海外現地採用は、日系、現地、外資企業の選択肢がある

「海外現地採用」とは、駐在や転勤ではなく、海外で直接採用されることです。

一般的には、海外現地採用は、日系の海外支社での採用を指していることが多いです。特にアジアでは、日系の海外支社で日本人を現地採用する需要が高いからです。

一方で、日系ではなく現地企業、外資企業(シンガポールでアメリカ企業など)で就職する選択肢もあります。本記事では、現地採用として、日系、現地企業、欧米などの外資企業に就職するメリット・デメリット、就職活動の進め方を解説します。

スポンサーリンク

メリット・デメリット

待遇

日系 ○

現地 △

外資 ◎

日系の現地採用の給与は、日本よりも低いが、現地水準よりは高い

アジアなど日本よりも所得水準が低い国で働く場合、日系の現地採用の給与水準は、日本よりは低い水準になります。

例えば、タイの日系現地採用のボリュームゾーンは、月給5万バーツ程度(約17万円)です。日本の大学初任給の給与は約20万円。25-29歳の平均給与は年間351万円、30-34歳は403万円です(平成28年度「民間給与実態統計調査結果」)。現地採用が多い20代半ばから30代半ばでは、日本の5-7割程度になります。

一方で、現地採用の給与は、現地の一般的な給与水準よりは高いです。

タイの現地の給与水準は、一般職のスタッフで約2.4万バーツ(8万円強)です(JETRO)。日系現地採用の給与水準は現地社員の倍程度ということになります。課長クラスで、やっと5万バーツ程度となり、スタッフレベルの現地採用の日本人と同じくらいになります。現地採用は、20代でも課長待遇で採用されているのです。

中国や、ベトナム、マレーシア、インドネシアなど東南アジアの他の国でも、現地採用の日本人の給与は、日本よりは低く、現地の水準よりは高いです。

欧米やシンガポールの場合は、現地の給与水準が日本よりも高いです。よって、日系で働いていても、現地の一般の人より給与水準が高いということはありません。

日系現地採用の給与は、駐在よりは、遥かに低い

駐在と比較すると、現地採用の給与は顕著に低いです。駐在は、駐在手当や、住宅など各種補助が出るので、日本の本社で働いているよりも待遇が良いからです。日系が現地採用を進める大きな理由は、駐在社員の高額な人件費削減して、比較的低コストの現地採用で補うことです。

駐在と現地採用の違いについては、こちらの記事をご参照ください。

海外就活で海外駐在 / 赴任か現地採用どちらを目指すべきか?
海外での就業の可能性は、駐在か現地採用です。駐在の利点として、待遇の良さがあります。現地採用では、現地の人と同様の給与体系になります。逆にメリットは、自由な選択ができることです。自分が行きたいタイミングで、海外就職を始めることができますし、国も自由に選べます。

現地企業は、現地の人と同じ給与水準

現地企業に就職の場合は、現地の人と同じ給与水準になります。同じ仕事をするのであれば、日本人により多くの給与を払う理由はありません。東南アジアなど給与水準が日本より低い国で就職する場合、給与の面では日系よりも不利なケースが多いと思います。

欧米やシンガポールのように、日本よりも給与水準が高い国の場合は、現地企業の給与水準は、日系と同等以上です。アジア就職に比べて、欧米やシンガポールでは、現地企業に就職する日本人の割合が多いです。

欧米外資の給与は一般的に日系より高い

海外で、日系以外の外資に就職する選択肢もあります。例えば、シンガポールでアメリカ企業に就職するケースです。日本でも、外資の日本支社に、本社以外の国の人も在籍しているのと同じことです。

日本でもそうですが、グローバルで展開している欧米企業の給与水準は、日系より高いことが多いです。欧米やシンガポールのような先進国でも、途上国でも同様です。

私も、台湾で働いていた時に、欧米外資の会社に声をかけられたことがありました。仕事内容に興味がなかったので断りましたが、給与は明らかに日系や台湾現地の会社より良かったです。

ステータス

日系 △

現地 ○

外資 ○

日系の現地採用は駐在と比較されることが難点

現地採用社員の不満として頻繁に挙げられるのが、駐在社員との格差です。駐在員は、日本の給与にプラスして各種駐在手当がありますが、現地採用だと、現地の待遇です。特に、発展途上国の場合は、大きな違いになります。

