私が新卒だったら中国の「シリコンバレー」深センで就職したい

私は、2005年に新卒で台湾企業の本社で就職しました。

台湾で就職したのは、中国語の国で働きたかったからです。最初は、中国を検討したのですが、次の理由で台湾にしました。

・ 当時の中国は、長期で生活するのは生活環境が微妙だった(旅行先としては好きだったが)。逆に、台湾は旅行で行って、非常に好印象だった。

・ 当時の中国には、国際的な企業がなかった。逆に、台湾は、国際的に競争力の高い企業が多数あった。

2017年現在、私が新卒だったとしたら、間違いなく中国の深センでの就職を目指します。

日本の一般の大学生にとっては、深センといっても???だと思います。歴史の教科書に出てくる経済特区のイメージでしょうか?香港の対岸の街、あるいは安い商品を作っている工場のイメージでしょうか?

ここ数年で、深センは大きく変わりました。

今や、深センは、中国の「シリコンバレー」と呼ばれる、中国のベンチャー企業、テクノロジー企業の集積地です。特に若者にとっては、チャンスにあふれている街だと思います。

東南アジアや欧米での海外就職もいいですが、深センも是非検討してみてください!

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深センの魅力①:高い経済成長率

2016年の深センのGDPは、1.95兆人民元で、中国の都市として上海、北京、広州に次ぐ経済規模です。2006年から2016年の間に、GDPは3.4倍に拡大。2016年の成長率は9.0%と高い成長率を維持しています(深セン市府統計局

出典:深セン市府統計局

深センの2015年一人当たりGDPは、26,074 USドルで、北京の17,139ドル、上海の16,524ドルを大きく上回っています(Wikipedia)。2005年からの10年間で、人民元ベースの一人当たりGDPは2.6倍になっており、直近の2011-2015年の期間では、年平均7.8%で伸びています。(深セン市府統計局

日本の2015年一人当たりGDPは、34,513ドルです。都市単位で見れば、深センは日本など先進国のGDPに近づいていることが分かります。このまま、7%を超えるような高成長を続ければ、数年で日本と同水準になる見込みです。

出典:深セン市府統計局

深センの魅力②:テクノロジー、ベンチャー企業の集積地

テクノロジー企業や有望なベンチャー企業の集積地と言えば、長らくアメリカの西海外、特にシリコンバレーのことでした。近年、深センが急速に中国、アジアのテクノロジー、ベンチャーの中心地として成長しています。

高い研究開発投資

深セン市は、テクノロジーを重要な成長戦略としており、企業への研究開発費控除の優遇、優秀人材を招聘するための奨励金の提供、ハイテク産業団地の開発、ハイテク・フェアの開催などを行っています。

そのような優遇政策の影響もあり、深センでは活発な研究開発が行われています。2015年の深センの研究開発投資額はGDPの4.05%で、中国全国平均の2倍に相当します(Forbes)。日本の研究開発投資額は、GDPの3.5%前後。主要国で4%を超えているのは、韓国とイスラエルだけです(科学技術・学術政策研究所)。

活発なベンチャー起業

中国の深センには、2016年末時点で140万社の中小企業があり、1年間で26万社増えています(三井物産戦略研究所)。もちろん、その全てがテクノロジー企業や、高成長を狙うベンチャー企業ではありませんが、深センの高い企業意欲を表しています。一方で、日本の中小企業数は、増加どころか10年間以上減少の傾向です。

中国全体でのベンチャー投資額は492億ドル、日本の60倍以上です (EY global venture capital trends 2015)。 三井物産戦略研究所 によれば、深センのベンチャーキャピタル(VC)やプライベート・エクイティ・ファンドの数は、約5万機関、資本規模は約48兆円程度で、中国全体のベンチャー資金の約3分の1を占めています。深センだけでも、日本の20倍程度のベンチャー投資がされていることになります。

深センのベンチャー企業の中で、最も著名な例が、2005年創業のドローン・メーカー「深セン市大疆創新科技(DJI)」です。Bloomberg によれば、DJIは世界のドローン市場の60-65%のマーケットシェアを持っており、100億ドルの時価総額と推計されています。100億ドルというのは、ZOZOTOWNのスタートトゥデイと同じくらいで、LINE、無印良品、コナミ、日清食品よりも大きい規模です(2017年8月現在)。

