スポンサーリンク

海外就職をお薦めする8つの理由~新卒、転職で海外で働く

画像:無料写真素材なら【写真AC】クリエイター「サンサン」タイトル「ビジネスマン 地球」

私は、日本で大学を卒業してから、10年ほど海外で学び、海外で働きました。特に、台湾の現地企業で、6年間台湾人と同じように働き、同じように生活したことは、人生を豊かにした掛け替えのない思い出でであり、また社会人として成長した貴重な体験でした。

現在、日本は大手企業の業績が好調で、就労人口も減っているので、新卒、第二新卒は売り手市場です。希望の有名企業に就職することも、就職氷河期だった頃より容易だと思います。リスクを取って海外で就職するメリットはないように見えるかもしれません。

しかし、今こそ私は海外で就職することをお薦めします。海外就職は、キャリアの上で明確なメリットがあり、日本の社会、市場環境は、海外就職経験者を求めるトレンドに向かっているからです。

若い人には、今こそリスクを取って日本から飛び出し、世界でチャレンジしてみて欲しいと思います。キャリアの長い社会人にも、第二のキャリアとしての海外就職をお薦めします。

家族や友達に、海外就職なんてやめておけと言われるかもしれません。日本で就職する方が、安定して見えるし、未知の海外での挑戦に不安になるでしょう。しかし、海外就職は、リスクをとって飛び出すだけの、価値の高いリターンを提供してくれると思います。本記事が、海外就職を考えている皆様の理論的なバックアップになり、あなたの決断を後押しできれば幸いです。

スポンサーリンク

目次

理由①:海外経験は、人材市場で評価されている

キャリアの面で考えると、海外就職や留学など海外での長期的な経験は、日本に帰って仕事をした時に大きなプラスになります。端的に言って、海外経験のない人よりも、平均的にお給料が高くなる可能性が高いです。

あくまでも平均で、海外経験が全くない人でも高給の人はいますし、海外経験豊富でも薄給の人もいます。しかし、海外経験は、給料を高めるスキルや経歴の獲得手段としては、極めて効率的です。

海外大学卒の日本人の平均年収は、日本の一流大学卒よりも高い

以前から、欧米の大学、大学院の卒業生は日本での就職に有利でした。少し古い統計ですが、2009年のAERAの特集によれば、海外大学卒の平均年収は816万円と、東京大学、京都大学よりは若干低いものの、一橋大学、大阪大学、慶應大学などの有名大学よりも高くなっています。

日本の一流大学の卒業生よりも、海外の大学を卒業した日本人の方が平均給与が上なのです。しかも、日本の大学は40歳前後での年収ですが、海外の大学のデータは33.5歳時点のものなので、40歳時点での年収は、更に高いはずです。

また、海外大学は、あまり偏差値の高くない大学も含めて、全ての大学の平均です。海外の一流大学卒の平均値は、東京大学よりも遥かに高いと想定されます。このデータは、海外大学卒の知り合いが多い私の感覚とも合っています。

表:大学別にみたサラリーマンの年収
出身大学 平均年齢 平均年収
東京大学 39.9歳 986.2万円
京都大学 42.2歳 992.4万円
海外の大学 33.5歳 816.3万円
東京外国語大学 44.5歳 779.0万円
一橋大学 37.2歳 770.0万円
大阪大学 40.4歳 760.3万円
関西大学 39.3歳 745万円
名古屋大学 37.5歳 740.5万円
東北大学 41.2歳 727.8万円
東京理科大学 40.9歳 724.5万円
慶應義塾大学 38.8歳 711.7万円
明治大学 38.9歳 711.1万円
早稲田大学 39.7歳 709.6万円

出典:朝日新聞AERA2009年1月26日号

卒業後の給与だけに着目すれば、日本の高校生は、日本の一流大学を目指すのではなく、普通の大学でもいいから海外の大学に進学した方が割が良い結論になります。

本記事は、留学については議論しませんが、海外、少なくとも英語圏の中堅レベルの大学に進学することは難しくありません。一橋大学や慶應大学に入れる学力の学生であれば、それなりの大学に入学、卒業できると断言します。高校以前の学力レベルでは、上記の海外大卒の平均よりも、一橋大学、慶應大学卒の人の方が高いと思います。

受験戦争の最終目標が高所得の獲得ということならば、なぜ海外大学留学熱が高まらないのか、非常に不思議です。という私も、高校の時は、海外大学に進学するなど、全く考えたことがありませんでした。地元では進学校だった私の学校でも、海外への進学を考えている人は聞いたことがありませんでした。

おそらく、大部分の親は海外進学という選択肢が全く頭にないので、海外進学が盛り上がらないのだと思います。本記事の内容から外れますが、まだ学生、若手の社会人の方は、海外大学、大学院への進学を真剣に検討することをお薦めします。

海外経験者が就職で有利になる大きな理由は、英語でコミュニケーションする能力

高校以前の学力など元々の素養が違わないのであれば、なぜ海外大学卒は、平均給与が高いのでしょうか?それは、給与が高い会社が海外経験のある人材を積極的に採用しているからです。

アメリカで学んでいる日本人大学生、大学院生を対象に開催されるボストンキャリアフォーラムには、日本の一流企業や、大手外資企業の東京オフィスがリクルーティングに来ています。アメリカでは必ずしも一流ではない大学の卒業生でも、人気企業に就職できるという話も聞きます。

欧米大学の卒業生が優遇されるのは、国際経験や海外に出る積極性が評価されていると言われています。海外での就業経験は、留学と同等以上に評価されるはずです。社会人としての経験は、学生としての経験よりも、より直接的に業務に関係するからです。

海外生活で培われる自立性や積極性など性格の面も重要だとは思いますが、海外経験者が就職で有利になる単純な理由として英語力、広く言うと英語でコミュニケーションする能力があります。英語力は、特に外資への就職で明らかに有利になります。

ビジネスレベルの英語力がないと、外資で管理職レベルのポジションで仕事をするのは無理です。エントリーレベルの仕事であれば、日本の上司や同僚への報告で仕事が完結することもありますが、本社が海外にある以上、重要な案件は海外への報告が必須です。どれだけ日本語での業務遂行力が高くても、英語で直接海外とやりとりする能力がなければ、責任の重いポジションに就くことは困難です。