待遇だけではなく、会社での立場でも格差があります。一般的に、駐在社員は幹部として派遣されます。現地採用社員が、どんなに仕事ができたとしても、現地採用社員が駐在社員の上に立つことは難しいです。

仕事の上の関係だけではなく、社外の日本人コミュニティでも駐在社員との付き合いがあるでしょう。駐在と現地採用では、生活水準が全く異なるので、現地就職の人は、疎外感を感じることが多いようです。

あまり気持ちの良いものではありませんが、アジアで日系現地採用だと、駐在より下に見られるのは、紛れもない事実です。人材紹介会社や採用企業は、そのような不都合な事実は語りたがらないと思います。自分と同年代の駐在が倍以上の給与をもらっている環境で、本当に居心地が悪くないのか、良く考えてから就職を決めましょう。

欧米外資は、一般的にステータスが高い

欧米外資は、大体どこの国でも社会的なステータスが高いです。日本でも、「外資系」が花形の仕事だと認識されることが多いのと同じです。理由は恐らく単純に給与水準が高いからです。

日系は、平均的に欧米企業よりも給与水準が低いので、残念ながら世界各国で欧米企業よりもステータスが低い扱いのようです。

難易度

日系 ◎

現地 × 

外資 ×

日系は、現地 / 外資企業に比べて簡単

アジアの日系現地採用への応募は、日本人である事や日本語ネイティブなだけで現地人よりも有利になります。海外求人を紹介している人材紹介会社のサイトを見ると、日本人限定や、日本語ネイティブ限定で募集している求人が多く掲載されています。

現地法人でも、トップは日本人なことも多いですし、日本の本社とのコミュニケーションもあることから、日本語でスムーズにコミュニケーションできることが大きな武器になるからです。外資の日本法人で、英語の能力が重要なのと同じ理由です。

欧米については、事情が異なります。欧米では、現地採用の枠自体が少ないので、日系への現地採用でも難易度は高いです。

現地 / 外資企業は、日本からの応募は難しい

現地 / 外資企業は、留学をしているなど、既に現地に拠点がある人にお薦めします。日系の現地採用であれば、日本の海外就職向けのサイトでも募集していますが、現地企業の募集は、ほとんど見かけません。現地の求人サイトで、現地の人と同じように応募して、同じように面接をすることが必要です。

日本から応募して、面接を取り付けることは可能ではありますが、受かるか分からない面接のために、海外まで行く時間と費用がかかります。

現地 / 外資企業の求人は、現地人や外国人と直接競合する

また、日系への就職は、日本語ネイティブなだけで有利になりますが、現地 / 外資では異なります。現地の求職者や他の外国人と直接競合するので、高い語学力、もしくは語学力をカバーするだけの高い専門性を求められます。

日本語が必須の仕事でも、日本語を話せる現地人と競合することになります。現地 / 外資は、日本企業と異なり、日本語ネイティブであることを過剰に評価しません。日本人は日本語では有利ですが、現地語の能力や、ビザの申請が必要な点では不利です。

仕事内容

日系 ○

現地 ○ 

外資 ○

仕事内容については、日系でも現地 / 外資でも様々なので、一概には言えません。一つ共通していることは、日本の本社で働くよりも、長期的に管理職として出世をしていくとが難しい点です。

日系では様々な業務ができる

海外現地採用のメリットとして、担当できる業務の幅が広いことがあります。組織が小さく、設立してから時間も経過していない現地支社の場合は、本社よりも仕事の分業が進んでいないからです。ベンチャーのような感覚で仕事ができることが魅力です。

様々な業務にチャレンジしたいなら、まだ現地支社を設立して日が浅い企業、現地社員の人数が少ない企業を選択すると、よりチャンスがあるかと思います。

日系現地採用は、現地スタッフのマネージメントの機会もある

現地採用のメリットとして、現地スタッフのマネージメントを挙げる経験者も多いです。20代でも、現地スタッフのマネージメントができる可能性があります。

日本人を積極的に現地採用するような日系企業では、日本語ネイティブで日本的な感性を持っていることが重要な条件なので(良いか悪いかは別にして)、たいして経験のない人でも管理職として期待されるわけです。

しかし、日系現地採用では、出世はしにくい

一方で、デメリットとして、日系で現地採用の場合は、駐在者の下につくことが大部分です。どんなに経験のある現地採用者がいても、社長などの要職は駐在者の会社が多いです。

