経験が就労許可の必須条件になっている国は、むしろ少数派です。きちんと調べてから言っているのか、非常に疑問です。

反対に、国によっては、新卒こそが、就労許可の面で見て最も就職しやすいタイミングです。

例えば、アメリカ、カナダ、オーストラリア、香港では、現地の大学を卒業した学生向けに、期間限定で就労できる制度があります。アメリカだと、OPT(Optional Practical Training)という制度です。一般の就労許可は、内定を先に得て、雇用企業に申請してもらう必要がありますが、OPTのような制度では、期間中は原則自由に就労できます。就労許可の申請が必要にと、企業も採用しやすいです。

アメリカの学校を卒業した外国人向けのインターン制度:Optional Practical Training (OPT) for F-1 Students
F-1のビザでアメリカの大学や大学院を修了した人向けにOptionalでPractical Training(要するにインターン)の機会を提供するプログラムです。申請条件、期間、OPT後のビザなど

OPTや類似の制度は、あくまでも期間限定です。しかし、現地での就労経験は、一般向けの就労許可を取得する特にも有利です。一般向けの就労許可は、通常雇用企業がスポンサーとなって申請する必要があります。OPTのような制度で働いていた会社で成果を出せば、その会社がスポンサーになってくれます。

私の働いていた台湾は、就労許可の申請条件として職務経験が必要です。大学卒の場合は、2年間です。しかし、台湾の大学卒、もしくは海外でも大学院卒の場合は、職務経験が免除されます。私の場合は、大学院卒でした。台湾のように、大学より、大学院卒の方がビザの申請が有利になるケースもあります。

確かに、日本の大学の新卒で、特に際立った専門スキルがない条件だと、就職が難しい国は多いと思います。しかし、職務経験をビザ申請の必須条件にしている国は少数派です。新卒だから、ビザの面で無理ということはありません。また、上記のように、現地の学校を卒業した場合、日本で中途半端な職務経験を積むよりも、新卒の方が就職しやすい国もあります。

海外就職の専門家が言っている「新卒は海外就職が難しい」というのは、正確には「日本の普通の大学生は海外就職が難しい」という意味です。新卒で海外就職したいなら、大学在籍中に海外大学に移籍したり、卒業後に大学院へ留学する選択肢もあります。少なくとも、アメリカ、カナダ、オーストラリアについては、日本で普通の業務経験を積んでから海外就職を狙うよりも、留学して就職を狙う方が、遥かに可能性が高いです。

海外就職するには日本のビジネスマナーが必要?

これも、よく議論されるポイントです。新卒は、まだビジネスマナーが身についていない。海外就職だと即戦力採用になるので、新卒向けの研修や教育を受けることができない。よって、日本でビジネスマナーを身につけてから海外に行く必要がある、とする議論です。

まず、議論の前提に気をつける必要があります。海外就職の専門家が言っているのは、国際的なビジネスマナーでもなければ、現地の国で適切なビジネスマナーでもなく、「日本的なビジネスマナー」のことです。就職先が海外の日系企業なことを前提にしているからです。日系企業では、確かに日本的マナーは重要です。

一般的に、日本以外の国では新人研修が少ないのは真実です。なぜなら、日本のような新卒一括採用を行う国は少ないからです。同じタイミングで入社する同期が少ないので、全員一律の新卒研修が成り立ちにくいです。また、研修よりも、OJT(On the job training)を重視しているという点もあると思います。

しかし、日本で新卒研修をしなければ、日本的なビジネスマナーが身につかないというのは、本当でしょうか?

日本以外の国の人は、新人研修が少ないです。しかし、業務からの経験を通して、立派な社会人に育っていきます。当然、現地で必要なビジネスマナーも身につけます。日本以外の国の人は、新人研修がないので、ビジネスマナーがなっていない、ということはありえません。

日本人の新卒が海外で働く場合も同じことが言えます。日本のビジネスマナーが業務で必要なら、業務経験を通じて身につけていくのではないでしょうか?単純な知識が必要なら、ネットや書籍でいくらでも情報があります。先輩や取引先の日本人からも学べるはずです。日本のビジネスマナーは、新人の時に日本にいなければ身につかないのでしょうか?私は、そうは思えません。

もしくは、日本のビジネスマナーを身につけていないと、海外の日系企業には採用されにくいという議論もあると思います。しかし、実際に新卒で採用されている人は大勢いるので、必須条件とは思えません。また、日本での就活でも同じですが、インターンで職務経験を積んでおく方法もあります。

また、現地企業や外資など、日系以外で働く場合は、日本的なビジネスマナーではなく、現地のビジネスマナーが重要です。現地のビジネスマナーは、当たり前ですが、日本で働くよりも現地で働いた方が身に付きます。

スキルを身につけてから海外にいくべき?

ビジネスマナーと同様で、新卒などスキルの低い人は、海外で条件の良い仕事に就けない、という意見もあります。

スキルが低かったら、良い仕事が見つからないのは当たり前です。日本だろうが、世界のどの国だろうが同じです。日本では、新卒一括採用で、新卒でも「良い会社」に入れる人はいます(少数ですが)。しかし、良い会社に入っても、最初から責任の重い仕事を任せてもらえるとは限りません。最初は、下積みからというのが一般的でしょう。

なぜ、日本でスキルを身につけてから海外就職する必要があるのでしょう?日本で働いた方が成長速度が速いですか?

これは、人によるし、就職した会社によります。日本でも、一流企業のエリートコースに乗って、早くから大きな案件を任される人もいれば、ブラック企業で生産性の低い仕事を繰り返している人もいます。海外で就職しても、コールセンターで同じ電話をかけ続けている人もいれば、若手のときから海外を飛び回る人もいます。

私は、どちらかと言えば、海外の方が成長できる機会は多いと思います。なぜなら、日本は世界で有数の低成長国だからです。一般的に言えば、成長している国で働いた方が若手にとってはチャンスが多いです。

伸びている国では、多くの業界や会社が成長しているからです。一般的な傾向としては、低成長より高成長の会社の方が、様々な種類の仕事をしたり、裁量の範囲が広い仕事を経験ができる機会は多いはずです。低成長企業では、新しい仕事が作られにくいし、組織も安定していて、責任の範囲も固定されがちだからです。

例えば、中国の2015年の名目GDPの成長率は7.4%、インドネシアは9.2%です。日本の多くの業界、会社では、二桁成長は高成長と言われますが、すぐ近くの国では、国全体が二桁近い成長をしているのです。そのような国では、二桁成長の会社はむしろ当たり前です。

また、日本の会社は、高齢化が進んでいます。ミドル、シニア層に社員が偏っていると、若手に責任のある仕事を任せにくい要因になります。上が詰まっていると、下の世代は窮屈にならざるを得ないからです。一方で、成長力の高い国では、次々と新しいビジネスが生まれるので、若手に任せざるを得ません。経営者や幹部が若いことも若手にチャンスを与えやすい一因です。


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