英語力は高ければ高いほど有利

外資では、入社してからも、英語の実力が社内での評価に直結します。ポジションが高くなるほど、本社の幹部とコミュニケーションをする機会が増えるからです。本社への報告の巧さは、本社の幹部からの評価や、日本でのプレゼンスの高さに大きく影響します。

よく日本では、語学は通じればよいとか、内容が重要だとか主張する人がいますが、その認識は甘すぎます。英語に苦手意識を持っている日本人が多数派なので、多数派に耳障りの良い主張をしているだけです。内容が良いのは前提の上で、伝える能力も高くないといけないのです。

日本語でのコミュニケーションを振り返って頂ければ、当たり前だと思うのですが、言語能力は、仕事の遂行能力や、周りからの評価に大きな影響を与えます。全く同じ内容の報告でも、一流のプレゼンテーターは、聴衆の心をつかみます。一流のライターが素人の文章をリライトすれば、読みやすい文章になります。英語でも、どんな言語でも内容に加えて伝える力が重要なのは同じです。

ビジネスレベルの英語力がある日本人は少ない

日本では、ビジネスレベルで英語ができる人が少ないです。ビジネススクールIMDの調査 World Talent Reportによれば、日本人ビジネスパーソンの語学力(Laguage Skills)は、なんと対象61ヵ国中最下位。語学力とは直接関係ないですが、国際経験(International Experience)も最下位。

私の経験上でも、日本は主要国の中で最もビジネスパーソンの英語力が低い国の一つなことは間違いありません。私が台湾で働いていた時は、台湾人の同僚と、日本の取引先の平均的な英語力の差に愕然としたものです。日本人は、海外MBAの学生ですら英語がそれほど流暢でない人も多いです。

その一因は、日本経済の海外依存度が低いことだと思います(他の理由としては、日本語と英語が大きく構造が異なる言語だからです)。努力しても絶対に無理なのではなく、ビジネスレベルの英語力を身につけるインセンティブが低いのです。つまり、英語を使わなくても、高収入の仕事はあるので、必須のスキルではないということです。

日本は、受験のための英語や、英会話スクールなど趣味としての英語については、巨大な需要がありますが、ビジネスで使える英語を本気で身につける需要は、大きくないと思います。あなたの周りにも英語話せるようになりたいという人は多くいると思いますが、本当に切実に仕事のために英語を学んでいる人は少ないのではないでしょうか?

経済の海外依存度が高い国では、ビジネスレベルの英語は、条件の良い仕事を得る必須条件です。例えば、貿易額のGDP比が日本の3.6倍の台湾では、高学歴の人が英語を本気で学習しない選択肢は、あり得ません。大部分の高収入の仕事で英語が必須だからです。

台湾の主要産業の電気・電子業界は、完全に外需向けのビジネスのため、営業の多くは、海外営業です。英語に加えて、日本語がビジネスレベルの営業も、いくらでもいます。経営トップも英語で取引先と直接商談します。エンジニアも、海外のエンジニアと直接話すことが前提とされているため、流暢ではなくても、果敢に英語でコミュニケーションします。

海外依存度世界1位の香港では、大卒は母国語の広東語に加えて、北京語、英語が流暢に話せることが当然とされています。海外依存度が日本の約3倍の韓国も英語や中国語の習得への情熱は、日本の比ではないと思います(以前は、日本語もその対象でした)。

英語圏以外の国の外資に就職する場合

英語の話が長くなりました。英語圏以外については、状況が異なってきます。英語圏以外の外資の日本支社では、その国の言葉が採用の必須条件になることは少ないと思います。英語以外の言語がビジネスレベルの日本人は、英語以上に少ないので、必須条件にすると、優秀な人材が採用できないからです。また、英語は国際ビジネスでは絶対に必要なので、現地語より英語を優先していると思います。

例えば、中国の大企業ファーウェイの日本での人材募集を見ますと、中国語ではなく、日本語と英語がビジネスレベルであることを必須にしているポジションが多いです。しかし、それでも中国語が役に立たないというわけではありません。英語でコミュニケーション可能だったとしても、中国本社の大部分の人は、英語がネイティブレベルというわけではないはずです。英語だと上手く伝えられないことも多いと思います。そんな時に中国語が流暢であれば、スムーズにコミュニケーションできます。

日本企業で海外担当をする場合

外資に就職するのではなく、日本企業で海外担当をする場合でも、英語力は必須です。日本の会社ですと、通訳をつける場合がありますが、日本がアジアで圧倒的な経済大国だった20年前はともかく、現在英語で直接話ができない人は、文字通り話にならない人と受けとめられます。

私が台湾で働いていた時に、パソコンやスマートフォンのようなIT機器に使う電子部品の選定に関わっていたことがあり、日本の電気部品メーカーや商社が営業が来ることがありました。中国語どころか、英語もできないメーカーの日本人が通訳を伴って営業にきた時は、本当に呆れました(複数回ありました)。なぜ、海外に営業を派遣するのに、多少なりとも言語ができる人を選ばないのでしょうか?営業の相手をするお客様が面倒だとは想像できないのでしょうか?英語も中国語もできない商社の人までいて、一体何を売りにして、この商社は存在しているのかと思いました。

英語圏以外が担当の場合、担当する国の言葉の語学力、文化や商習慣の理解があることは、大きな強みです。海外から営業が来た時に、日本語が話せて、日本の事情通だったら、嬉しくないでしょうか?私は、率直に嬉しいし、公平に判断しようと努力しても、ひいき目になるのは仕方ないと思います。

コミュニケーションのしやすさもありますが、それ以上に、日本を理解する、日本の市場にコミットする姿勢を感じるからです。英語圏以外だと、片言でも現地の言葉を話すと、大変喜ばれることが多いです。

英語が流暢に話せる相手が取引先だったとしても、現地の一般人や現地のメディアから直接情報を取れることは、その国の市場を知る上で、大きなプラスです。日本のローカルな話題を英語で話すのが難しいように、海外の情報も英語になるとニュアンスがずれてきます。

また、英語圏以外では、英語を流暢に話せる人は、その国の限られたセグメントの人だけです。英語が流暢な人に現地の事情を翻訳してもらっている時点で、その情報はバイアスが入ってしまいます。

例えば、海外の会社が、東京支社の英語ペラペラの日本人社員に北海道の漁師の需要を聞いてもらうとします。東京の社員自体が、漁師の気持ちが分からない可能性が高いのではないでしょうか?もし、依頼をした外国人が日本語を話せれば、直接漁師に話を聞いた方が、より活きた情報、自分が欲しい情報を引き出せます。同様に日本人が海外担当をする場合でも、現地の普通の人と直接話ができることは重要です。

理由②:海外経験のある人材は、今後ますます重宝される

以上のように、海外経験は、日本の人材市場で非常に価値が高いです。現在の日本が置かれている経済・社会状況をみると、海外経験のある人材は、今後ますます重宝される見込みです。

観光客の激増

日本政府観光局(JNTO)によれば、訪日外客数は2006年の733万人から2016年の2,404万人まで10年間で3倍強増えています。街中や観光地で外国人や、観光客に対応するための外国人スタッフの姿を目にすることが増えたのではないでしょうか?