合理的な要因としては、大きな案件は、必然的に本社が絡むことになり、本社との調整能力が高い駐在者の方が、仕事が有利だからです。日本にある外資でも、本社との関係が深い案件では、日本市場のエキスパートよりも、本社事情のエキスパートの方が有利になりがちです。

不合理な要因は、日系企業の人事制度が硬直的かつ時代に合っておらず、適材適所で人事が決まらないからです。日系企業は本社から社長や幹部が派遣されることが多く、現地社員は、一定レベル以上昇進することが難しくなります。

現地 / 外資企業では、日本のスペシャリストに留まりがち

現地 / 外資企業への就職は、高い専門性がない限り、日本担当として雇われることが多いと思います。特にアジアでの現地採用は、日本担当としての就職が多いです。

対外業務が日本語だったとしても、社内は現地語もしくは英語なので、社内での業務は言語力の面でハンデがあります。

社内での調整力が弱いと評価の面でも不利ですし、管理職を目指すのは難しいです。特に、外国人が少ない職場の場合は、外国人として目立って得なこともある反面、あくまでも日本の特定の業務を担当する人になりがちです。

欧米やシンガポールなどの先進国では、日本に関係なく、専門職として採用されることが多いです。先進国では、日本語力の価値が相対的に低く、専門知識の価値が高いからです。専門職として日本に関係ない仕事をする選択肢については、こちらの記事もご参照ください。

日本とは関係ない仕事で海外就職をする選択肢
海外就職を目指す人の動機で「日本と海外の架け橋になりたい」という趣旨の言葉をよく聞きます。しかし、個人が海外で働くときに、日本の国を背負って就職する必然性はありません。日本と関係ない仕事で海外就職する選択肢を解説します。

現地密着度

日系 ×

現地 ◎

外資 ○

日系は日本人コミュニティに属しがち

日系で働くデメリットの一つが、日本語でのコミュニケーションが多くなること、日本の企業文化の中で仕事をすることです。日系は、幹部が日本からの駐在者、取引先も日系の場合が大部分だからです。

日本語が重要な環境だからこそ、日本人が優先して採用されるわけです。日本人の現地採用が有利になる要因でもありますが、現地の言語や文化を学ぶという意味ではマイナスです。

グローバル人材になりたくて海外就職したら、超日本的な仕事だった、ということもありえます。グローバルな仕事をしたくて、海外就職する場合は、本当にグローバルな環境の職場なのか、海外にあるだけで普通の日本の職場なのか、しっかり確認してから決めましょう。

現地企業は、現地の言語や文化の習得で有利

現地企業の場合は、日系とは逆で、現地言語で現地の人とのコミュニケーションが多くなり、言語や文化の習得には有利です。

一方で、現地企業で外国人として働くマイナス点として、現地の企業文化に慣れるに苦労するかもしれません。特に日本で社会人を経験している場合は、日本の企業文化とのギャップを感じやすいと思います。

外資企業は、外国人としては働きやすい

外資企業では、現地企業より外国人比率が高いと思います。企業の本国の人もいれば、現地社員、日本人のように他の国の人もいます。

そのような多国籍な環境だと、現地人ばかりの職場よりも、外国人としては働きやすいです。社内言語も、現地語ではなくて、英語の職場が多いと思います。

外資企業で働いていると、日本人コミュニティではなく、現地人のコミュニティや英語の(多国籍外国人の)コミュニティに属することも多いと思います。英語や現地語を習得する環境としては、日本人コミュニティに属しがちな日系よりも有利です。

就職活動の進め方

日系企業

アジアで日系に就職の場合

アジアで日系に就職する場合は、海外就職を扱う日本人向けのサービスに登録しておけば問題ありません。日系の採用だと、日本人が採用されやすいし、日本の人材紹介会社に日本人向けの求人を出していることも多いです。

社会人経験のある日本人で、一定の英語力があれば(目安としてTOEIC 700点以上)、すぐに仕事は紹介されます。国によって難易度は異なりますが、東南アジアやインドでは、今のところ社会人経験のある日本人は売り手市場です。

また、将来現地企業で働きたいとしても、まずは日系で就職するというのも一つの方法です。現地の求人の情報も入りやすいですし、採用する側も現地での実績があった方が評価しやすいからです。

