海外就職のデメリット・懸念点まとめ

私は、多くの新卒の就活生、転職を考えている人に海外就職はメリットがあると考えています(だから、このブログを書いています)。しかし、どんな素晴らしいことにも、デメリットは必ずあります。海外就職が国内就職より絶対優れているわけでも、海外就職が誰にでも向いているわけでもありません。

海外就職をしようと決めている人も、これから検討する人も、海外就職のデメリットも知ったうえで、海外に飛び立ちましょう。

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懸念点①:海外就職をすると、日系企業で働ける可能性は小さくなる

海外就職をすると、新卒チケットを捨てることになる

日本では新卒時の就職活動を新卒チケットだとかプラチナチケットと呼びます。多くの日本の会社は、ほとんど新卒しか採用しないので、新卒時に希望の会社に入れるかは、その後のキャリアに絶大な影響を与えるからです。

新卒で海外就職すると、一生に一度の新卒チケットを捨てることになります。転職で海外就職でも、せっかく新卒チケットを使って入った会社でのキャリアを諦めるということです。

新卒で高収入企業に入社できれば、高い生涯賃金を得ることが見込める

東洋経済の調べでは、総合商社の伊藤忠商事や三菱商事の生涯給料は、約5億円。広告代理店の電通は、約4.5億円です。日本の平均生涯賃金は、大卒でも2億5000万円弱なので、倍程度です。日本の大企業は解雇は少なく、給与もある程度のレベルまでは横並びなので、日系の高収入企業に入社できた時点で、高い生涯給料は確定すると一般的に思われています。

出典:東洋経済ONLINE、生涯給料「全国トップ500社」ランキング

日系企業の中途採用は少ない

伝統的な日系企業は、人材採用の大部分を新卒採用に頼っており、中途採用で人気日系企業に入ることは難しいです。例えば、三菱商事の2016年のキャリア採用実績は、わずか13人。一方で2017年入社の新卒は179人です。

海外就職をして、日本の新卒チケットを放棄することは、希望の日系企業で働く可能性が小さくなるということです。中途採用を積極的に行わない日系企業で働きたい人には、海外就職はお薦めできません。

例えば、高給の総合商社、大手広告代理店に入りたい。または、日本の商品を海外に売る仕事をしたいので、大手の電機、食品メーカーに勤めたいなどです。海外で修行してから、日本の会社で働きたいと思っても、チャンスは限られています。

もし、海外就職をした後に日本の会社に転職するプランを持っているのでしたら、海外に行く前に、本当に希望の会社や業界は転職者を採用しているのか、確認してから実行した方が無難です。

日系企業に入れば、終身雇用で安全・安心か?

しかし、実際のところは、高収入の日系企業に入れば、終身雇用で一生安泰というわけでもありません。

以下のグラフのように上場企業でさえも倒産しています。2000年前後と、2008年に倒産件数が大きく増加しています。2009年以降は低い水準が続いていますが、次の景気の落ち込みには、また倒産する会社が増えることでしょう。

出典:東京商工リサーチ、2016年度の上場企業倒産状況

日本の基幹産業と思われていた電機・電子では、かつての超人気企業のソニーが大規模なリストラをしたり、シャープが台湾の鴻海(ホンハイ)に買収されたり、東芝が倒産しそうになっていたりと、少し前までは考えられない状況です。あのJALでさえ倒産したし、超安定企業と思われていた東京電力もご存知の通りです。

例えば、トヨタやNTTが倒産することはあり得ないと思うかもしれませんが、20年後の世界は誰にも分かりません。私としては、一生安泰の会社を選ぶよりも、明日会社がなくなっても、クビになっても生活に困らないスキルや心構えを身につける方が、安全・安心だと思います。

懸念点②:職種、業界の選択肢が狭くなる

海外就職でできる仕事の大部分は、日本と関連した仕事

海外就職でも、エンジニアなどの理系で高いハードスキルがある場合は、日本に関連しない仕事をすることができます。

しかし、営業、企画などのソフトスキル中心の仕事で、語学がネイティブレベルでない場合、日本に関連した仕事でないと難しいです。経歴が強い場合は、ネイティブでなくても英語圏などで就職できることもありますが、ネイティブや既にビザを持っている人と比べると明らかに不利です。