出典:日本政府観光局(JNTO)

政府は更に外国人観光客を増やす戦略です。「明日の日本を支える観光ビジョン構想会議」によれば、2020年に4,000万人、2030年には6,000万人を目標にしています。10年後には今の倍くらいの外国人が日本に来る計画になっています。

この数字は、現実性のない目標ではありません。世界観光機関によれば、2015年の国際観光客到着数のトップはフランスで8,445万人、次にアメリカの7,751万人、スペイン6,821万人と、6000万人を超える国は3カ国あります。

更に世界全体で海外旅行客数は増え続けています。特に日本への旅行者が多い東アジア、東南アジアは、経済成長、中流家庭の増加に伴って海外旅行者数も増えています。中国など近隣諸国の経済規模や人口の大きさ、日本が持つ自然、文化遺跡、食など観光資源の豊かさを考えると、スペインと同じくらいの観光客数になることは、全くおかしくないと思います。

観光業は裾野の広い産業です。空港、交通機関、ホテル、小売、レジャー施設など、様々なところで観光客をおもてなしするバイリンガルのスタッフが必要になります。表に出ないところでも、外国人需要のための商品、サービスの開発、マーケティング、海外パートナー企業への営業などが重要になってきます。

これまでは、外国人向けの特定の対応をしていなかったところも、観光客数が倍になれば、専門の担当をつけるかもしれません。特定の国や文化圏の観光客の取り組みも増えてくると思います。例えば、インドネシア、マレーシアなどの「イスラム担当」を設置して、食品のハラル対応や、1日5回の礼拝のための場所を確保するなど。

日本経済に占める貿易の比率が高くなる

次に、貿易での海外とのつながりも増えてくる可能性があります。経済に占める貿易の比率が高くなれば、海外とのコミュニケーションが重要になり、海外経験のある人材がより重宝されるはずです。

日本は島国で、貿易依存度が高い国と思われがちですが、実はそうではありませんでした。2015年の日本のGDPに対する貿易額の比率は28%で、世界189位です。貿易依存度が高いどころか、世界で最も低い国の一つです。

GDPに占める貿易額が高い国は、1位の香港337%、2位のシンガポール233%です。工業製品の輸出国で日本と比較されがちな韓国は72%、ドイツは71%で、GDP規模の大きい国としては上位に入っています。

現状、日本の海外依存度は極めて低いですが、今後日本の人口が減少して、内需が減少していくと、海外依存度は高まっていくと考えます。実際に、GDPに占める輸出の比率は1995年の8.3%から2015年には15.1%まで増加しています (財務省貿易統計, IMF統計から算出)。

表:各国の貿易依存度 
順位 国(地域) 貿易依存度
1 香港 337%
2 シンガポール 233%
3 スロバキア 167%
4 ベトナム 163%
5 ハンガリー 147%
・・・・・
24 台湾 102%
60 韓国 72%
64 ドイツ 71%
189 日本 28%
197 アメリカ 21%

出典: United Nations Conference on Trade and Development、Global Note整理

日本語を学ぶ外国人の数は減っていく

日本と海外をつなぐ人材がより重要になってくる一方で、日本語が流暢に話せる外国人は急激に減っていく可能性が高いです。日本語が話せる外国人が少なくなれば、外国語が話せる日本人の需要は更に高くなります。

国際交流基金が実施した2015年度「海外日本語教育機関調査」によれば、前回の2012年度調査から、全体の日本語学者数は-8.4%減少しています。特に上位3カ国の中国、インドネシア、韓国がそれぞれ、-8.9%、-14.6%、-33.8%と大きく落ち込んでいます。

表:2015年国別日本語学習者数

学習者数(万人) 2012年比
中国 95.3 -9%
インドネシア 74.5 -15%
韓国 55.6 -34%
オーストラリア 35.7 21%
台湾 22.0 -6%
タイ 17.4 34%
アメリカ 17.1 10%
ベトナム 6.5 39%
フィリピン 5.0 54%
マレーシア 3.3 0%

出典:国際交流基金 2015年度「海外日本語教育機関調査」

日本語学習者数が、中国や韓国で減っている理由は、中国人や韓国人にとって、経済的に日本語を学ぶ意味が小さくなったからだと思います。

2000年代までは、日本はお金持ちのイメージでしたので、日本語を熱心に学ぶ外国人、特に中国などアジア諸国の人が多数いました。1990年代の日本は先進国の中でもトップクラスの一人当たりGDPを誇っていましたが、今では欧米の多くの国、シンガポール、香港に比べて明らかに低くなっています。

アジアの他の国も急速に追いついてきています。韓国、台湾は、日本にほぼ追いつきました。中国や東南アジアでも、高学歴層に限れば、母国でも高収入の仕事が増えてきています。日本は、成長率も非常に低いので、他の国に比べて将来性もありません。

昔は日本語を身につけて、日本で働いたり、日本企業の現地法人に勤めることで、高収入を得ることができました。現在は、経済的な損得勘定で日本語を学習する利点は、非常に小さくなってきています。もし、私が逆の立場であれば、既に一人当たりGDPは先進国最低レベル、成長率も最低レベル、人口も急激に減少していて、今後成長の期待のない国でしか使えない言語に、貴重な時間を投資しようとは思わないです。

日系企業での英語公用化

今まで日本の会社で英語や他の外国語を使う必要があったのは、国際的な業務をする一部の人だけでした。その他大勢の人にとっては、英語ができなくても、就職や出世に大して影響がありませんでした。

しかし、日系企業でも、英語が必須の会社が増えてきています。

楽天は、2010年に会社の公用語を英語にすることを発表、2012年から正式開始、現在でも続いています。楽天の求人を見ると、例えば「楽天モバイルショップ 営業担当」という、全く英語と関係のなさそうな仕事でさえも「TOEIC800点以上もしくは同程度の英語力」が必須条件になっています。求人内容を見る限りでは、英語が役に立つようには全く思えませんが、会社の公用語が英語なので、高い英語力が必須とされているのでしょう。