巨大テクノロジー企業

深センは、多くの巨大テクノロジー企業の本拠地になっています。

Alibabaと並んで、中国で最も影響力の大きいIT企業がTencentです。Tencentのメッセンジャーアプリ、WeChatの月間アクティブユーザー数は9億人を超え、Facebookに次いで世界で最も使われているソーシャルサービスです。更に、ソニーや専業のゲーム会社を上回る世界最大のゲーム会社で、有名モバイルゲーム「クラッシュ・オブ・クラン」のSupercellの親会社でもあり、アプリの収益は世界一です。その他、オンラインメディア、動画サイト、決済サービスなど幅広いサービスを運営していて、人工知能など先端技術の開発にも力を入れています。(参照:TencentstatistanewzooApp Annie

Tencentの時価総額は、2017年4月の時点で2,271億USドル(約25兆円)で、世界のトップテンに入っています(statista)。日本のテクノロジー企業を比較すると、キーエンス、ソニー、キャノン、ファナックが4-6兆円程度です。ITの最大手だと楽天が約2兆円、LINEが約1兆円です。日本のIT企業は、束になってもTencent 1社に勝てません。

ITのハードウェアで有名なのが、Huaweiです。Huaweiは、消費者向けにはスマートフォンなどの通信端末、企業向けには基地局などの通信機器を製造、販売しています。Huaweiの2016年の売り上げは751億USドル(約8兆円)で、スマートフォン出荷台数は1億3900万台です。研究開発に力を入れており、2016年の国際特許(PCT)の出願件数は、同じく深センを本拠地とするZTEに続いて2位です。

深センの魅力③:若い人口構成

深センは、1980年に経済特区に指定されるまでは、小さな街でした。急速に発展したため、人口構成が非常に若く、2016年の深センの平均年齢は32.5歳です(深セン新聞網)。2010年時点の日本の平均年齢は45.0歳、2020年には48.0歳になると推計されています(国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口」)。

人口が若い都市は、若手にとってチャンスが多いです。ミドル、シニア層に社員が偏っていると、若手に責任のある仕事を任せにくい要因になります。上が詰まっていると、下の世代は窮屈にならざるを得ないからです。深センのような、平均年齢が若く、しかも高成長の場所では、多少経験がなくても若手に仕事を任せることになります。

特にベンチャー企業は、平均年齢が若いです。例えば、DJIの創業者は、まだ36歳です。私は、仕事で深センのベンチャー企業と商談したり、セミナーの講師をしたことがあるのですが、最も多いのは30代の社長でした。そのような会社では、大学を出たばかりの社員でも重要な仕事を任されています。

日本では、係長になるのが33歳、課長になるのが47歳です(キャリアパーク)。今後、高齢化が進むことで、出世は更に遅くなると思われます。30代半ばまで平社員で過ごすのではなく、深センにある無数のベンチャー企業で、若くから出世を狙うのも面白いキャリアなのではないでしょうか?

深センの魅力④:先進的な街の環境

最後に街の環境について。海外就職するということは、長期間その場所に住むということです。快適に暮らせる街かは、就職する場所を決めるうえで、非常に重要です。

私が、2005年に中国でなくて台湾で就職することにした、大きな要因は生活環境でした。旅行や短期の留学ならともかく、長期間住むには環境が悪すぎると思いました。地下鉄などのインフラが整っておらず、どこに行くにも面倒かつ大混雑。電車の切符を買うにも一苦労で、銀行や役所での手続きは大仕事でした。店舗やレストランなどのサービスも共産主義的な雰囲気を残しており、不快な対応を取られることもしばしばでした。

その後、北京や上海には、度々行くことがあったのですが、行くたびに先進的、快適な街に変わっていきました。特に、2016年に10年ぶりぐらいに深センに行って、その変貌ぶりには本当に驚きました。特にTencent本社付近の街は、非常にきれいで、洗練された雰囲気でした。同行していた日本人も、みんな中国の印象が覆ったと言っていました。

また、一般の人が普通にモバイル決済や、UBERのようなサービスを使っていたことも印象的でした。ITサービスについて、深センは、日本より遥かに進んでいるように思いました。

街の雰囲気は、記事を読んだり、写真を見たりしただけでは分からないと思います。まさに百聞は一見に如かずです。是非、一度中国の深センに行って、Tencent本社近くのハイテクの街を歩いて見るといいです。深センは、あまり観光するところはないですが、香港から片道2時間かからないので、日帰りで十分行けます。

テクノロジー拠点としての深センについての本

「ハードウェアのシリコンバレー深セン」に学ぶ−これからの製造のトレンドとエコシステム (NextPublishing) – 藤岡 淳一(著)


メイカーズのエコシステム 新しいモノづくりがとまらない。 (OnDeck Books(NextPublishing)) – 高須 正和(著)

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