こちらの関連記事もご参照ください。

日本とは関係ない仕事で海外就職をする選択肢
海外就職を目指す人の動機で「日本と海外の架け橋になりたい」という趣旨の言葉をよく聞きます。しかし、個人が海外で働くときに、日本の国を背負って就職する必然性はありません。日本と関係ない仕事で海外就職する選択肢を解説します。

日本と関連した仕事の多くは、製造業での法人営業か製造関連の技術職

日本と関係ある仕事だと、どうしても選べる職種や業界の幅が狭くなります。業種は、製造業が中心、職種は法人営業、製造関連の技術職が中心になります。例えば、事業企画、商品企画などは、海外でできる日本関連のポジションは少ないので、よほど強い経歴がないと難しいと思います。

海外就職の職種については、こちらの記事もご参照ください。

海外就職の職種の選び方、日本人が就職しやすい職種
海外就職を検討しているなら、日本人が採用されやすい職種は気になると思います。①日本人が海外就職しやすい職種は、国によって異なる。②日系の現地採用で採用されやすい職種。③現地企業で採用されやすい職種。④どのように志望職種を決めるか?

海外就職は、就職した国に仕事が制限されがち

職種や業界ではないですが、海外で就職すると、働いている特定の国が起点のビジネスになります。

海外関連の仕事をしたい人は、日本を起点に海外を飛び回り、世界各国を相手に仕事をすることを夢にしている人が多いように思います。ドラマに出てくる国際派サラリーマンはそんな感じですよね。

もし、日本と複数の国の橋渡しをする役割を担いたいのであれば、日本側にいてメーカーや商社で海外担当を目指す方が近道です。または、海外で日本以外の環境でビジネスをする経験を積んでから、早めに日本に戻って、特定の国に縛られない仕事を目指すのも、一案かと思います。

懸念点③:管理職として出世しにくい

現地企業で働く場合は、管理職として働くことは難しい

日系であれば、英語や現地の言語は完璧でなくても通用しますが、現地企業で管理職として働くならば、ネイティブレベルでないと厳しいかと思います。社内調整や部下のマネジメントで高い語学力が必要だからです。

多くの現地企業は、外国人を専門職として採用したとしても、管理職候補としては期待していないと思います。マネジメント経験を積むのであれば、語学力のハンデのない、日本での仕事が有利です。私がMBA後の就職で台湾や中国など海外ではなく日本を選んだのも、私の中国語力では、管理職として昇進していくのは難しいと思っていたのが一因です。

日系の場合、現地の幹部は駐在のことが多い

逆に、日系の現地支社で働く場合は、若いころからローカル社員のマネジメントができることがメリットとされています。確かに、日本で働くより、部下を持つのが早いケースもあるかと思います。

しかし、日系のトップは現地採用ではなく、日本からの駐在の場合が多いです。駐在が管理職をする慣例の会社では、どれだけ現地採用として実績を出しても、駐在の下で働くことになります。管理職として出世したいのであれば、日系の現地採用は、良い選択肢ではありません。

懸念点④:日本のビジネススキル

ビジネススキルは、国や言語に関係ない普遍的なスキルもありますが、国や業界に異存するスキルもあります。例えば、日本での名刺の渡し方、電話の取り方、会食のセッティングなど、対外ビジネスマナーには独特のスタイルがあります。日本国外では、逆に変だと思われるようなマナーも多いので、海外で自然に身につくことはありません。

また、いわゆる報連相の仕方、会議の根回し、企画の通し方など、社内で仕事を進めるためのソフトスキルについても、どこの国でも重要ではありますが、日本独特の振舞いかたも多いです。

海外で働くと、他国での経験が多くなる代わりに、必然的に日本のビジネス経験が少なくなります。

私は台湾で働いていた時も、日本の顧客との接点はあったのですが、日本に戻ってきた時に最も苦労したのは、日本特有のソフトスキルでした。ビジネスマナーの本で読んで知ってはいましたが、名刺の出し方で注意を受けたりもしました。海外でも日本に関係する仕事をする、もしくは日本に戻る予定があるのであれば、意識的に日本のビジネススキルを学ぶ必要があります。

懸念点⑤:日本語力

日本人でも日本語力には差がある

普段は意識しないと思いますが、日本語が母国語でも、日本語力には差があり、継続して学ぶ必要があります。日本語を使わない生活をしていると、日本人でも発音に外国訛りが出てきたり、簡単な単語が直ぐに出てこなくなったりします。