ホンダは、楽天が英語化を発表した2010年の段階では、当時の社長が「日本人が集まるここ日本で、英語を使おうなんてバカな話だ」とコメントしています。それが、2015年に開示した「サスティナビリティーレポート」では、2020年を目標にした英語の「公式言語化」を宣言しました。具体的には、英語力を役職者認定の認定の要件にしていくことを計画していることや、地域間の会議で使う文書や、情報共有のためのやりとりを英語化することが記載されています。日本人同士のやりとりは日本語で問題ないようですが、英語が公式言語となることで、キャリアアップのためには、英語が避けて通れなくなると思います。

外資による日系企業の買収

事業の採算悪化などで、日本の大企業が外資に買収されるケースが目立ってきています。会社全体の買収でなくても、特定の部署が切り離されて、外資と統合するケースもあります。外資に買収されると、社内でのコミュニケーションで英語が重要になってきます。外国の会社の傘下になるので当然です。

日産は、1999年にルノー傘下に入って以来、英語が日常的に使われています。日産採用担当のインタビュー記事によれば、「全ての業務で英語力が必要になります。部長や役員など、上司が日本人ではない部署も多く、そのような部署では、共有する資料などを最初から英語で作っています。」とのこと。

最近の例では、シャープが台湾の鴻海(ホンハイ)に買収されました。まだ、シャープの社内言語の方針については報道を見かけませんが、英語が管理職の必須になることは間違いありません。重要な報告は、本社にする必要がありますし、鴻海(ホンハイ)グループ他社との連携も必要だからです。既に管理職だが英語ができない人は、苦しい立場になると思われます。

日本で働いている多くのビジネスパーソンにとって、英語はまだ重要ではあるが、必須ではないと思います。難しい点は、将来的には英語が必須の会社、業界、職種が増えていく可能性が高いが、今は使う必要がないことです。現状の業務で使わなければ、日々の仕事が忙しい中で、英語を学ぶモチベーションを保つことは難しいです。

しかし、日本語しか使わない仕事で成果を出して昇進していたら、日産やシャープ、楽天やホンダのように、ある日突然必須になる可能性があります。切羽詰ってから、英語に真剣に取り組むというのもありですが、ベテランになってから本当に英語が習得できるのでしょうか?言語は若ければ若いほど、習得が容易です。将来の大きなリスクを避けることを考えると、若い頃にビジネスレベルの英語を身につける方が無難です。そのための一つの手段が海外就職です。日本で英語を使う仕事がなければ、外に修行に出れば良いのです。

理由③:伸びている国にチャンスあり

伸びている国にはチャンスが多いです。なぜなら、伸びている国では、多くの業界や会社が成長しているからです。

新卒や第二新卒の優秀な方が、日系の大手企業ではなく、「成長の機会が高そうだから」ベンチャー企業を志望することがあります。一般的な傾向としては、低成長より高成長の会社の方が、様々な種類の仕事をしたり、裁量の範囲が広い仕事を経験ができる機会は多いはずです。低成長企業では、新しい仕事が作られにくいし、組織も安定していて、責任の範囲も固定されがちだからです。

そのような伸びている組織で自分を試されたい方は、国全体が伸びている環境に身を置くことも、是非検討して欲しいと思います。例えば、中国の2015年の名目GDPの成長率は7.4%、インドネシアは9.2%です。日本の多くの業界、会社では、二桁成長は高成長と言われますが、すぐ近くの国では、国全体が二桁近い成長をしているのです。そのような国では、二桁成長の会社はむしろ当たり前です。

高齢化の進む日本の会社は若手に不利

低成長の会社、業界は、人材の流動性が低く、社員の平均年齢が高くなっていきます。ミドル、シニア層に社員が偏っていると、若手に責任のある仕事を任せにくい要因になります。上が詰まっていると、下の世代は窮屈にならざるを得ないからです。一方で、成長力の高い国、例えば中国では、次々と新しいビジネスが生まれるので、若手に任せざるを得ません。マネジメント層が若いことも若手にチャンスを与えやすい一因です。

私が台湾に勤めていた時、日本の大企業とのプロジェクトを多く経験しました。台湾側が20-30代中心なのに対して、日本側が40代中心でした。日本からの出張者で20代の人は、ほぼ見たことがなく、30代でも若手扱いでした。台湾側の30代では管理者レベルです。日本のメーカーにいる20代は、いったい何をしているのかと思ったものです。

原因は単純に、私のいた会社の平均年齢が日本の大企業より10歳以上若かったからです。あれから、10年経過し、日本の大企業の社員の平均年齢は更に上がっています。東洋経済の2015年の調査によれば、上場企業の7割超が10年で平均年齢が上昇しています。日本は少子化で、上の世代になるほど人数が多いからです。特に大企業はバブル期に大量採用した影響で、今の50代の人数が特に多い状況になっています。

日本にも、成長していて、若手にチャレンジングな仕事を与える会社は多数あると思います。しかし、平均してみると、社会全体の経済成長が停滞しているので、他国と比べて若手に与えられる大きな仕事は多くありません。日本での就職で、ピンとくる会社が見つからなければ、海外の会社にも目を向けると、選択肢が大きく拡がります。

理由④:すごい会社は海外にあり

就職活動をする人は、普通は日本の会社や日本にある外資の中から、自分が最も働きたい会社を探すと思います。

もし、日本で働く前提を考えなければ、どうでしょうか?

日本に拘りがないのであれば、語学力や、ビザの問題がなかったとしたら、それでも日本で働きたいですか?例えば、IT企業が志望なら、世界中のIT企業の中で、日本のIT企業や、外資ITの東京支社は、最善の選択肢でしょうか?それとも、アメリカの巨大IT企業や、勢いのあるベンチャーの本社でしょうか?