欧米で就職の場合

欧米での仕事を探したい場合は、海外就職を扱うサービスに登録しても、あまり選択肢がありません。そもそも、欧米では日系の現地採用の需要が供給(就職希望者)に比べて少ないからです。

欧米で就職を希望する場合は、日系の現地採用に拘らずに、現地企業や、他の国の外資企業も視野に入れて就職活動をしましょう。その方法は、以下の「現地 / 外資企業」をご参照ください。

現地 / 外資企業

日本で海外の現地 / 外資企業の就職活動をするのは難しい

日本にいながら、海外の現地 / 外資企業の就職活動をするのは、難易度が高いです。

日本国内で対応してくれる日本語の海外就職サービスは、ほとんど日系現地採用が専門だからです。なぜなら、日系以外の会社では、日本人や日本語ネイティブに限定して求人をする需要が少ないからです。

日本人限定ではない仕事を探すには、日本語の海外就職サービスだけでは不十分

しかし、それでも日本人が海外で現地 / 外資企業に就職できる可能性はあります。日本に全く関係ない仕事をすることもできますし、日本人に限定していなくても、日本語ができる人を探している求人は多くあります。

いずれのケースにしても、海外で現地 / 外資企業に就職するには、日本人に絞って探している求人ではなく、現地の普通の求人に応募する必要があります。そのためには、日本人向けの人材紹介会社 / 求人情報サイトを使うだけでは、不十分です。

現地 / 外資企業の仕事を探すには、欧米のグローバル人材紹介会社への登録、現地のローカルな人材紹介会社への登録、企業サイトへの直接応募、コネを探す、など様々な方法でアプローチしましょう。

短期間でも、現地で就職活動をすることが重要

現地の人材紹介会社に登録したり、企業に直接応募したりして、日本から就職活動をすることも不可能ではありません。ビデオや電話で面接をして、最終面接だけ現地で行うケースもあるからです。

しかし、就職活動中に現地にいなければ、相手にしてもらえる可能性は低くなります。人材紹介会社や企業の側から見ると、遠隔の面接の手配に手間がかかります。対面の面接しか受け付けていない会社もあるでしょう。また、現地にも滞在していないのに、本当に就職する気があるのか、コミットの度合いが分かりかねます。

新卒の就職活動や、既に離職済みの転職活動の場合は、短期間であっても、現地に滞在して就職活動をするべきです。

大学生の場合は、最終学期の前に単位を取り切って、最終学期を就職活動にあてたり、卒業前の春休みから就職活動を行うなど。私もアメリカの大学院を卒業後に、1か月間台湾に滞在して、その間に就職を決めました。

すぐに応募ではなく、留学を挟んだり、現地への転勤を狙う選択肢も

日本から直接応募するより、現地に留学してから就職活動をする方が可能性は高くなります。就職活動の拠点が確保できますし、情報収集、語学やビザの面でも有利になるからです。

また、現地への転勤の可能性がありそうな会社に転職することも考えられます。日系での駐在や、外資での本社への転勤です。

詳しくは、こちらの記事をご参照ください

大学生、新卒のための海外就職戦略
大学生で海外への転職を考えている人向けに、海外就職を実現するための選択肢を解説します。① 海外大学に留学し、新卒で海外就職。②国内の大学から新卒で海外就職。③ 日本で就職、海外転職を目指す。④ 日本で就職、駐在での派遣を目指す
社会人(転職、第二新卒)のための海外就職戦略
社会人(転職、第二新卒)のための海外就職戦略を紹介します。現地就職、インターンシップに応募。日本で駐在や外資での海外転勤を狙う。大学院留学、語学留学、ワーキングホリデーで海外経験を積んでから応募する、など。

「海外就職はじめに」次の記事

海外就職をする国の選び方
海外就職を考えているなら、最初に就職活動をする国を決める必要があります。国の選び方の基準を紹介します。①日本との貿易総額。②日本人在留数。③日本語学習者数。④就職サイトの求人件数。⑤言語から選ぶ。⑥所得が高い国。⑦就労ビザの取りやすさ

「海外就職はじめに」一覧に戻る

海外就職はじめに
①なぜ海外就職なのか考えよう ②海外就職の方向性を決めよう ③就職する国・都市を...

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

Google関連記事