私が台湾で仕事をしていた時は、たまに日本の会社と商談がある以外はすべて中国語でした。22歳まで日本育ちの私でさえ、日本語が変と指摘されることがありました。例えば、外来語の発音が外国人風(台湾人風)だったり、単語の選択が変だったりとか。

英語圏に長くいる人だと、日本語で話していても、話の途中で唐突に英単語を使うことがよくあります。特に専門的な内容の話だと、日本語の適切な単語を知らないからです。小さいころから海外育ちの人は、会話は完璧でも、読み書きに苦手意識を持っている人も多いです。

海外で暮らすなら、日本語は意識して訓練する必要がある

日本のビジネススキルとも関連しますが、日本語でビジネスの会話をしていないと、ビジネス日本語を訓練する機会もありません。

日本で社会人として毎日高度な日本語を使う生活をしているのと、海外で日常会話程度の日本語しか使わないのとでは、数年で大きな差が出てきます。日本に戻って就職する場合、面接官は当然日本語でビジネススキルを判定しますので、日本語の訓練は意識的に行う必要があります。

懸念点⑥:収入

海外就職をお薦めする記事で、アジアで働いても、日本との収入の差は小さくなってきていると申し上げました。しかし、現時点で、日本の一人当たり名目GDPは、アジアではシンガポール、香港に次ぐ3位です。給料水準は、一人当たり名目GDPに、ほぼ比例します。アジアの他の国では、韓国は日本の84%で、日本と大差ありませんが、台湾では69%、中国や東南アジアは更に低くなります。日本と同じ給与水準を条件にすると、欧米、シンガポール、香港以外では就職が難しいです。

アジアは給与も低いが物価も低い

シンガポール、香港以外のアジアと日本を比較すると、やはり日本の物価は高いです。特に東京などの大都市で生活すると、収入が上がれば上がるほど、周囲の人の生活レベルが上がり、趣味や付き合いで支出が増えます。

特に贅沢をするのが好きなのでなければ、物価が安いところで働いた方が、生活水準は上がります。海外就職をお薦めする記事で紹介したように、物価水準を調整したPPPベースの一人当たりGDPでは、台湾は日本よりも上、韓国も日本とほぼ同じです。生活水準では、既に日本と同等のはずです。実際に、私が台湾で働いていた感覚でも、日本の普通の初任給で東京で一人暮らしをするよりは確実に余裕のある生活をしていたと思います。

若い人は、現時点の年収よりも経験を重視すべし

特に新卒、第二新卒などの若い人については、収入ではなく、経験を優先すべきだと思います。20代の年収数100万円の違いは、その時は大きな違いに思えるかもしれませんが、生涯年収から見ると誤差のレベルです。高収入を目指したい場合でも、海外での仕事は、お金をもらいつつ勉強をする修行時代と割り切り、経験を積んでから日本で転職すれば良いと思います。

私の場合も、台湾での給与は、台湾の水準でこそ高かったものの、日本の人気企業の総合職で働いている同年代よりは明らかに低かったです。しかし、入社すぐから、日本にいれば経験が難しかったと思われる責任の大きい仕事を任せてもらえました。また、台湾で働いていた経歴があったことで、多言語、多文化を重要視するMBAに入ることができました。そして、MBAを取得したことで、スムーズに日本で転職することができました。

懸念点⑦:生活環境が変わる

海外就職とは、海外で生活すること

海外で就職するということは、当たり前ですが、海外で生活するということです。旅行で海外に滞在するのと、長期間生活するのとでは、大きく異なります。知り合いがいない国で働くのであれば、一から人間関係を作ることになります。日本のご家族、友達とも頻繁には会えなくなります。特に実家暮らしの人は、最初の一人暮らしが海外だと、大変そうです。

親しい人とも疎遠になりがち

「遠くの親戚より近くの他人」というくらいで、物理的に遠くにいると、友人とも疎遠になってきます。例えば、私は20代の大部分を海外で過ごしていましたので、日本の友人の結婚式は、ほとんど参加できませんでした(その代わり台湾の結婚式には二桁以上参加しましたが)。海外でも日本の友人関係を維持したい方は、意識的にまめに連絡をする必要がありそうです。

使い慣れた日本の商品やサービスも使えない

私が、初めて海外で暮らした時に困ったのは、衣類です。私の感覚では、微妙にサイズが違ったり、デザインが変だったりしました。洗顔料も肌に合うものが見つからなかったり、散髪をすれば意図と全然違う髪型にされたりと。