日本の会社は停滞している

日本の経済全体が停滞しているように、日本の会社も世界に比べて停滞しています。世界の会社の時価総額によるランキングのFinancial Times Global 500によれば、2006年度に日本の会社は500社の内の60社を占め、アメリカに次ぐ2位でした。2015年度は、35社まで下がり、中国に抜かれて3位になりました。4位のイギリスの32社とも僅差です。10年間で、日本の大企業が時価総額の成長で海外に負けていたということが分かります。

日本の会社の停滞感は、東証の時価総額ランキングにも現れています。1位から、トヨタ、三菱UFJ、NTTドコモ、NTT、ソフトバンク、KDDI、JT、日本郵政、ホンダ、ゆうちょ銀 (2017年2月24日時点)。高収益ではありますが、ソフトバンクを除いて、歴史の長い会社(グループ会社)ばかりです。一方で、アメリカでは、トップ10に比較的新しい会社で、巨大企業になった今でもイノベーションを続けているApple、Alphabet (Google)、Microsoft、Amazon、Facebookが入っています。

革新的なサービス、商品の多くは海外発

ニュースで話題になる革新的なサービス、商品も、上記の巨大IT企業や、UBER、Airbnb、TESLAなど、アメリカの会社が多いです。世界を驚かせる面白いサービス、商品を開発したい人は、日本ではなく、アメリカのIT企業、テクノロジー企業に就職する方が近道かもしれません。

もしくは、NAVERのように世界市場をターゲットにしている韓国企業の選択肢もあります。日本の会社と思っている人もいますが、LINEもNAVERの子会社ですし、自撮りアプリで日本で最も使われているSNOWもNAVERの子会社のサービスです。巨大市場を抱える中国はどうでしょう?最近は、アメリカのモノマネではなく、斬新なサービスも増えています。世界に広がる中華系ネットワークで、日本の会社より海外展開もしやすそうです。

日本が強いとされていた製造業でも日本の会社の存在感は薄れている

ITサービスだけでなく、日本が強いとされていた電気・電子関連でも日本企業の存在感は薄れています。世界の会社の売上ランキング Top 500を集計したFortune 500 2016年度版によれば、Electronics, Electrical Equip (電気・電子機器)の1位は韓国のSamsung、2位は台湾の鴻海(ホンハイ)、3位はドイツのSiemensです。日本の最高は4位の日立製作所です。

Computers, Office Equipment (コンピュータ・オフィス機器)では、Appleが1位、2位HP、3位は中国のLenovo、4位は台湾のPentagon、5位も台湾のQuanta Computer、6位にやっと日本のCanonです。売上だけでみれば、Canonよりも普通の日本人は誰も知らないPentagonやQuantaの方が大きいのです。

日本は、完成品は負けてきているが、部品は強いという議論をよく耳にします。「iPhoneはすごいけど、使われている部品は日本製が多いよ!」というような報道を見たことのある方も多いと思います。少なくとも、Fortune 500に入る世界の大企業については、はっきり言って幻想としか言いようがありません。ニッチな分野で世界No.1の日本企業は多数あるとは思いますが、金額が大きい産業の主戦場では勝てていないのです。

半導体・電子部品の1位は、Intel。2位は、知らない方が多いと思いますが、台湾のTSMC(Taiwan Semiconductor Manufacturing)。利益率も高く半導体製造技術で世界を引っ張り続けている超優良企業です。Intelのように一般人も知っているブランド力があるわけでも、利益度外視で価格勝負しているわけでもありません。半導体の「モノづくり」が圧倒的に優れているから、世界で勝ち続けているのです。3位はシンガポールのFlextronics。日本の半導体・電子部品の会社は、Fortune 500の中に1社も入っていません。

将来は日本のメーカーで働きたいという人も、一度海外のメーカーで働いてみるのもいいのではないでしょうか?日本のマスコミでは日本の「モノづくり」は素晴らしいとされていますが、具体的に世界に比べて何が素晴らしいのでしょうか?本当に世界のトップのSamsung、鴻海(ホンハイ)、IntelやTSMCより優れているのでしょうか?客観的なデータを見る限りでは、かなり疑問です。

日本の「おもてなし」は、世界の一流?

東京オリンピックの招致活動以降に流行りの言葉になった「おもてなし」を提供する会社についても同様です。私も、日本人はおもてなしを大切にしていると思います。しかし、個人のレベルはともかく、日本の会社や組織の「おもてなし力」が海外と比べて高いとは全く思いません。

事実として、世界の「おもてなし産業(Hospitality Industry)」の中では、日本の会社の存在感は高いとは言えません。国内、国外問わず頻繁に旅行に行く人で、日本のホテル、観光地のおもてなし力が、海外の一流のホテル、一流の観光地よりもレベルが高いと断言できる人はいないと思います。

例えば、Brand Finance 2016年の調査によれば、最も価値のあるホテルブランドは、1位からHilton、Marriott、Hyatt、Sheraton、Holiday Innです。個人的な好みの違いはあると思いますが、納得の顔ぶれではないでしょうか?日本のホテルも調査対象に入っていますが、上位20位に1つも入っていません。

もちろん、日本にも素晴らしいホテルはあります。個別のホテルで見れば、平均的なHiltonよりも優れたホテルは、多数あると思います。しかし、HiltonやMarriottのように世界各地で、全く違う文化の国や途上国でも、世界中どこでも素晴らしいサービスを提供するホテルブランドは、日本にはないと思います。

例えば、将来日本のホテルでインバウンド(海外客向け)の仕事をしたい方も、まずは世界最高のホテルブランドで、世界中どこでも通用している「おもてなし」を学ぶ価値はあるのではないでしょうか?

日本だけでなく世界の最高の会社を目指す就職活動

最近の傾向なのか、以前もそうだったのかは分かりませんが、日本には根拠もなしに日本全般や日本の会社を賞賛する報道が溢れています。日本人が個人のレベルだと、非常に謙虚なのとは対照的です。

モノづくり(製造業)、おもてなし(ホスピタリティ業)の例を紹介したように、少なくても大企業のレベルでは、日本が特別に素晴らしい国である客観的な根拠はありません。むしろ、世界での日本の企業の存在感は、急速に薄れていることが現実です。意図的に視聴者受けを狙って日本を美化しているのかもしれませんが、「井の中の日本のマスコミ、大海を知らず」な状況です。世界は広いです。日本にも素晴らしい会社は多いですが、世界にはすごい会社がいくらでもあります。

日本で普通に就職活動をすると、日本の会社や外資の日本支社だけが検討の対象になります。日本に住むという前提を取り払えば、世界の最高の会社を目指すことが最良の選択肢だと思います。もちろん、ビザや語学力の問題はありますが、若い時から挑戦すれば解決不可能な問題ではないと思います。私も台湾企業の本社に就職しましたが、ビザもコネもなければ、語学も完璧ではありませんでした。

理由⑤:外資は本社の仕事の方が面白い

大手の外資について言えば、東京にも支社があるケースが多いです。しかし、私は東京に支社がある外資でも、本社での就職も検討することをお薦めします。一般的に言って、海外支社よりも本社の方が、仕事の選択の幅が広く、面白い仕事が多いからです。

本社に比べて日本支社は仕事の幅が限られる

本社に比べて、日本支社で働くことのマイナス点は、仕事の幅が限られる傾向があることです。外資の日本支社の主な役割は、本社が企画・開発した商品・サービスの日本での営業、マーケティング、その他日本で必要なオペレーションの実行です。

例えば、Google、Microsoft、Facebookなどの主要なサービス内容は、全世界で基本的に同じです。iPhoneもMacBookも全世界でほとんど同じ機種を販売しています。日本支社が、会社の根幹になるような商品・サービスの開発に関わるのは難しいです。

日本のマーケットからのニーズを吸い上げ、日本のマーケット向けのマーケティングや商品の開発を提案することも日本支社の役割です。しかし、本社に比べると、日本主導で大きな投資が必要なプロジェクトには取り組みにくいです。

グローバル企業は、日本などの個別の市場ではなく、アメリカやヨーロッパを中心に全世界を視野に入れて商品・サービスの開発、社内システムの構築を行っているからです。世界に占める日本のGDPシェアは、5%強しかありません。しかも、年々低下しています。グローバルに経営の最適化を考えるなら、日本の独自の取り組みへの投資は、慎重にならざるをえません。

アジア地域本社への就職もお薦め

本社ではないですが、アジアの地域本社(Regional Headquarter)も検討する価値があります。アジア本社がある場合、日本支社は、アメリカやヨーロッパの本社ではなく、アジア支社に報告をします。

現在、アジア本社をシンガポールに設ける会社が多くなっています。英語が使える優秀な人材が採用しやすく、法人税が低いからです。ITだと、Apple、Google、Facebook、Microsoft、Twitterがシンガポールにアジア本社があります。アジア本社は、日本も統括しているので、日本語ができると有利になる求人があります。

例えば、先ほどシンガポールのFacebookの求人を見てみると、Client Partner Manager, Gaming Industry, Japanという仕事を募集していました。日本のゲーム業界の大手顧客に対する営業職です。恐らく同じ営業チームに韓国、中国などアジアの他の国を担当している人や、アジア全体の戦略を考えている人もいると思います。日本担当として成功すれば、複数の国を統括する仕事も担当できるかもしれません。担当する地域の幅という意味では、日本支社より面白いのではないでしょうか。

理由⑥:日本は他国と比べて豊かでなくなってきている

いったんここで就職の話から離れます。唐突な質問ですが、日本はお金持ちな国なのでしょうか?あるいは、日本人は、世界の他の国の人と比べて、裕福なのでしょうか?

日本の一人当たりGDP順位は世界3位から22位にダウン

私が学校教育を受けていた1990年代前後、日本は非常に豊かな国でした(少なくとも一人当たり名目GDPでは)。私はその当時に勉強した数字の印象が今でも抜けず、日本は先進国の中でも金持ちの国と考えがちです。日本国内の報道を見ると、今でもそのような考えをしている人が少なくないように思います。しかし、GDPランキングを見ると、日本は先進国では、普通程度の豊かさの国になっています。更に、今のままのトレンドだと、先進国では貧しい国になる可能性があります。

日本のUSドルベースの一人当たり名目GDPは、1996年には世界3位でしたが、2016年には22位まで下がっています。1996年と比較して、他の先進国は50%以上GDPを伸ばしている国が多い中、日本はわずか1%の増加です。日本が「失われた20年」で停滞している中、他の先進国の一人当たりGDPは上がっていたのです。

表:名目GDPランキング(2016年 USドル)

出典:IMF World Economic Outlook Database April 2017

2012年から一人当たりGDPは急激に下がっている

1990年代から下がっているのは知っているけど、アベノミクスで回復傾向なのでは?と思った方もいるでしょう。

下のグラフの青線は、日本円でのGDP推移です。確かに、第二次安倍内閣が始まった2012年からV字回復しています。

一方で、赤線は国際比較で用いたUSドルベースのGDP推移です。国際比較では、現地の通貨同士では比較できませんので、USドルに換算したGDPを使います。USドルベースのGDPでは、2012年は1990年代を上回る過去最高水準でした。そこから2015年にかけて30%下がっています。ドルベースで見ると、アベノミクスが始まってから、一人当たりGDPは急激に下がってしまいました。

出典:IMF World Economic Outlook Database April 2017

円安になると、日本の生活水準は低くなる

円ベースとドルベースでGDPが反対の動きをしているのは、為替レートの変動によるものです。ドルベースでGDPがピークになった2012年は、1ドル80円の円高だった年です。円高の時には、ドル換算するとGDPが大きくなります。逆に2013年からは円安が進んだため、ドルベースのGDPが大きく下がりました。

日本に住んでいるのに、ドルベースのGDPを気にする必要はあるのでしょうか?

日本に住んでいる限りは、日本円で暮らしていますので、ドルベースでGDPが下がっても生活水準に直接影響はありません。しかし、海外に行くとすぐに円安、円高の影響を実感します。一ドル80円の時は8,000円で買えた同じ品物が一ドル120円だと12,000円かかるのです。私のように海外旅行が趣味の人は、それだけで切実な問題です。また、日本は多くの商品、資源を輸入していますので、円安が長期的に続くと日本国内の物価も上がります。物価が上がれば、同じ給料のままでは実質的に貧しくなります。

また、海外の人と比較すると、円安のときは日本で働いている人の給与は低くなってしまいます。例えば、2012年の1ドル80円の時に日本で年収800万円の人と、アメリカの年収10万ドルの人は同等の給与水準でした。しかし、2015年のように1ドルが120円だと10万ドルは1,200万相当になり、400万円も差がつきます。アベノミクスで日本円の給与は微増の傾向ですが、ドルベースでは大幅に減っています。

私がMBAを卒業したのは、ちょうど円高の2012年で、ドルベースで過去最高の一人当たりGDPを記録しました。その当時、私の学校のMBA新卒の給料の各国比較の資料を見ると、日本での給料は、欧米と同等でした。1ドル80円の、今から考えると超円高の時に、やっと同レベルだったのです。しかし、2013年から一気に円安になり、ドルベースで見ると日本でもらえる給料は欧米より顕著に低くなりました。欧米人の学友から見ると、給料が低い上に、税金も物価も高く、更に労働時間まで長い東京で働くのは、割に合わないように見えていると思います。