短期の滞在の場合は、日本に帰国した時に大量にお気に入りのものを仕入れればいいのですが、長期間生活すると、現地に合わせる必要があります。私が台湾に住んでいた時は、服装や、髪型、メガネなどが完全に台湾仕様だったので、日本人からは、台湾人か中国人と思われることが頻繁にありました。台湾人からは、顔立ちとかが日本人ぽいと言われていましたが。

外国人はクレジットカードやローンも申請しにくい

また、外国人特有の問題もあります。例えば、クレジットカードを取得するのが大変です。私は検討しませんでしたが、住宅ローンも難しいです。外国人にお金を貸すのは、銀行からみるとリスクが高いからです。私は、台湾の時は、大企業で働いていたにも関わらず、カードの申請を却下されました。2年くらいは全て現金払いをしていて、接待が続くと高額の現金を持ち歩く必要があって大変でした。

その他にも、ビザの申請や更新、会社や役所への諸々の申請で外国人特有の手続きがあるなど、外国人として生活するのは、面倒がことが多くあります。しかも、その面倒な手続きを、全て外国語で行う必要があります。ポジティブに考えれば、外国語の素晴らしい実践的な訓練の機会ですが、面倒なことは確かです。

懸念点⑧:婚活できない?

海外就職は、婚活とタイミングが被る

これから海外就職を目指す人は、20代の人が多いと思います。20代はキャリアの形成でも重要ですが、同時に恋愛でも大切な時期です。古いデータですが、2011年の厚生労働省の調査によれば、男性の初婚年齢は30.7歳、女性が29.0歳。結婚の2年前に相手と出会っているとすれば、男性は29歳、女性は27歳前後で結婚する伴侶と出会っていることになります。

皆さんもご存知のように、特に30歳前後(アラサー世代)の女子の結婚に対するプレッシャーは非常に高いものがあります。私の知り合いでも、婚期を逃すのが嫌で、海外留学を断念したり、多忙になりそうな転職を控えたりする人がいます。海外留学をした知り合いでも、婚活との兼ね合いが大きな懸念点だったという人もいました。

日本で、日本人と、一般的な年齢で結婚するのが希望であれば、20代を海外で過ごすことはリスクが高そうです。日本にいるよりは、現地で出会える適齢期で未婚の日本人も少ないです。海外でお付き合いしても、日本に帰るタイミングがずれると、結婚できないかもしれません。

日本人女性はモテる

一方で、海外には恋愛環境の面でも利点はあります。特に女性には有利な環境です。まず、日本の女性は欧米、アジア、先進国、途上国問わず、どこに行っても圧倒的にモテます。日本の男性は残念ながら、一部の国を除いて全然モテません。日本人女性が海外でモテるのは、遊び目的の男性に狙われているだけ、という説もあります。そういう男性も一部いることは確かですが、真剣交際という意味でも間違いなくモテます。

日本人女性が人気の要因は諸説ありますが、イメージが良い、性格が穏やか、容姿が洗練されている、などが考えられます。また、日本人男性が海外の女性からモテないことも要因です。日本人女性は、現地人からも日本人男性からも人気ですが、日本人男性の多くは現地人から相手にされないので、人数の限られた日本人女性しか選択肢がありません。女性の方が選択肢が多いので、日本人男性に対して有利になるのです。

共通点のある人と知り合える

男性、女性共通で良い点として、明らかに共通点がある人と知り合えることです。日本で、例えば同じ東京に住んでいても、それを共通点とは思いませんが、日本人が海外の同じ都市に住んでいるということは、それだけで大きな共通点です。海外に興味がある人なことは間違いないでしょうし、その国が好きで住んでいる可能性も高いでしょう。日本に帰国しても、一緒に海外で過ごした経験は、貴重な思い出になるに違いありません。

日本の婚活に疲れたら海外も良いのでは?

また、婚活に疲れた人にも海外は向いています。ひょっとすると東京が異常なのかもしれませんが、私は31歳で日本に帰ってきて、東京のアラサー男女の婚活にかける熱量に驚いたものです。もちろん、どの国でも結婚は一大事なので、多かれ少なれ婚活的なものはあります。しかし、アラサーで外から帰ってきた私からすると、日本の状況は過熱気味に思えました。日本での婚活で悩んでいるなら、海外に行ってみましょう。会うたびに婚活の話をする友人にも会わなくなりますし、新しい環境で良い人が見つかるかもしれません。


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