物価調整後のGDPでは、日本の順位は更に低い30位

USドルベースの名目GDPでは、為替の変動によって、GDPが大きく変動してしまいます。2016年の日本の一人あたりGDPは、22位でしたが、今は円安で、本来の実力はもっと高いのかもしれません。

そこで、為替の変動や、各国の物価の違いを考慮してGDPを比較するには、PPP (購買力平価)で調整したGDPを使います。PPPについては、ここでは説明しませんが、単純にいえば物価のようなものです。物価が高い国のPPP GDPは低く調整され、物価が安い国は高く調整されます。

例えば、物価が高いことで有名なスイスの2016年名目GDPは79,242ドルですが、PPP調整後は59,560ドルと大きく下がります。逆に中国は物価が低いので、名目GDP 8,113ドルに対して、PPP GDPは15,399ドルです。日本は、名目GDP 38,917ドルに対して、PPP GDP 41,275ドルと、若干PPP調整後の方が高くなりますが、ランキングは更に下がって30位です。

PPPベースの一人当たりGDPでは、日本は1996年から2016年に+67%上昇しております。デフレは、悪いだけの現象のように解釈されることが多い昨今ですが、デフレとは物価が下がることです。物価が下がることで、同じ給料でも買えるモノが増えるので、実質的な一人当たりGDPは上がったのです。

しかし、同じ期間に、アメリカのPPPベースGDPは+91%、ドイツは+88%と、日本を大きく上回っています。アジアの国ですと、韓国が+188%、台湾 +189%、中国 +647%、シンガポール +155%、香港 +145%です。物価を考慮したPPPベースの一人当たりGDPでも、日本は他の国より伸びが緩やかなことが分かります。

出典:World Economic Outlook Database April 2017

日本のPPP GDPは、シンガポールの半分、台湾よりも低く、韓国と同水準

PPP GDPで比較すると、名目GDP以上にアジアの躍進が際立ちます。2016年の一人当たりPPP GDPで、シンガポールは日本の2.13倍!日本の倍以上の豊かさです。香港も日本の1.41倍。韓国は日本の91%まで迫っております。名目GDPでは日本より低い台湾も、PPP GDPは日本の1.17倍です。名目とPPP GDPで日本と台湾の順位が逆転しているのは、日本の方が物価が高いからです。物価を考慮すると、台湾と日本は、少なくとも同程度の豊かさになっていると言えます。中国は、まだまだ低いですが、1996年に日本の8%しかなかったのが、37%まで追いついてきています。タイやインドネシアなど東南アジアも急激に追いついてきています。

出典:World Economic Outlook Database April 2017

2007年に初めて台湾の一人当たりPPP GDPが日本を抜いた時、私は台湾で働いていました。シンガポールや香港は数100万人の都市なので、1.27億人がいる日本と比べるのは無理がありますが、台湾は2,350万人の人口があり、人口でも面積でも近畿地方と同じくらいの大きな国です。1990年の時点では一人当たりPPP GDPが日本の53%しかなかった台湾が、20年弱で日本を抜き去ったのです。私が学生の頃は、台湾は完全に発展途上国扱いでした。

確かに、私が住んでいた実感でも、2007年の時点で、台湾の普通の人の生活水準は、日本と遜色がありませんでした。給料は半分くらいでしたが、家賃、食費、交通費などの生活費も半分くらいだったので。例えば、家賃については、私の住んでいたところは台北の中心部から30分くらいの場所でしたが、ワンルームで2-3万円くらいでした。外食も200-300円程度で定食が食べられましたし、地下鉄の初乗りは100円もしませんでした。逆に東京では、大卒の初任給手取りが20万弱で、家賃が最低7万円くらいするので、やりくりが大変そうだなと思っていたものでした。

私は台湾の生活水準が高いことを知っているので、台湾の一人当たりGDPが日本を上回っていることを実感として理解しています。しかし日本の友人に話してみても、いま一つピンと来ないようです。韓国の一人当たりGDPがほぼ日本に追いたことを知っている人も少ないように思います。

日本のマスコミは報道しませんが、日本はもはやアジアでも特別豊かな国ではなくなりました。シンガポール、香港には完全に負けており、韓国、台湾と同水準、中国や東南アジアも急速に追いかけて来ています。海外就職を考える人には、事実として知っておいて頂きたいと思います。

理由⑦:日本の給与水準は高くない

日本の給与は20年間上がっておらず、先進国の中では低い部類になってしまいました。大学新卒の給与はアメリカの半分程度とのデータもあります。アジアとの差も急速に縮まってきています。

現在のトレンドが続けば、欧米は日本より顕著に豊かになり、アジアでも日本よりも豊かな国、地域が拡大していきます。欧米やシンガポールなど日本よりも所得の高い国であれば、日本よりも高所得が期待でき、中国などアジアでチャレンジするにしても、それほど収入面でも不利でなくなりました。

日本の給与はG7で6番目、20年間上がっていない

OECDによれば、2015年の日本の平均年収33,542ドル は、G7の中でイタリアに次いで低いです。アメリカは58,714ドルと日本よりも75%も高いです。イギリス、カナダは、イギリス、カナダも日本よりは50%程度高く、ドイツ、フランスは20%以上高いです。他に日本人が就職を考えそうな国だと、オーストラリアがアメリカと同水準、オランダがイギリスやカナダと同水準になっています。韓国も日本と僅差です。20%以上伸びている国が多い中、日本は1%下がっています。

新卒の給与はアメリカの半分程度

大学新卒時の給与を比べてみると、日本の大卒初任給は20.3万円(2016年、厚生労働省)、年間にして約240万円です。それに対して、アメリカの大学新卒の年収54,803ドル、約600万です(NACE’s Winter 2017 Salary Survey, ボーナス、コミッション、残業代など含まず)。アメリカの新卒時の給与は、日本の約2倍以上。日本の方が残業代、ボーナスなどが多いと仮定したとしても、アメリカは日本の2倍前後は高いと言えそうです。同じ「先進国」とは思えないレベルの格差です。特に日本に拘りがなく、高収入を得たい学生は、新卒からアメリカなど給与水準の高い国での就職を狙ったほうが良いのではないでしょうか?

アジアとの差も縮まっている

私の働いていた台湾ですと、大学新卒の月給は2万7655台湾ドル、約10万円です (台湾労働部 2015年度調査)。日本の約20万円よりも顕著に低いですが、物価の違いを考える必要があります。私の感覚値では、東京で20万円で生活するのと、台北で10万円で生活するのとでは、生活水準は大きく変わりません(どちらも中心部で一人暮らしだと大変そうですが)。また、新卒時から給与の差が大きいので、上位の大学では、日本の初任給と大差ありませんし、実力次第では、日本よりも高くなります。

中国は全国平均では、まだまだ給与水準は低いです。しかし、上海に限ると、給与所得者全体の平均月給は8,852元、約14.5万円(2016年Zhaopin.com調査)、年間では約174万円です。日本の平均給与は、約420万ですので、日本の41%まで差が縮まっています。更に上海統計局によれば、2004年から2014年までの10年間で、上海の一人当たり可処分所得は2.4倍に増えています。今後の10年間も日本の給与が変わらず、上海の給与が2.4倍に増えたとすると、10年後には日本と上海の給与水準は同程度になります。上海以外では、北京、深センも同等の給与水準になっています。

現在でも有名大学の卒業生に限れば、日本との給与水準の差は小さいです。例えば、清華大学の新卒から5年間の平均月給は12,807元、約22万円となっています(2015年iPIN.com調査)。今後も中国の給与水準が上がり続ければ、中国の有名大学の卒業生の方が、日本の有名大学よりも給与が高くなる日も近いかもしれません。

理由⑧:日本に住み続けることが最も幸福とは限らない

日本で各国の所得の比較や、GDPの比較など「お金」の話をすると、GDPでは豊かさは測れない、もしくは、お金よりも幸せが大切だと反論をする人が多くいます。確かに、GDPは経済規模の指標であって、豊かさや幸せの指標ではありません。

主婦の労働やボランティアなどGDPに入っていないサービスは多くありますし、安全、健康、家族や友人との関係など、お金以上に幸せに影響しそうなことも多くあります。GDPで測れない豊かさがあったり、お金より幸せが大切なことに全く異論はありません。

それでは、GDPや所得の話は置いておいて、日本は平均的に見て幸福度が高い国なのでしょうか、もしくは、あなた個人は世界の色々な国がある中で、日本に住むことが最も幸せだと言い切れるでしょうか?

日本の「幸福度」は世界53位、先進国最低水準

国連が発行している2016年の世界幸福度報告(World Happiness Report)によれば、日本は一人当たりGDPの順位よりも、幸福度の順位は更に低い53位。先進国としては、幸福度は非常に低い評価なのです。上位は、デンマーク、スイス、アイスランド、ノルウェー、フィンランドなどヨーロッパの小さめの国が占めています。ちなみに、これらの国は一人当たりGDPでも日本より高い国です。G7だとカナダが6位、アメリカが14位、ドイツ 16位、イギリス 23位、フランス 32位、イタリアが50位で、日本は最下位になっています。

幸福度という抽象的な概念を客観的に比較することは不可能ですが、幸福度について最も著名な報告で日本が低い評価を受けていることは事実です。日本は経済的に裕福な割には幸福度が低い国なのかもしれませんし、そのお金も他の国と比較して減ってきています。

海外に住んでみると、日本の良いところも発見できる

私は、日本が不幸な国と言っているわけではありません。幸福度の感じ方は人それぞれですし、その国の人には住み心地がよくても、外国人にとって住み心地が良いと限りません。現に、私は幸福度6位のカナダに数ヶ月、14位のアメリカには2年ほど住んでいましたが、現在日本にいますし、今のところは今後も日本に住み続けたいと思っています。日本は、良いとこもあれば、悪いところもあります。どこの国、どの都市でも特徴、長所、短所は必ずあります。しかし、現在の私にとっては、仕事や、住環境、食事、交通アクセスなど総合的に考えて、日本の東京がベストの選択肢だと思って住んでいます。

例えば、食事を例にしましょう。私は、日本で大学生をしていた時は、ほぼ自炊していました。外食やコンビニ弁当は、高いし、栄養が偏るからです(最近はコンビニの食材も栄養バランスの良いものが増えました)。しかし、台湾に移ってからは、食事は3食100%外食でした。バランスの取れた食事が安く食べられる食堂がいたるところにあるので、自炊の必要がなかったからです。そもそも、台湾の一人暮らしアパートにはキッチンがついていないので、自炊が不可能ということもあります。家庭がある人でも、平日は外で済ませる人も多いようです。フランスでは、普通のスーパーなどで売っている食材の豊かさに感心しました。近所のパン屋で売っている1ユーロくらいのパンでも感動的に美味しかったですし、スーパーで適当にチーズや惣菜、ワインを買うだけでも、豪華なホームパーティができました。

どの国にも、異なる食習慣があり、食材の豊富さ、外食の選択肢など、環境が異なります。それに合わせて食習慣も自ずと変わってきます。日本では自炊している人も、海外では毎日外食になるかもしれませんし、日本では毎日コンビニ弁当の人も、コンビニが少ない国では自炊を始めるかもしれません。

将来的に日本で暮らすにしても、海外に移住するにしても、海外で長期間暮らすことは、日本で暮らすことについて客観的に見直すきっかけになります。住む場所に限らず、何かの良さを知るためには、他の選択肢も試してみることが大事だと思います。

日本人で、日本に生まれたからといって、一生日本で暮らし続ける必然性はありません。日本が全ての人にとって幸福に住める国なわけでも、日本人だから日本に住むことがベストな選択肢であるとも限りません。私は、海外の複数の国で10年間暮らすことで、国によって、あるいは都市によって大きく生活環境が変わることを学びました。その結果、私は日本に住むことが最も幸せだと思うから、日本を選択しています。


「海外就職はじめに」次の記事

海外就職に向いている人・向いていない人
海外就職に向いている人・向いていない人
海外就職、国内就職は、それぞれメリット、デメリットがあります。海外就職に向いている人とは?①国際的なキャリアを目指したい人。②ハイキャリア志向の人。③ベンチャー志向の人。④不本意な新卒就職をした人。。。

「海外就職はじめに」一覧に戻る

海外就職はじめに
海外就職はじめに
①なぜ海外就職なのか考えよう ②海外就職の方向性を決めよう ③就職する国・都市を...

スポンサーリンク

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする